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2022/11/25 21:00
ぱーぷる

「奈良にうまいものあり」かき氷と柿の葉で新たな風土を伝えたい。株式会社ほうせき箱・平井宗助さん【奈良のガストロノミーツーリズム最前線 Vol.3】

「奈良にうまいものあり」かき氷・柿の葉で新たな風土を伝えたい。株式会社ほうせき箱・平井宗助さん【奈良のガストロノミーツーリズム最前線 Vol.3】

2022年12月12日(月)~15日(木)に奈良市『奈良県コンベンションセンター』にて、日本初となる『ガストロノミーツーリズム世界フォーラム』が開催される。

そこで、奈良の食の魅力について、奈良県奈良市でカフェ『kakigori ほうせき箱』と『柿の葉茶専門店 SOUSUKE』を営む、『合同会社ほうせき箱』代表・平井宗助さんにインタビューを行った。



ガストロノミーツーリズム世界フォーラムとは?


「ガストロノミーツーリズム」とは、地域に根差した食文化を楽しむ旅のことである。

その土地の自然や風土から生まれた、食材や文化によって育まれた食を楽しみ、その土地の食文化に触れることを目的とした、いわゆる「その地域の食」と「観光」をコラボした旅の形である。

奈良県は日本の食文化やその他の文化の発祥の地とされている。
ここから全国に広まったものも多い。

例えば清酒や完全甘柿、まんじゅうなどの「食」だけでなく、樽などの道具や相撲や歴史文化なども奈良県には発祥地とされるものが数多くある。

そんな「はじまりの地 奈良」で開催されるのが、第7回目となる『ガストロノミーツーリズム世界フォーラム』である。

主催するのは、国連世界観光機関(UNWTO)と美食で世界をリードするスペイン・バスク州サンセバスチャン市にある料理専門大学校『バスク・カリナリー・センター(BCC)』。

各国観光大臣級及び政府関係者、自治体関係者及び、教育関係者、食・農・観光関連の事業者及び団体、シェフやジャーナリストなど国内外から約600名が参加を予定している。

食・観光の伝統や多様性をサポートするとともに、文化の発信、地域経済の発展などを目的に、国連世界観光機関(UNWTO)が中心となって、2015年以降、この世界フォーラムを開催している。

今年で7回目となり、日本で行われるのはこれが初めて。

合同会社ほうせき箱・平井宗助さんにインタビュー


「奈良にうまいものあり」かき氷・柿の葉で新たな風土を伝えたい。株式会社ほうせき箱・平井宗助さん【奈良のガストロノミーツーリズム最前線 Vol.3】

『ガストロノミーツーリズム世界フォーラム』が開催されることに伴い、ぱーぷるでは「ガストロノミー最前線」と題し、5回にわたって地域に根差し、食と文化を次世代に繋げていくことに尽力されている4人の人物と、世界フォーラムの直前紹介をお届けする。

今回は奈良市にあるカフェ『kakigori ほうせき箱』と『柿の葉茶専門店 SOUSUKE』を経営している、『合同会社ほうせき箱』代表、平井宗助さん(以下:平井さん)にスポットをあてた。

世界フォーラムが奈良県で開催されることについて、
「奈良が食で世界の注目を集める、またとない大きなチャンスです。
終焉を迎えつつある大量生産大量消費時代の間も継続して、神仏を敬い自然に寄り添い紡いできた唯一無二の食文化が奈良にはあります。
SDGsが声高に叫ばれる今日ではありますが、そんな中で奈良を通じて日本の食文化を知っていただくことは、大きな意義のあることだと確信しています」
と話してくれた。

平井さんは奈良の氷文化に着目し、氷室神社(奈良市)でのかき氷のお祭『ひむろしらゆき祭』やかき氷専門店『kakigori ほうせき箱』の運営、県内周遊を目的としてかき氷店を紹介する『奈良かき氷ガイド』の制作などを手がけてきた。
近年では、柿(果物)を作っていた耕作放棄地を柿の葉栽培専用の畑に変えて、お茶に加工し販売する事業にも力を入れている。

奈良を誇りに思い、奈良の魅力を発信し続ける平井さんが伝えたい「奈良の食文化」とは。

奈良と氷の文化


近年、全国から「ゴーラ―」と呼ばれるかき氷好きが訪れるほど、奈良での楽しみの一つとしても定着している「かき氷」。

県内のかき氷を提供するお店を紹介する『令和4年度版 奈良かき氷ガイド』では約60件掲載されるほど、奈良のかき氷は盛り上がりを見せている。

実は奈良は、かねてより氷と深い関係があり、氷の食文化始まりの地とされている。

それは、長屋王邸宅跡や平城宮跡から出土した木簡に氷の食文化に関しての文字が綴られていることや、さらには日本書紀にも記されている氷室神社(天理市)の仁徳天皇への氷の献上のストーリーからも知られている。

