子育てコラム生活特集
2022/02/08 11:30
ぱ〜ぷるmama

「子育てしやすい社会」とは②〜父親の育児をあらためて考える〜

「子育てしやすい社会」とは



平成の初めに、専業主婦世帯よりも共働き世帯の割合が多くなり、今や家事や育児を夫婦で協力し合うのが、家族像のひとつとなりつつあります。その中で、父親はどのように「子育て」に関わり、どのような考えを持っているのでしょうか。職業や立場の違う3人のパパが集まり、「父親の育児」について、実体験を踏まえながら話してもらいました。



「子育てしやすい社会」とは



三宅町⻑
森田浩司さん

男の子(1才8ヶ月)のパパ。全国で2番目に小さい町の町長。
第一子の誕生を機に、無期限で時間育休を取得して話題に。妻は看護師としてフルタイムで働く共働き世帯。



「子育てしやすい社会」とは


生駒市役所職員
村田充弘さん


男の子(小学1年生と年少)のパパ。広報の部署で働くが、プライベートでは、キッズダンスコンテスト「ラグーンフェスタ」主宰の顔を持つ。
妻もフルタイムで働く共働き世帯。


「子育てしやすい社会」とは


株式会社SETSUNA 代表取締役
吉永大さん


女の子(5才と2才)のパパ。
WEB制作会社の経営者でありWEBエンジニア。「きなりと」「なら国際映画祭2020」「和になる高取」「BONCHI」など、数々のWEBサイトを手がける。
妻は妊娠する前から専業主婦。


「子育てしやすい社会」とは


【ファシリテーター】
株式会社エヌ・アイ・プランニング
椿野唯仁さん


新婚で共働き夫婦。中小企業の会社員。奈良クラブや奈良シニア大学で働く経験を経て、奈良のローカルメディアの情報発信やイベントを手がける現会社へ。
いずれ子どもができたら参考にするべく当座談会のファシリテーターを務める。


【取材場所】
三宅町交流まちづくりセンターMiiMo

レンタルスペースや図書フロア、子育てスペース、コワーキングカフェ、食堂や学童保育クラブ、子育て世代包括支援センターが併設された
町の交流スペース。

住所:奈良県磯城郡三宅町伴堂689
開館時間:9:00〜21:00(図書フロア・自習スペースは19:00閉館)
TEL:0745-44-3082(代表)/0745-44-3083(MiiMo運営室)
休館日:毎週月曜/年末年始



椿野さん)
普段、どのようにお子さんと
関わっていますか?


「子育てしやすい社会」とは


森田町長)妻が妊娠したとき、保健師さんとの雑談で「どんなことをしたら母親は喜ぶの?」と聞いたら、「毎日1時間でも子どもをみてくれると気が楽になる」と。それを聞いて、職場の理解もあり、無期限で短時間育休を取ることにしました。今は、保育園の送迎や寝かしつけは僕がして、お風呂や保育園の用意は交代でします。家事は、洗い物と米を炊くのは自分の仕事。職場が近いので、朝は自分のお弁当を詰めて洗濯物を干し、子どもにご飯を食べさせて保育園に送ってから働きに行きます。土曜は妻が仕事なので一日子どもの世話をします。家事や育児は夫婦で話し合いながら、役割分担をしています。最初は沐浴すら恐る恐るでしたが、今は子育てが楽しいですね。

吉永さん)僕は特別なことはしていないです。妻が専業主婦なので、どうしても妻のほうが子どもといる時間は長いです。上の子が反抗期で口も立つようになってきたのですが、どちらかが怒ったらどちらかが怒らないようにして、夫婦の中で逃げ場所を作るようにしています。「今のはダメでしょ」と自分も怒りたい時があるんですが、妻が怒っていたらグッと堪えて「そういう時もあるよな」と子どもを慰めるようにしています。お風呂に入れたり、子どもを連れて一緒に出かけたりもします。

村田さん)妻もフルタイムで仕事をしているので、子育て・家事は半分ずつ分担しています。僕は子どもとベッタリです。男の子ふたりなので3人で男旅をしたり、家でもよく話したりしています。子どもの成長と共に友人関係も見えてきて、子どもの友達とも仲良くなります。「○○ちゃんと結婚する」「こんな嬉しいことがあってん」など子どもの話しを聞いたり、「父ちゃんは今日、みんなの前で話さないといけないねん。大丈夫かな?」と僕が相談したり、対等な立場で接しています。保育園の送り迎えは妻と当番制。保育園から体調不良の連絡がきたら、お互いの状況を話し合ってどちらが迎えに行くか、次の日は休むかなどを決めています。共働きのフルタイムで条件は同じなので、その都度妻と話し合います。

椿野さん)父親としてどのように育児の情報収集をしましたか?

