2024/03/11 09:00
ぱーぷる編集部
「なぜ奈良にお寺が多いのか」「古代のボードゲーム」や「平安時代のスイーツ」などを子どもたちが学ぶ『ジュニア・コトクリエカレッジ(歴史)』開催レポート
大和ハウスグループ「 みらい価値共創センター コトクリエ(主催、所在地:奈良市)」にて、小学4年生、5年生、6年生を対象にした「ジュニア・コトクリエカレッジ(歴史)」が2023年12月2日(土)から2024年2月18日(日)の期間、全3回のプログラムで開催されました。
ジュニア・コトクリエカレッジは、子どもたちが「好き」と向き合い、未来を切り拓く5つの教養をテーマに、地域や地球の様々な課題を理解し、生き抜く力のヒントを新しい仲間と身につけてほしいという想いで企画されています。
本記事では、全3回に渡って行われた「ジュニア・コトクリエカレッジ(歴史)」での取り組みを紹介します。
第1回「大仏さんはなぜ大きい?奈良に寺が多いわけ。奈良の謎に迫る!」
第1回目の講師は、『薬師寺 本坊主事』の高次 喜勝さんが務めました。
奈良県にはなぜお寺が多いのか?
なぜあの仏像はおおきいの?
なぜ金剛力士像は怖い顔をしているの?
などなど気になる謎がおおい仏教。
そんな仏教の歴史を知ることで、謎を紐解いていきました。
奈良の仏教を通じて、様々な謎が隠されている奈良の歴史に迫り、昔の人々が信仰してきた大切な秘密を学びました。
まずは、仏教や仏さんについて、行基や、聖武天皇の功績や大仏建立の理由を用意ながら解説をしてもらいました。
そして2,000年~1,300年前の歴史の中で、奈良に仏教を広めた人はだれか、どの様に支えてきたのかを学びました。
また、どのお寺がどの時代にできたのか、なぜそこにお寺があるのか、仏教と人間の生活の繋がりについてお話しをしてもらいました。
昔の人がお堂を建てた理由や昔の人の営みについて学びました。
聖武天皇は仏教の力によって社会的な不安を取り除き、民衆の人々が安心して暮らせる世の中になるようにと願い東大寺を建てた事を知った子どもたち。
その時代の人々が信仰を必要とした理由について理解し、お堂の大切さを知りました。
次に、歴史あるお寺が今も綺麗に残っている理由と、それを支えている人たちについて宮大工の石井棟梁から学びました。
1000年以上前の建物を支えている道具や技術と歴史について解説をしてもらいました。
実際に使っている釘と道具を目の前に、子どもたちは目をキラキラさせて興味津々のようでした。
実際に石井棟梁が釘打ちのやり方を子どもたちに披露しました。
鉄と鉄がぶつかる大きな音に驚いました。
しかし、その迫力と見る見るうちに木の中へ刺さっていく釘に興味を惹かれた子どもたち。
まさしく釘付けでした。
大きな釘は普段見る釘やネジよりも柔らかい鉄でできており、釘打ちの方法やコツを伝授していただきました。
次に一人ずつ実際に釘打ち体験をしていただきました。
みんな順番が待ちきれない様子。
体験した子どもたちは、「思ったより重かった」、「釘に当てるのが難しい」等、楽しそうに感想をシェアしていました。
お友達が打った釘がどこまで刺さっているか、どこまで打てば木を貫通するか、体験が終わってからも下から覗き込みたくなるほど、ワクワクだ止まらない様子でした。
最後に『薬師寺 本坊主事』の高次 喜勝さんから、奈良時代の人はどのように考え生きていたかをお話しをしていただき、子供たちに学んだことや、感じたことを発表してもらいました。
第2回「奈良時代にあった!? 古代のボードゲーム 「かりうち」で遊ぼう!」
第2回目の講師は、『奈良文化財研究所 』室長の岩戸 晶子さんが務めました。
奈良時代と現代の生活はどれくらい違うのかしっていますか?
どんな暮らしをし、どんな遊びをしていたのでしょうか。
1300年前に都で大流行した古代のボードゲーム「かりうち」を体験し、今も昔も変わらない人々の暮らしについて迫りまりました。
まずはじめに、奈良時代についてどんな時代だったのか、現代との違いについて例を挙げて説明していただきました。
子供たちには、奈良時代と自分の生活を円グラフに書き込んでもらい、奈良時代の人々と現代人の暮らしの違いを想像してもらいまいした。
また、同じ奈良時代の人々でも、平城京で働く人と地方平城宮で働く人では生活が大きく違う事を学びました。
平城京で働く人は日の出前から出勤していた事に子どもたちは驚いていました。
次に、奈良時代の遊びについて解説していただきました。
スマホもSwitchもない奈良時代の人は不便で楽しくなかったのでしょうか?
