2025/01/23 18:00
ぱーぷる編集部(喜畑恵太)
関西ではもう見られないかも!?「2メートル」の肖像彫刻が奈良で観られるチャンス|「特別公開 秘仏 深大寺 元三大師坐像 ―日本最大の肖像彫刻―」
奈良で秘仏に会える!
鎌倉時代の巨匠が創り上げた、高さ2メートルの元三大師坐像。
奈良国立博物館での修復を経て、今、その姿を現す。貴重な仏像と、匠の技が結集した修復過程にも注目。
なぜ、奈良で?
東京都にある深大寺で秘蔵されている元三大師坐像。
なぜ元三大師坐像が奈良で公開されるかというと、奈良国立博物館の文化財保存修理所で、3年にわたる修復作業が行われたため。
はぎ目の補修や剝落止めの作業など、高度な技術が必要とされるこの修復作業を成功させたことは、奈良の文化財保存技術の高さを示しているといえよう。
元三大師とは?
元三大師は、平安時代の天台宗の僧・良源のこと。
比叡山延暦寺の中興の祖として知られ、お正月である1月3日に亡くなったことから「元三大師(がんざんだいし)」と呼ばれるようになった。
厄除けの御利益があるとされ、広く信仰を集めている。
秘仏の魅力
この元三大師坐像は、深大寺では50年に一度しか開扉されない秘仏として知られていた。
205年ぶりに出開帳された2021年の東京国立博物館での特別展では、その大きさと迫力に圧倒された来場者から「ラスボス感」など、ユニークな表現で、SNS上で話題となった。
鎌倉時代に作られたとされ、高さ約2メートル、重さ約200キロという圧倒的な存在感を放つ元三大師坐像。
作者は不明だが、鎌倉幕府といった国家的な力でないと造像できないと専門家はいう。
このお像は、寄木造という手法で作られている。
「首から上の部分と胴体は作られた時代が違うのでは?」という話もあったが、木目がぴったり合っていることから、同時代に作られたものでほぼ間違いないそう。
普段は深大寺の元三大師堂の8畳くらいの巨大な厨子に納められている。
これを東京都の深大寺から奈良県まで運んだ。
首から上と胴体は外れるため、分けて運送。
胴体は倒れないようにお神輿みたいなものにくくりつけて、精密機械を運ぶトラックで慎重に奈良まで運ばれたそう。
深大寺の住職は語る
深大寺の張堂興昭住職は、
「天台宗に伝わる文献だけでは、なぜこれほどの大きな肖像彫刻が作られたのか典拠が不明です。中世などの様々な物語にヒントとなるものが出てくるのではないかなど、いろいろな期待があるので、専門家はじめ一般の方々も含めて議論が深まっていけばと思っております。」
と語っている。
修理のため奈良の地を訪れた元三大師坐像。
関西で見られるのは最初で最後かも!?
開催概要
●会期: 2025年1月15日(水)~3月16日(日)
●会場: 奈良国立博物館 なら仏像館
●開館時間: 9:30~17:00(入館は16:30まで)
※3月1日(土)~11日(火)・13日(木)・14日(金)は18:00まで。
※2月2日(日)、3月12日(水)は19:00まで。
●休館日: 毎週月曜日、2月25日(火)
※2月24日(月・祝)、3月中の月曜日は開館
●観覧料金
一般700円、大学生350円
※高校生以下および18歳未満、満70歳以上、障がい者手帳またはミライロIDをお持ちの方(介護者1名を含む)は無料。
※高校生以下および18歳未満の方と一緒に観覧される場合、子ども1名につき、同伴者2名まで一般100円引き、大学生50円引き。
※この観覧料金で特別陳列「お水取り」・名品展「珠玉の仏教美術」、「珠玉の仏たち」、「中国古代青銅器」も観覧可能。
●交通アクセス
近鉄奈良線 近鉄奈良駅より徒歩約15分