森田町長)やっぱり奥さんから聞くことが多かったですね。

吉永さん)産まれる前に子育て教室へ1回行ってみました。甥っ子がもう高校生なのですが、赤ちゃんから成長を見ていたので少しは慣れていましたね。

村田さん)両親学級へ行ったり、育児本を読んだりしていました。

椿野さん)男友達や職場の男性から情報を得ることはありましたか?

全員)・・・無いですね〜。

森田町長)周りにお子さんがいる男性もいるんですが、なぜか女性のほうが聞きやすかったです。

村田さん)父親は人によって子育てによく関わっている人もいれば、働く環境などが原因で思うように関われない人もいます。なので、オープンに子育てのことを話しにくい雰囲気です。相手がどんなふうに育児のことを考えているかわからないので、なんだか「イクメンアピール」をしているように思われたら嫌だなというのもあって、探り探りで話しをしてしまいますね。


「子育てしやすい社会」とは



育児休業を取りたくても、
実際は取れていない男性もいるようです。
これについてどう思いますか?


森田町長)私は特殊性が強い職種なので参考にならないかも知れませんが、取りやすい職場とそうではない職場があって、環境で左右されるように思います。公務員は段々と取りやすい雰囲気になってきていると感じていますが、民間企業はどうですか?

椿野さん)育休制度にのっとるので、育児休業給付金は休業開始前賃金の67%(※1)になります。取得したいと思っていても収入が多少なりとも減るため、家庭の状況によっては躊躇する男性社員がいるかもしれません。2022年から育児・介護休業法が徐々に変わるようなので、調べてみたいと思います。僕の妻はフルタイムで働いているのですが、夜勤のある仕事なので、子育てとの両立は難しいと、妊娠を機に辞めざるを得ないと考えるかもしれません。しかし、これは子育てが女性に偏っているためで、男性もしっかりと子育てに関われば辞めずにすむんだと思います。これがジェンダーの課題だと思うので、もし僕たちも子どもを授かることができたら、夫婦で話し合いたいと思います。

村田さん)育休制度としては整っているのですが、男性同士で子育ての話をすることが少ないので、言い出せない空気感があるかと思います。「取るな」と言われたわけではなくても、言えない人も多いのではないでしょうか。今、話しているようなことが男性の間でも増えていけば、家庭のことを言いやすい環境になって、職場でも理解が広がると思います。

吉永さん)僕の場合は自営なので、子どもをみるときは家で仕事をすることができ、育児のために休む・休まないという感覚ではないですね。共同経営者も中学校からの友達なので気を使うこともありません。「ちょっと子どもの具合が悪いから家にいるわ」と気軽に言える環境ですね。昼に子どもをみなければいけなかったら夜に仕事をすればいいし、時間や場所に縛られない仕事なので両立はしやすいですね。

森田町長)実は町長という仕事も決まった労働時間がなく、子育てしながら仕事を回していくことができるので、無期限で短時間育休を取ることにしました。しかし、公務なので災害など何かがあれば、家族を放ってでも仕事に行きます。台風だと役場に泊まり込みますし。

椿野さん)働く環境で全然違いますね。小規模の民間企業だと、一人が抱える業務量が多くて、自分が抜けると迷惑がかかるので他の人に任せられないとか、「その仕事、誰がするの」といった空気感があるような気がします。女性は産休育休を取って、みんなでフォローして当たり前。「男性は働いて、女性は育児・家事」と、何となくまだそんな感覚を持っているんじゃないかと。僕自身も「男である以上、稼がないといけない」と思ってしまいますし…。



「子育てしやすい社会」とは


森田町長)理想でいうと、子どもを連れてきて働ける職場が増えれば良いのではないのかと思っています。男性も女性も育休を取ると社会との接点がなくなるように感じて、ストレスになる人がいるかもしれません。職場に赤ちゃんを預けられる環境があればスムーズじゃないのかなと。

吉永さん)僕は経営者というのもあって、最近、女性の採用を決めたんです。今こういう意見を聞きながら、社員のことを考えないといけないなと。面接の時、働き方のことなどを聞かれたので「大丈夫」と答えましたが、本当に大丈夫なのかと。誰かが抜けたときにどう仕事を回していくかを、経営者として考えないといけないですね。

森田町長)オンラインで働くという選択肢ができたので、家からでも会議や打ち合わせがしやすくなり良かったです。オンラインを使えば、職場復帰もしやすく、育児に参加しやすくなるんじゃないかと。育休中も社会と接点を持ち、職場復帰する準備ができて、コミュニケーションも取れる環境を考えられないかと思っています。

椿野さん)例えば、育児休業給付金が賃金より下がるのではなく、100%もらえることになったらみんな取るのではないでしょうか。収入が下がるうえに、立場を失うかもしれないと思って取りにくい。産後うつなどの課題も父親が平等に子育てをすることで改善されるのなら、男性もちゃんと育休を取ったほうが良い循環になっていくと思います。


※1 育児休業開始時賃金日額╳支給日数(通常は30日)の67%(育児休業の開始から6ヶ月経過後は50%)。なお、育児休業給付金は非課税のため所得税はかかりません。また、育児休業中の社会保険料は免除されます。


椿野さん)
お子さんとの関わりで
大変なときはありますか?


