2020/12/31 00:00
ぱ〜ぷるmama

【子育てコラム】東京オリンピックとカーディガン
東京オリンピック期間中にデーリー選手が完成させたカーディガン。
上牧で服作りの会社を運営している合同会社ヴァレイの谷と申します。
2021年7月23日にオリンピックの開会式が開かれ、9月5日までオリンピック、パラリンピックのさまざまな競技が行われます。新型コロナ禍での開催やオリンピック日本代表選手のメダルラッシュなど賛否が分かれるところかと思います。
しかしそんな中、縫製業界に身を置く私には無視できない素敵なニュースが流れてきました。高飛び込みで金メダルを獲得したイギリス代表のデーリー選手が試合の合間に”編み物”をしているというのです。そしてさらに金メダル獲得後、選手村を離れるまでに立派なカーディガンを完成させたのです。「東京にきたとき、このオリンピックを思い出せるように何か作りたかったんだ」とコメントしています。編み物をする姿が徐々に話題になり、有名なファッションメディアのVOGUE JAPAN でも「ついにデーリー選手のカーディガンが完成した」と記事を書くほどでした。
メディアで注目されたのはここまででした。しかし、実はこのインスタグラムでの投稿をきっかけに認知が拡大しているのを機に、デーリー選手はその投稿で「脳腫瘍患者へのサポート、研究をしている機関」への寄付を行なったのです。
元々、コロナウイルスによるロックダウンによって編み物を始め、その後オリンピックの練習を続ける合間に実力をどんどんと伸ばしていました。そして、自分自身の思い出のために編んだカーディガンが注目を集め、競技でも金メダルを獲得。その後、オリンピックやカーディガンで得た知名度を活かしてチャリティーを行なっているのです。
スポーツや編み物などの趣味は本来自分のためにやるものです。しかし、プロ選手となればまた別の話で国やスポンサーやファンのために競技を行います。応援してくれている人たちのためにしっかりとその声を背負い、結果を出していきます。ただでさえすばらしい姿勢なのに、それに驕りを見せず誰かのために動く姿勢を見て、僕は感動しました。
以前のコラムでも「ものづくりは本来、誰かを思ってやるものなんじゃないか」と書きましたが、まさにその通りだと思いました。自分のために作ったものであっても、常に誰かのことを思いやる姿勢を持ち続けることのすばらしさ、僕も見習いたいと思います。
【コラム執筆者】
谷 英希
合同会社ヴァレイ代表
MY HOME ATELIER、6歳からの縫製教室VALLEY SEWING JAMの運営など
ガイアの夜明け出演などメディア出演多数
>> 合同会社ヴァレイ
>> キッズソーイングスクール
谷 英希 twitter I_hideki22