奈良時代にも楽しい事がたくさんあった事を説明しました。
天皇や貴族は将棋盤・囲碁盤・投壺・バックギャモンをして楽しみ、一般人はコマ・木トンボ・マリオネット人形・かりうちで楽しんでいたことを学びました。
一般人が遊んでいた、”かりうち”について、出土品から盤を復元していく過程を説明しました。
そして、復元した”かりうち”を使って奈良時代の遊びを体験してもらいました。
スマホゲームやテレビゲームのようなデジタルでないアナログなボードゲームに興味津々な子どもたち。
負けず嫌いな子どもたちは戦略・コツなどを先生から教えてもらいながら楽しそうに体験していました。
かりうちを体験した後は、なぜかりうちは楽しまれたのか、どんな時に遊ばれていたか、どんな立場の人が参加して、誰が審判をしていたのか等を考えて、グループで話し合いました。
そして、各グループの代表者がみんなの意見を発表し、どんな風に考えたのかをシェアしました。
最後に『奈良文化財研究所 』室長の岩戸 晶子さんから、今日の振り返りと総括がありました。
今も昔もどの地域でも、ひとびとには変わらない喜怒哀楽があり、日々のささやかな楽しみや娯楽はいつの世もあるべきものである事。
「きのう」・「さっき」そして「今」もどんどん過去になっていき、今日ここへ来たことやみんなの行動すべてが歴史をつくっていく事。
歴史を学ぶこと、研究することの大切さお話していただきました。
第3回「古典がおいしい! 平安時代のスイーツ を味わってみよう」
第3回目の講師は、『奈良女子大学』協力研究員の前川 佳代さんが務めました。
奈良の都のセレブたちはどんなスイーツを食べていたのでしょうか。
平安時代の『枕草子』にも出てくる古代の甘味料「甘葛煎(あまづらせん)」について学び、実際に昔の人が手にした「甘さ」を体験して古代のロマンを感じてもらいました。
まずは平安時代について、アニメ(おじゃる丸)を用いて解説してもらいました。
平安時代の天皇や貴族の食事、お菓子はどんなものがあったのかを説明してもらい、当時のお菓子にかかせない甘葛煎(あまづらせん)の歴史について学びました。
甘葛煎(あまづらせん)は農家がつくっていたが、農家は食べることが出来ず、天皇や貴族が食べていた事や、奈良時代・平安時代(1300~1000年前)には多く使われていたが、江戸時代(400年前)には原材料も製造方法もわからなくなった幻の甘味料だという事を学びました。
甘葛煎(あまづらせん)をつくる工程の一つ、樹液を取り出す作業を体験してもらいました。
樹液を取り出すために、ツタを口にくわえて透明なコップに樹液を吹き出してもらい、樹液の色や匂いを嗅いでもらってから試食をしてもらいました。
そして、樹液がどんな味だったか、何の味に似ていたかをグループでシェアしてもらいました。
次に平安時代の貴族や天皇は、どんな風にあまづらせんを使っていたかを写真で紹介しながら解説しました。
有名なのはかき氷です。平安時代は氷も貴重で、天皇や貴族以外は食べれない高級なものでした。
他にも、唐の国へ献上されていたり、お香や薬にも使われていた事を学びました。
また、甘葛煎を作る大変さを説明してもらいました。
ツタ3キロから樹液は100cc採れ、煮詰めると10ccしかのこらない事を知り、甘葛煎がかなり貴重なものだと学びました。
本物の甘葛煎を試食!!
天皇、貴族が実際に食べていた本物の甘葛煎を試食し、どんな味がしたか、何の味に似ていたか、樹液とどのように違ったかを考えてもらいグループで意見交換をしてもらいました。
次に各グループの代表者が発表し、みんなの意見をシェアしました。
最後に『奈良女子大学』協力研究員の前川 佳代さんに総括をしてもらいました。
甘葛煎の歴史を振り返ると、古代の人はツタが冬に甘くなり、その甘い樹液をさらに煮詰めることで甘さが増し保存もできることを知っていた事、平安時代には、農民がつくったモノが都へ運ばれて、天皇や貴族が食べていたが、貴族は農民の苦労を知らない事を子どもたちは学ぶことができました。
その学びから「古代の人はどうやって、あまづらせんを発見したのか?」という新しい謎も出てきます。
知れば知るほど出てくる歴史の謎に好奇心をくすぐられた子どもたちは、最後まで先生の話を楽しんで聞いていました。
全3回の講座を休むことなく受講した参加者には、「大和ハウスグループみらい価値共創センター」の熊野副センター長より修了証書が授与されました。
熊野副センター長から参加者たちにメッセージが送られ、参加者へは参加特典としてジュニア・コトクリエカレッジオリジナルバッチがプレゼントされました。
参加者は、喜びの表情を隠しきれない様子でした!