「子育てしやすい社会」とは


森田町長)私の顔をいじくって笑ったり、朝に時間がないと言っているのに急いでくれなかったり。焦っているときに限って、ご飯をぺっと出したりする。「こっちの靴がイイ!」とかこだわり出す。そういうときは困りますね。3〜4ヶ月くらいのときに、寝かしつけの抱っこをしないと決めて、ベッドで横にならせて側で見守ったんです。泣いても「嫌いだから抱っこをしないんじゃないんだよ」と、寝るまでずっと話しかけていました。すると3日目くらいから、抱っこをしなくてもスッと寝るようになりました。今は眠くなると私のところに来るので、ベッドに連れて行くだけでコテッと寝ます。赤ちゃんでもちゃんと伝えたら理解するんだなと。納得したらできるようになるんだと思いました。

吉永さん)長女が5歳なのですが、お風呂をいつまで一緒に入って良いのか悩んでいますね。娘なので、父親との関わり合い方に悩むことがあります。また、子どもをみるため早く帰って家で仕事をするときは、まずご飯を食べさせて、お風呂に入れ、寝かしつけてから睡眠時間を削って仕事をするので、確かに体はしんどいですが、そこまで辛くは思っていないです。自分の采配で責任をとって両立させるほうがやりやすいです。

村田さん)妻が育休から復帰したとき、1歳の子どもがインフルエンザにかかって、保育園を5日間休むことがありました。僕も仕事を休んで世話をしたんですが、泣き続ける子どもを抱っこしたり寝かしつけたり、たった2日間でしたが大変でした。子どもを抱きながら無意識に外を歩いていたくらい、とても辛かったです。祖母の介護もあり、ダブルケアをしていたので精神的に参りましたね。そのときまでは、どこか他人ごとのように子育てに関わっていたように思いますが、初めて父親としての自覚を持てました。また、下の子が赤ちゃんの頃から妻にべったりだったので、いつか逆転したいと思っていました。時間がなくても手を止めて話を聞いたり、短時間でも一緒に遊ぶ回数を増やすようにしたり、細かく濃い時間を過ごすようにしました。すると、3歳のときに「好きな人は父ちゃん」と言ってくれました。そのときの嬉しさは今でもよく覚えています。


最後に、お子さんにはどんな風に
育ってほしいですか?


森田町長
何でもやりたいことをしてくれたら良いですね。好きなものを見つけてとことんやったらいいし、飽きたらやめたらいい。でも、自分で決めたことは自分の責任でもある。日常生活の中で、もうそういう話をしています。どんなことも親が決めるんじゃない。自分で決める力を持って好きなことをしてほしいと。まだ幼いですが、伝わると思って子どもに言い続けています。自由には責任があると思っています。


村田さん
子どもと自分は別人格なので、意志をできる限り尊重したいと思っています。小学生になるとちょっとずつ巣立っていくのが見えてきて、これからもっと広い世界へ飛び立って、やりたいことにどんどんチャレンジしてほしいですね。そして、自分はいつでも安心して帰って来られる安全基地でありたいと思っているので、今は子どもとの信頼関係を築く基礎を作っているところですね。


吉永さん
子どもには、好きなことをしてくれたらいいと思っています。今も好きなことができるような環境にはしています。女の子なので自分との関係性がどうなるかな?今は無邪気に喋ってくれているけど、いつまで喋ってくれるのかな?抱っこしたりギュッとしたりするけど、いつまでできるのかな?むちゃくちゃ可愛いんですが、いつかは離れるときが来るでしょう。寂しいと思う日が来るんでしょうね。


椿野さん
この座談会で、当たり前のように子育てされている方と出会えて、勉強になりました。男性の育児のリアルな話を聞くことがあまりないので、男性同士でも日常的に話せるようになると良いなと思いました。仕事、夫婦の関係など、環境でこうも違うんですね。自分から子育てに歩みよって、学びながらアップデートしていくことが大切だと感じました。でも、こういう人たちを「イクメン」と括ったらダメですね。自分の子どもの世話をするのは当たり前として、育児をされているので。


「子育てしやすい社会」とは




※本特集では撮影時のみマスクをはずし、
座談会はマスク着用のうえ
行っております。


「子育てしやすい社会」とは



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