2023/11/17 07:00
ぱーぷる編集部
vol.19 おしえて、おねしょのこと 【連載】気になるこどもの病気 「こころ」と「からだ」|たけつな小児科クリニック|生駒市
子どものおねしょのことで頭を悩ませている方、多いのではないでしょうか。
子どもにどんな声かけをしてあげたらいいの?様子を見たほうがいいの?病院で診てもらったほうがいいの?と迷いますよね。
多くの子どもの夜尿治療とオンライン診療も併用している奈良県生駒市の『たけつな小児科クリニック』院長・竹綱先生に、子どものおねしょ(夜尿症)についてお話を伺いました。
Q1. おねしょは病院で診てもらうほうがよいのでしょうか。 病院を受診したほうがよい目安(年齢やおねしょの状況)を教えてください。
おねしょ(夜尿症)の原因は複数あり、単にホルモンなどの病的な問題だけでなく、1日の水分摂取量、おむつをしているのかどうかなどの生活環境などが関わっています。
たけつな小児科クリニックでは多くの患者さんから夜尿のご相談を受けていますが、ご相談のタイミングとしては、大きく分けて就学前の1年(年長さんの年)と小学校4~5年生の宿泊学習の頃の2つの時期が多くみられます。これは、普段の生活では夜におむつをすることで本人や家族にとって夜尿症の支障がでることが少なかったのが、集団生活において支障がでるときに相談が増えると考えられます。
ただ、年齢が上がるにつれおむつをして寝ることが当たり前になってしまうと、無意識のうちに夜におねしょをしていいと感じてしまい、それも夜尿症に影響すると考えられます。したがって、薬などの治療を始める、始めないにかかわらず、少なくとも就学前には小児科へ相談することをお勧めします。
Q2. おねしょの相談で受診した際、診察ではどんなことをされるのでしょうか。
夜尿症では問診が非常に重要になります。具体的には、夜尿がいつから始まっているのか、頻度、おむつをして寝ているのかなどの生活環境、日中も頻尿なのかを確認しています。
本来であれば、尿検査で尿の比重や膀胱にどれだけ尿がたまるのかなどの検査を行ったうえで治療を開始する必要がありますが、場合によっては検査設備が整っていないことも多く、クリニックでの夜尿症の治療では問診が一番大事になります。
Q3. おねしょで治療が必要となった場合、どのような治療がありますか。
まず、寝る前の水分量を少なくする、トイレに行く、睡眠時のおむつの使用を控えるなどの生活環境を見直すことが大切になります。生活環境を変えても夜尿症が改善しないときに薬やアラーム療法などの治療を開始することになります。
尿は余分な血液を腎臓でろ過して作られていますが、腎臓でろ過された水分の99%が体に戻ります。その残りの1%が尿として膀胱にたまります。その水分が体に戻る量を脳から出されるホルモンが調節していますが、子どもの場合、脳の発達の未熟性からそのホルモンが出す量が少なく、夜尿を起こしている場合もあります。
したがって、小児科ではそのホルモンを補充する薬を内服することで夜尿が改善する場合もあります。また、薬での治療では漢方などが使用されることもあります。
さらに、アラーム療法といって夜尿をした際にアラームが鳴るような機械を使用して、夜尿をしたことを子どもに意識づけして治療する方法もありますが、効果が不透明という点もあり、現在では薬による治療が優先されることが多くみられます。
Q4. 家で取り組めるおねしょ対策を教えてください。 また、おねしょする子どもに対しての声かけや態度で気をつけることは?
まず夜尿に関しては子どもだけでなく、家族も協力し治療を継続することが大切です。先程お話ししたホルモンの薬に関しては長期間(厳密には1か月以上)処方することができないため月に1回受診していただき、経過観察していく必要があります。
自宅でできるおねしょ対策は、子どもに夜尿をしてしまったと意識づけることが必要なため、極力おむつをはかないで寝る環境を作ることが大切です。その方法の一つとして、パンツをはいた上におむつをはくことで子どもは夜尿をしたことに気づくことができ、布団もぬれず家族の負担も軽減できる場合があります。
夜尿をしてしまった場合、子どもに怒らないことも大切です。怒ることで自己肯定感が低下してしまうため、夜尿が改善しにくくなることも想定されます。ただし、小さいときから夜尿を繰り返していると、夜尿をすることが当たり前になっている場合があり、家族が声かけをしたとしても子どもに響かないことがあります。そういった場合には、子どもが夜尿をしてしまったと危機意識を持つような声かけをすることが大切です。
Q5. 子どものおねしょで悩んでいる多くのご家族にたけつな先生からメッセージをお願いします。
子どもの夜尿は単に病的な問題だけでなく、生活環境も夜尿の原因となることを忘れないことが大切です。したがって、夜尿の治療においては子どもだけでなく、子どもを取り巻く家族も一緒に治療をしているんだと認識することが大切になります。
また、夜尿は年齢が上がるにつれ改善が難しくなる場合もあり、少なくとも就学前には一度小児科に相談されることをお勧めします。
院長・竹綱先生
院長である竹綱先生は常に全力で子どもたちと向き合い、「子どもたちを守るために小児科医として自分にできることは何か」を日々追求している。
午前診から午後診の間も休むことなく、竹綱先生が運営している向かいの『病児保育室 バンビ』の診察や、子ども発達サポート『のびいく』に顔を出す。
月に1度発行されるA4サイズのおたよりには、
片面には季節に応じた子どもの病気やトラブル、もう片面には先生のプライベートな話が。
くすっと笑えるありのままの文章に、飾らない竹綱先生の人柄が表れている。
そんな先生の一生懸命な姿に、子どもたち、親御さんから厚い信頼が寄せられている。
【竹綱先生著書】「行列のできる子ども健康相談室 0~10歳児の病気とケガのおうちケア」
たけつな小児科クリニック
- 住所/奈良県 生駒市真弓 1丁目2-8
- 電話/0743-71-0929
- 営業時間/ <午前診>9:00〜12:00
<専門外来>14:00〜16:00
<午後診>17:00〜19:30
備考/※木曜の午後診は16:30〜18:30
- 定休日/日 その他休業日/土曜日の午後診察
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