2022/07/27 19:00
ぱーぷる
【連載】気になるこどもの病気「こころ」と「からだ」
奈良県生駒市にある『たけつな小児科クリ二ック』。
一般小児科・乳児検診・専門外来まで行っている。
院長である竹綱先生は常に全力で子どもたちと向き合い、「子どもたちを守るために小児科医として自分にできることは何か」を日々追求している。
午前診から午後診の間も休むことなく、竹綱先生が運営している向かいの『病児保育室 バンビ』の診察や、子ども発達サポート『のびいく』に顔を出す。
月に1度発行されるA4サイズのおたよりには、
片面には季節に応じた子どもの病気やトラブル、もう片面には先生のプライベートな話が。
くすっと笑えるありのままの文章に、飾らない竹綱先生の人柄が表れている。
そんな先生の一生懸命な姿に、子どもたち、親御さんからの信頼が厚い。
竹綱先生に子どもたちの病気やからだのこと、気になることをテーマ別で教えて頂く連載企画。
今まで、「インフルエンザ」、「感染性胃腸炎」や「食物アレルギー」についてなどの話を伺ってきたが、9回目となる今回のテーマは、今の季節に心配な「子どもの熱中症」についてお聞きした。
vol.9 油断すると大事に至ることもある、こどもの熱中症
Q1. 子どもの方が大人より熱中症になりやすい?
竹綱先生:子どもと大人の熱中症の症状は大きな差はありません。
ただ、子どもは体温調節機能が未熟なことや、成人よりも外で遊ぶなどの生活活動強度が強いため、熱中症になりやすい環境にあります。
また、子どもは自分が熱中症になるかもしれなという考えがないため、水分をこまめにとるという考えに至らず、熱中症を発症しやすいと思います。
Q2. 熱中症になるのはどんな時ですか?
竹綱先生:熱中症は水分と塩分の喪失が原因となり、高温多湿の環境では熱中症の発症が多く時期でいうと6月から7月の梅雨時期から9月半ばくらいまでが熱中症に気を付ける時期となります。
その理由としては、気温が上がる8月、9月は気温の上昇から自然と水分を摂取しますが、梅雨時期の十分気温が上がらない場合は水分摂取も控えめになるためです。
Q3. 熱中症かどうかはどうやって見分けたらいいの?
竹綱先生:先程もお話したように、熱中症は水分と塩分の喪失から起こるため、異常に汗をかいている、おしっこが出ていない(回数が少ない)、体熱感があるなどの症状を認めた場合は熱中症を疑う必要があります。
特に子どもの熱中症は急激に症状が悪化し、場合によっては入院して治療を行う必要もあり、熱中症の疑いがあれば小児科を受診するようにしましょう。
Q4. 熱中症にならないために気をつけることは?
竹綱先生:熱中症の予防は水分をこまめにとることが非常に重要になります。
子どもの多くは室内より室外で熱中症を発症するため、炎天下では帽子をかぶったり、日陰で休んだりと体温を下げる工夫も大事になります。
体温を下げる工夫としては、大きな血管の温度を下げることも有効なため、首や脇をアイスノンなどで冷やすことも有用です。
おでこに熱さましのジェルシートを貼る子どもも多くみられますが、直接的な解熱効果はありません。家庭でできる熱中症対策はこまめな水分摂取、塩分摂取です。
さらに熱いなど感じた時はエアコンを使用し涼しい環境を作る、扇風機などで体温を下げる工夫をすることも大事です。
熱中症は29℃を超えると発生率が上昇するという報告もあり、温度計や湿度計を置くことも、危険因子を可視化できるため、熱中症の予防に有効です。
Q5. 病院に行くタイミングは?救急車を呼んだ方がいい?
竹綱先生:異常に汗をかいている、嘔吐している、活気がないなどは熱中症を疑うサインとなります。
そのような症状がある場合は、小児科を受診するように心がけましょう。
おしっこが出ない場合は脱水が進んでいる可能性があるサインなので小児科への受診は必須になります。
子どもの熱中症は急激に症状が悪化するため、意識がなくなるなどの症状が現れた場合は、ためらわず救急を呼んで、病院で治療してもらいましょう。
Q6. 「熱中症かも」と思った時の応急処置は?
竹綱先生:子どもの熱中症の多くは体温が高くなっているため、解熱させることは重要です。エアコンで室内を冷やし、首や脇を保冷剤で冷やしましょう。
また、解熱剤を使用し、体温を下げる方法も有効です。
次回vol.10 は「熱性けいれん」についてお聞きします。
お楽しみに!
たけつな小児科クリニック
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