2017/12/20 01:00
vol5.扉を開けると、美しい暮らしがある『陶屋なづな』
ギャラリーの扉を開けると、美しい暮らしがそこにある。
日々を丁寧に、慈しむように暮らすこと。ひとときのお茶の時間に心を癒し、晴れやかな思いで、ありがたく食卓につく。
そんな営みの中に、うつわがある。
手によくなじみ、大好きで、美しい、お気に入りのうつわたち。
「一軒家のギャラリー、陶屋なづなの扉を叩くうつわ好きは、とてもイメージ豊かにうつわを感じることができる」。
そう語るのは、超のつく人気陶芸家、高島大樹さん。うつわは陳列棚に並ぶのではなく、美しい暮らしの中の一幅の絵のように、オーナーの大垣ひろ子さんの手でセンスよく置かれている。
なづなとは古いつきあいという高島大樹さん。11月になづなで開かれた高島さんの個展にて。
2日間の個展には全国から応募が殺到。抽選で当選した、一握りの幸運なうつわ好きが予約・時間限定で訪れた。
「目」と「手」を頼りに若手に声をかけ
今では全国区の人気作家のうつわがそろう
大垣さんがギャラリーを開いたのは、2005年のこと。
うつわが大好き。買い物も大好きで、店を持つことに憧れた。
ならばと、うつわの店を開くことに。
自宅を新築した際、インテリアコーディネーターにインテリアのセンスを褒められたことも後押しした。もともと卓越した空間プロデューサーの「手」があったのである。
ところが当初は「絶対置きたいと思っていた作家さんには全て断られました」。
素人オーナーに、売れっ子作家は手の届かない存在であった。
それでは「ブレイク直前の若手に声をかけよう」と。本州初上陸の作家もいた。高島大樹さんもその1人。
13年経った今では、なづなが扱う作家は軒並み、全国区の人気作家ぞろい。目利きの「目」は太鼓判の目。それだけではない。縁を結んだ作家のうつわは継続して置き、うつわとともに人の縁も結んで今がある。
「信頼できるギャラリストで、責任を負う人。だから僕もその気持ちに応えようと思う」と高島さん。
作家の思いを聞き、ゆっくり手に取り
時を忘れて美しい時間を過ごす
ある日の常設展でのこと。「昨日も来ました」という女性は「うつわを組み合わせたディスプレイなどため息が出ます。なづなさんのポリシーが一つ通っているようで、置かれているうつわはどれもステキなものばかり」。ここでは作家の思いを聞きながら、ゆっくり手に取り、うつわと向き合うことができる。「いつも時を忘れて長居してしまいます」。
「うつわと一緒にとてもいい時間が過ごせて癒されます」という女性。暮らしの中にあるように、手にとってカトラリーを置き、「さわり放題ですね(笑)」このお皿を自分の暮らしに持ち帰られた。
オーナーの大垣ひろ子さん
それは大垣さんの願うところ。「ここで好きなうつわ、好きな作家さんに出会っていただけたらうれしいですね」。
お客は若い人も多い。うつわ初心者も歓迎。気負って買う必要もなし。「無理して迎えたうつわは使いませんからね」。気楽にうつわを楽しんでもらいたいという。
うつわとの美しい暮らしに会いに、なづなの扉を開けてみよう。大垣さんがふわりと優しい笑顔で迎え入れてくれる。
今後の展覧会予定
「村上 躍 展」
2018年2月14日(水)〜3月3日(土)
陶屋なづな
- 住所/奈良県北葛城郡広陵町馬見北9-2-6
- 電話/0745-55-9117
- 営業時間/11:00~17:00
- 定休日/日・月・火曜
- 駐車場/有