天理市と奈良市にあるどちらの氷室神社でも、古くから献氷祭が営まれ続ける中、2014年には氷室神社(奈良市)で奈良県初のかき氷のお祭『ひむろしらゆき祭』が開催された。
平井さんの提案により、縁あって実現したお祭は、台風の中2日間で3,000杯のかき氷が売れるほどの大盛況となった。

全国から集まったお客さんの笑顔を見て、次第に平井さんのかき氷に対する思いが強くなっていった。

「奈良にうまいものあり」かき氷・柿の葉で新たな風土を伝えたい。株式会社ほうせき箱・平井宗助さん【奈良のガストロノミーツーリズム最前線 Vol.3】

『kakigori ほうせき箱』の誕生


「ひむろしらゆき祭」を開催したのち、2015年3月にオープンしたかき氷専門店『kakigori ほうせき箱』。
年中かき氷が食べられ、オープン当初から爆発的な人気となり、予約なしでは食べられないほど。

かき氷の概念を覆されるような『kakigori ほうせき箱』のかき氷は、工夫や仕掛けが施され、人々を魅了し続けている。

「奈良にうまいものあり」かき氷・柿の葉で新たな風土を伝えたい。株式会社ほうせき箱・平井宗助さん【奈良のガストロノミーツーリズム最前線 Vol.3】

奈良市の製氷業者『日乃出製氷』のかき氷専用の純氷「 72時間氷」を使うことにより、かつてのかき氷とは一味違う仕上がりを実現。

ゆっくりと凍らせることで、固くて溶けにくい氷となる。
削られた氷は、一枚一枚織り重なるように盛られ、とても繊細。
シロップをたっぷりかけても、崩れない。しかも、ふわふわとしていて、口に入れた瞬間優しく溶ける。

さらに、『古都華』や『アスカルビー』といったブランドいちごや、柿などの果物だけでなく、大和野菜や大和茶など奈良の食材がふんだんに使われ、奈良の魅力を感じることができるようになっている。

素材そのものの持ち味を生かしつつも、エスプーマやシロップ、ゼリーなど新しい形に姿を変え、氷を彩り、食感にもアクセントを加えるなど、食べ飽きない工夫で最後まで楽しませてくれる。

奈良の魅力をかき氷にのせて


そもそも、平井さんがかき氷を始めるきっかけとなったのは、奈良市にあるカフェ『おちゃのこ』のかき氷を食べて、あまりのおいしさに感動したことから始まった。

奈良の食材を使うことでさまざまなアレンジが利くであろう「かき氷」に無限の可能性を感じた。
氷の歴史的なストーリーに合わせ奈良の食材を使ったかき氷を発信することで、奈良の新たな食文化が誕生することに繋がったのだ。

「柿園を残したい」耕作放棄地を使って柿の葉商品を作り出す


さらに近年では奈良の「柿の葉」を商品化することにチャレンジしている平井さん。

奈良県は柿の生産が盛んなものの、近年では高齢化が進むにつれて柿園の耕作放棄地が増加している。高齢者には柿の収穫が特に重労働であることが一因だという。

栄養価も高く、奈良時代から干し柿などで親しまれてきた柿。
せっかく育てられた柿の木を受け継ぎ有効的に活用したかった平井さんは、高齢者でも負担なく続けれられるよう柿の葉栽培専用に切り替えて生産を開始した。

「奈良にうまいものあり」かき氷・柿の葉で新たな風土を伝えたい。株式会社ほうせき箱・平井宗助さん【奈良のガストロノミーツーリズム最前線 Vol.3】

柿の葉に含まれるビタミンCの含有量はレモンの20倍~30倍といわれ、さらにポリフェノールも豊富だ。
健康機能性の面でも大いに期待していると平井さんは言う。

「奈良にうまいものあり」かき氷・柿の葉で新たな風土を伝えたい。株式会社ほうせき箱・平井宗助さん【奈良のガストロノミーツーリズム最前線 Vol.3】

分かりやすく伝えたい


「奈良にうまいものあり」かき氷・柿の葉で新たな風土を伝えたい。株式会社ほうせき箱・平井宗助さん【奈良のガストロノミーツーリズム最前線 Vol.3】

平井さんは、奈良の魅力やおいしさをとにかく「分かりやすく伝えたい」と言う。

柿の葉自体に馴染みがある人は少なく、「柿の葉茶」と一言聞いてもどんな味か分かる人は多くはないだろう。

そこで、実際に柿の葉茶を飲んだり食べたりすることで、柿の葉茶の魅力を体験してもらおうと、2022年4月奈良市登大路のバスターミナル内に『柿の葉茶専門店 SOUSUKE』をオープンさせた。

