子育てコラム生活
2022/06/02 05:00
ぱーぷるmirai編集部

【子育てコラム】子育てとジェンダー「少子化対策とSRHR」


子育てしやすい社会の実現を目指して活動する「Alright Baby」プロジェクト 代表の岩城です。

子育て中のモヤモヤをジェンダー視点で見つめるコラムを連載させていただいております。

>> 前回のコラムでは「少子化対策と少母化社会」ということで、既婚女性は子どもを産んでいるというデータがあるから少子化対策として婚活支援に力を入れよう!みたいになるの何のバグなんですかね(意訳)みたいなことや、産めば自己責任・産まない選択はワガママ扱いされる状況ツラたん(意訳)みたいなことを書きました。

少子化対策はもちろん必要だと思いますが、それはあくまで「産みたい」と思える人が増え、その人たちの希望がきちんと叶う社会にすることであって、大して産みたくもない人にご褒美を積んで産んでもらう社会にすることではないはずです。

産みたい人の希望が叶っていないことが問題なのは前回も触れましたが、私はもう一点、この国が少子化対策をするにあたってもっと大切にしてほしいと思うことがあります。それは「産まない」ことを含めた、女性のSRHR(性と生殖に関する健康と権利)を尊重することです。

少子化対策という観点で言えば、子どもを産みたいという人の願いは比較的叶えられやすいように思います。もちろん、それが不十分だからこうなってしまっているのですが、それでも不妊治療の保険適用や出産一時金の増額など、子どもが増える方向に対してはまだ前向きに検討してくれているように思います。

しかし、私が問題だなと思っているのは逆の場合です。女性が「産まない」選択をする権利が十分尊重されていないことが、逆説的に聞こえるかもしれませんが、少子化とも繋がっていると思うのです。

日本において緊急避妊薬や経口中絶薬は、当事者ではない(自分達の心身が負担を負うわけではない)おじさん達が「性教育が十分でない女性による“悪用”の恐れがある」などという幻想を抱き続け、承認までとんでもなく長い時間がかかっている上に、承認されたものへのアクセスも未だ難しい状況です。ピルも避妊目的の場合は保険適用外です。



また、望まぬ妊娠により「中絶」したい場合、日本では配偶者の同意が必要となります。基本的に中絶は「自己堕胎罪」という罪にあたるのですが(しかも女性だけ)、配偶者の同意があることで例外的に認められるのです。妊娠・出産するのは女性であるにも関わらず、男性の許可が必要で自己決定は罪に問われる世界線…なかなかおぞましいものがあります。望まぬ出産により新生児を遺棄した場合は母親だけがセンセーショナルに実名で報道され罪を問われるというのに、です。

世界的には「女性の中絶の権利」は守るべき人権とされています。女性の身体は女性のものなのです。

女性が安心して避妊・中絶すらできない社会で、女性が安心して出産できるわけがないと、私は思います。それは、女性のSRHRが尊重されていないということであり、本当に少子化対策に取り組みたいのであればここと向き合うべきではないでしょうか。

実際、フランスでは女性が「産まない」ことの権利を獲得し、産む・産まないが自己決定であるという理解が広まったことで、むしろ「産む」ことを選ぶようになったとのことです。

少子化対策が女性のSRHRを無視し、女性を“子どもを産む存在”としてコントロールしようとしている限り、子どもを産み育てやすい社会にはなり得ないのではないでしょうか。

女性の身体は女性のもの。女性のSRHRを尊重した結果として少子化が加速するのであれば、我々はそれを受け入れていくしかないと思います。人権を侵害してまで子どもを増やしたい!などと考えることはとんでもなく恐ろしいことですから。





《コラム執筆者》
Alright Baby 代表 岩城はるみ


高校教諭を7年務め、自身の第2子出産を機に退職。
その後、子育てに関わる事業を立ち上げる。

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