子育てコラム生活
2021/12/04 05:00
ぱーぷるmama

【子育てコラム】子育てとジェンダー「『女の子だから/男の子だから』を疑ってみる」

子育て中のモヤモヤをジェンダーの視点で見つめるコラムを連載させていただいております。


さて。前回までは「お母さんだから/お父さんだから」について書きましたが、今回は子どものジェンダー「女の子だから/男の子だから」についてです。

先日、ある小学生から「私ばかり家のことを手伝わされる。お兄ちゃんもやってよ!と言うと、お前は女の子なんやから手伝うのが当たり前やろって言われた」という話を聞きました。

勿論、その子が見ていないところできっとお兄ちゃんも何かしら家庭での役割を担っているでしょうし、あからさまに女の子にだけ手伝わせているということではないと思います。しかし、例えばお料理の手伝いは女の子に、物を運んだりするのは男の子に、といったように、女の子と男の子で任される手伝いの種類が違うというのは、多くのご家庭であり得ることではないでしょうか。

子ども達は、何気ない日常生活の中においても社会から「女の子として/男の子として」の扱いを受け、ジェンダー規範に晒されています。

「女の子なんだから、そんな乱暴な言葉遣いをしちゃダメ」とか「男の子なんだから、それくらいのことで泣いちゃダメ」といったように、周りの大人たちからかけられる言葉の中にもジェンダー規範は数多く存在します。もちろん「ダメ」といった否定的なものばかりでなく「男の子はやんちゃなくらいがいいわよねー」とか「さすが、女の子は気配りができるねー」といったような褒め言葉であっても同じです。とりわけ一緒に暮らす家族からの言葉というのは、一つ一つが些細なことであったとしても、蓄積されれば大きな差となります。

実は、同性の親ほどジェンダー規範を強化しがちであるとも言われています。母親は娘に、父親は息子に。自分自身が期待されてきた、そしていつの間にか内面化している「女らしさ/男らしさ」を、よかれと思って子どもにも伝えるのだと思います。しかし、ここで少し立ち止まって、本当に「女の子だから/男の子だから」という結びつけが必要であり適切であるのかを考えてみたいところです。



昨今、おもちゃ売り場での「女の子のおもちゃ/男の子のおもちゃ」という表現がなくなってきているというニュースをよく耳にします。これまで当たり前のように「女の子はお人形遊びが好き」「男の子は乗り物のおもちゃが好き」といったステレオタイプで区分されてきましたが、実はこれも周りからの働きかけが大きく影響しているのではないでしょうか。

私は生後2カ月~1歳前くらいの赤ちゃんと触れ合う仕事を10年ほどしていますが、おもちゃを自分自身で手に取って遊べるようになる6ヶ月~1歳くらいの赤ちゃんを見ていると、バスのおもちゃに興味のある女の子や、お人形に興味のある男の子はたくさんいます。しかし、私を含め大人が赤ちゃんに何かを手渡すときは、ついつい男の子にはバスやブロックを、女の子にはぬいぐるみやお花を選んでしまいがちです。

女の子ならこういうものを好むはず、男の子ならこういう振る舞いをするはず、という思い込みは大人が持っているものであり、そのように触れ合い育てることで後天的に子どもの差が生まれるのかもしれません。


とは言えやっぱり女の子と男の子は違うでしょ、という意見も分かります。性差そのものがないと言っているわけではありません。ただ、日常生活で「女の子だから/男の子だから」と区別されがちな好みや振る舞い、ものの考え方などに関しては、果たして女の子と男の子で先天的に大きな違いがあるのか、またそれは個人の差では片付かないレベルなのか、ということを丁寧に気にしていきたいと思うのです。


一時期「女性脳・男性脳」という概念が流行りました(敢えて過去形で言わせてくださいね)。女性と男性ではそもそも脳の作りが違うから、ものの考え方や好みも違うのだというものです。これを受けて「夫にはこういった言葉かけが有効」だとか「妻にはこう対応しましょう」というような謎アドバイス(略して謎バイス)が量産され、私のお焚き上げは多忙を極めました(>> 前回のコラム参照)。またそれは「女の子の育て方」と「男の子の育て方」が違うのだということを大前提とする子育てHow to本などにも色濃く反映されています。

しかしこの女性脳・男性脳という概念、脳の「構造上の違い」「機能の違い」「顕在化する能力の違い」の繋がりがあまり明確にされておらず、科学的根拠に乏しいと言われています。

このような根拠のないものによって子どもへの対応を変えるのは、私にとってはかなり攻めた行動に思えますし、「A型の子の育て方」「O型の子のしつけ方」みたいなものと同じくらい、ネタ以上の意味を感じません。そもそも相手を個としてではなく属性でカテゴライズしてアプローチするなんてナンセンスです(満を持してルー岩城の登場です←平成生まれに通じるだろうか)。


相手を傷つけてしまうような言葉遣いは女の子でも男の子でもやめた方がいいし、悲しいことや辛いことがあれば女の子でも男の子でも泣いていいし逃げていい。
何か大切なことを伝えるときほど、「女の子だから/男の子だから」と結びつけるのではなく、きちんと理由を伝えていきたいものです。

子育てする中で、ふと口をついて出てしまう「女の子なんだから/男の子なんだから」というフレーズに少し敏感になってみませんか?これは我々大人にとっても、自分自身に刷り込まれているジェンダー規範を学び落とす絶好のチャンスかもしれません。





《コラム執筆者》
Alright Baby 代表 岩城はるみ


高校教諭を7年務め、自身の第2子出産を機に退職。
その後、子育てに関わる事業を立ち上げる。

>> 子育てしやすい社会へ「Alright Baby」
>> 親子教室「KOJIKA no Ouchi」
>> Instagram

お問い合わせ・お仕事の依頼は>> MAILまで。


関連特集
>>前のコラム【子育てコラム】子育てとジェンダー「ママの笑顔、そんなに大切?」
>>次のコラム【子育てコラム】子育てとジェンダー「イクメンくん、さようなら。」

スマホへのインストールはこちらから

おすすめ


  • 【子育てコラム】基本的信頼感と自己肯定感


  • 子どもを真ん中にして考えよう 【子どものふくし − 里親制度 −】


  • 【玉井先生セミナー動画配信】– Vol.43 – 子どもたちが必ず持っている“強み”①


  • 【子育てコラム】自然を楽しもう


  • 【子育てコラム】夢を見える化する魅力


  • 【子育てコラム】子どもの自己主張は家族の成長