「奈良にうまいものあり」かき氷・柿の葉で新たな風土を伝えたい。株式会社ほうせき箱・平井宗助さん【奈良のガストロノミーツーリズム最前線 Vol.3】

店内に入ると、柿の葉を使った商品が並んでおり、奥にはカフェが併設されている。

カフェで人気なのは『SOUSUKE』という柿の葉茶を使ったかき氷。

「柿の葉茶薪火焙煎深煎」を使ったシロップは、甘さの中に焙煎特有の香ばしさも感じられ、後味はさっぱり。

トップには濃厚なチーズクリームやはちみつ、ナッツなどがあしらわれ、クセになる商品だ。

「奈良にうまいものあり」かき氷・柿の葉で新たな風土を伝えたい。株式会社ほうせき箱・平井宗助さん【奈良のガストロノミーツーリズム最前線 Vol.3】

お茶以外にも、トマトソース、ジェノベーゼといった調味料、さらに食品だけでなく石鹸や入浴剤などの柿の葉を使った商品が店内を彩る。

どれもおしゃれでつい手に取りたくなるようなアイテムばかりで、誰でも生活に取り入れやすそうだ。

「奈良にうまいものあり」かき氷・柿の葉で新たな風土を伝えたい。株式会社ほうせき箱・平井宗助さん【奈良のガストロノミーツーリズム最前線 Vol.3】

奈良の食文化を新たなかたちで繋げる


奈良の文化は食を含めて、魅力が伝わりにくいものだと分析している平井さん。

志賀直哉の随筆『奈良』には「食ひものはうまい物のない所だ」と書き綴ったことから広まった「奈良にうまいものなし」という言葉は、平井さんを含め奈良の食に携わる人々を苦しめてき、と平井さんは言う。

しかし、日本の歴史を辿れば、奈良をルーツとしているものは多く、それを取り巻くストーリーはとても重厚。それらは1000年以上も受け継がれていて、奥深い。

ただ、歴史は見た目には現れず、その凄さが伝わりにくい。

奈良で印象に残るものと言えば、「鹿と大仏」のようにパッとみて分かりやすいもの。

そういう意味ではかき氷は分かりやすい。
見るからに華やかでおいしそう。世代を問わず、夏になると食べたくなる。
鹿や大仏と同じく分かりやすいアイテムなのだ。

「奈良にうまいものあり」かき氷・柿の葉で新たな風土を伝えたい。株式会社ほうせき箱・平井宗助さん【奈良のガストロノミーツーリズム最前線 Vol.3】

分かりやすい形で提供すると受け入れてもらいやすいということを、かき氷を通して気付かされたという。

「かき氷は奈良の観光課題である、“分かりやすくて美味しい食” “滞在時間の短さに起因する観光消費額の少なさ改善” にコミットできるツールだと思います。今後も継続して奈良の食文化を代表する食文化の一つであってほしいと考えています。」

「奈良にうまいものあり」平井さんは今、胸を張っていえる。

「奈良にうまいものあり」かき氷・柿の葉で新たな風土を伝えたい。株式会社ほうせき箱・平井宗助さん【奈良のガストロノミーツーリズム最前線 Vol.3】

第7回UNWTOガストロノミーツーリズム世界フォーラム


会場参加は食・農・観光関連の方のみ。
一般の方はオンライン配信(要登録)から参加可能。
国内外の注目の料理人やオピニオンリーダーの話を聞けるまたとないチャンス!

【奈良のガストロノミーツーリズム最前線に関する記事】


kakigori ほうせき箱

  • 住所/奈良県奈良市餅飯殿町47
  • 電話/0742-93-4260
  • 営業時間/ 平日10:00~17:00 土日10:00~17:30
    備考/※WEB予約制 ※12:50〜14:00はクローズ
  • 定休日/木
  • 駐車場/無(近隣に有料P有)
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柿の葉茶専門店 SOUSUKE

  • 住所/奈良県 奈良市登大路町 76奈良公園バスターミナル西棟1F
  • 電話/-
  • 営業時間/ 〈ショップ〉10:00~18:00 〈飲食〉12:00~17:00(L.O)
    備考/※SNS要確認 ※飲食営業時間は季節により変動します
  • 定休日/月曜は物販営業のみ
  • 駐車場/無(近隣に有料P有)
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