2024/02/07 07:01
ぱーぷる編集部
【奈良のレア・定番日本酒】これが総破精麹のポテンシャル。「自然淘汰DNA Tropical」【美吉野醸造株式会社(みよしのじょうぞうかぶしきがいしゃ)】
奈良県の酒蔵ごとの「レア&定番日本酒」を紹介する企画。
今回は吉野郡吉野町にある『美吉野醸造株式会社(みよしのじょうぞうかぶしきがいしゃ)』をご紹介。
◆レア酒
自然淘汰DNA Tropical 720ml 3,300円(税込)
日本酒に大事な麹造りにおいて、破精(はぜ:蒸米に麹菌が繁殖して菌糸が白く見える部分)が米の表面全体にいきわたったものを「総破精(そうはぜ)」といい、総破精麹でつくった酒は濃醇な酒に仕上がる。
糖化と発酵のバランスを感じとり、しっかりとどこまでも溶ける総破精麹の力を信じて、米の甘味を引き出した「自然淘汰DNA Tropical」。
米の豊かな甘味が、自然発酵による酸の中に満たされたとき、果実のおいしさが顔を出す。
総破精麹のポテンシャルを存分に引き出したこの酒は、印象的な銘柄名も相まって、一度飲むと忘れられない酒になるに違いない。
◆定番酒
花巴(はなともえ) 水酛 火入 720ml 1,650円(税込)
水酛(みずもと)は室町時代の僧侶が創醸した、生米を水に漬け乳酸菌を生み出す製法を基に醸したお酒。まるでヨーグルトやチーズを思わせる、まさに発酵を感じるニュアンスがある。腐敗、発酵、醸造に対して先入観という垣根のない時代の酒造りだからこそ出せる味わいだ。
水酛の初期工程でつくる「そやし水」は、9月下旬の気候により繁殖する乳酸菌や微生物が左右されるため、毎年異なるニュアンスを含み香(ふくみか)の奥に秘めている。上立ち香(うわだちか)はいつものヨーグルトやチーズを思わせる雰囲気なのに、奥には怪しげなニュアンスが潜む。それこそが水酛の魅力。
水酛でしか出せない「発酵感」を引出せる唯一の仕込みであることから、お酒の味わいに対しての「あたりまえ」を優先せず、より水酛らしさを引き出すことを心がけて醸造した酒。
美吉野醸造株式会社とは?
奈良県吉野郡吉野町、吉野川のすぐそばで明治45年(1912)に創業。
日本酒「花巴(はなともえ)」を醸す美吉野醸造は、千本桜で知られる奈良吉野で豊かな自然の恩恵を受け、創業より「風土に寄り添い、人の心に感銘を与え、腑に落ちる酒」をモットーに酒造りを行っている。
吉野のある紀伊半島は、山深いその立地ゆえに昔からさまざまな保存食文化が根付いている。「花巴」は吉野の風土や文化、地域の産業である農業や林業と共に歩む酒造りを目指すなか、「酸を抑制するのではなく、酸を開放する酒造り」にたどり着いたという。
それは酸っぱいのではなく、余韻と複雑な味わいが酸味と美しく調和した日本酒。製法が纏う酸の質感を大切に醸すことで、抑えきれず溢れ出す奈良吉野の情景までをも愉しめる。
美吉野醸造では、醸造する全ての日本酒を「奈良県産契約栽培米」、「酵母菌無添加」で自然醸造し、より地域に根差した酒蔵として酒造りに邁進している。