2023/09/02 08:00
ぱーぷる編集部
「ロケット」「SDGs」などを子どもたちが学ぶ『ジュニアコトクリエカレッジ(科学)』開催レポート
大和ハウスグループ「 みらい価値共創センター コトクリエ(主催、所在地:奈良市)」にて、奈良県の小学校に通う5年生、6年生を対象にした「ジュニアコトクリエカレッジ(科学)」が2023年7月26日(水)から8月18日(金)の期間、全4回のプログラムで開催された。
子どもたちが「好き」と向き合い、未来を切り拓く5つの教養をテーマに、地域や地球の様々な課題を理解し、生き抜く力のヒントを新しい仲間と身につけてほしいという想いで企画したジュニアコトクリエカレッジ。
今回は、小学生の夏休みを活用した科学のプログラムを取材した。
本記事では、全4回に渡って行われた取り組みをご紹介。
第1回「ロケットで宇宙に行き、帰還する方法を学ぼう①」
講師は、全て『放課後研究室ナンデヤ?(所在地:奈良市)』の脇本氏が務めた。
初回は今、注目されているロケット開発などの宇宙事業。
国家主導から民間主導になったことで、昨今注目を集めている。
参加者はまず初めに、宇宙事業に取り組む企業、宇宙旅行や人口流れ星など、宇宙事業の可能性や実例を学んだ。
その後、ロケットをより遠くまで飛ばすためのヒントを学び、参加者は自分の考えを書き出した。
グループワークを実施し、個人の考えを仲間と共有することで新たな気づきや発見があったようだ。
次に、グループでモデルロケットを考案し、部品を組み合わせるロケットを作る工程に移り、実際に発射台からロケットを飛ばした。
発射がうまくいったこと、うまくいかなかったことの理由を改めて考察。
改善することで2回目の発射では、より遠くまでロケットを飛ばせるよう、参加者は意見を交換。
「軽い方が良い」「空気抵抗を少なくするには」「安定するための翼の組み方」など積極的な意見が交換された。
1回目よりも2回目の方がより遠くまでロケットを飛ばすグループが多くみられた。
空気抵抗を少なくするためのアイデアやブレないようにするための工夫など、各グループで異なる考えがあることを知り、知らなかったことをたくさん学んでいた様子。
最後に講師の脇本氏から、ロケットを遠くに飛ばすために必要な構造について総括があった。
どうやらロケット本体の長さ、重りの位置や翼の枚数や大きさがポイントのようだ。
参加者の小学生からは「遠くに飛ばす手段を考えることが難しかった」「次は実際のロケットで試してみたい」「ロケット中に入れる空気の量を知れた」などの意見が発表され、多くの学びがあったことを確信した。
第2回「ロケットで宇宙に行き、帰還する方法を学ぼう②」
今回も前回同様に講師は放課後研究室ナンデヤ?の脇本氏が務めた。
前回の学びを生かして、この回では「宇宙からの安全な帰還」をテーマに、飛ばしたロケットが無事に帰着するための方法を実験を通して学んだ。
飛ばしたロケットを安全に着地するためのパラシュートのよりよい構造や、パラシュートをつける場所などをひと通り学んだ。
その後、参加者はこれまでに実際に起きた事故などを例に、なぜパラシュートが開かなくなるのかを考察した。
事故が起きてしまう可能性のあるパラシュートを用いた着地ではなく、パラシュートを使わずに安全に着地できる帰還船を開発するワークショップが行われた。
安全な着地のために必要な機能を自分で考え、グループワークで考えを共有した。
衝撃を吸収する方法、姿勢を安定させる方法、着地スピードを弱める方法や帰還船の形について、脇本氏からの説明があり、実際に卵を用いて割れない帰還船づくりを実施。
1m、3mの高さから落としても、中の卵が割れないか実験した。
1mの高さから落としても卵が割れずにすんだ帰還船も、3mの高さからでは卵が割れてしまうなど、「なぜ」からはじまる学びが深まっていった。
着地がうまくいったこと、うまくいかなかったことなど、理由を改めて考察し、改善することで2回目の着地では無事に卵を割れないように参加者はグループで意見を交換。
2回目の着地はどのグループも成功したようだ。
「バネは中に付ける方が良い」「卵を着地点から遠くにすると良い」など各グループで異なる考えがあることを知り、知らなかったことをたくさん学んでいた様子だ。
最後に講師の脇本氏から、帰還船を作る構造について総括があった。
衝撃吸収構造例や安定した姿勢でゆっくり落ちる形の例を知り、「そんな形があるんだ」「その発想はなかった」など驚きの反応が見られた。
参加者の小学生からは「面白かったし、色んな人の意見や考え方を知れて良かった」「着地が成功したとき、ものすごくうれしかった。またやってみたいし、もっと良いものをつくりたい」「機体を安定させる、軽くする、細かい穴をたくさんつくることが大切。もっと調べたいと思った」などの意見があがった。
第3回「資源を『つかう責任』と『つくる責任』を学ぼう」
つくる責任、つかう責任とは、SDGs(持続可能な開発目標の)の1つで、食品や化学製品などのゴミ問題に対して、「つくる人もつかう人も地球の環境と人の健康を守れるように責任をもって行動する」という目標だ。
まず、環境問題でたびたび問題視されるプラスチックがどのように作られるのか、プラスチックの良さについて講師の脇本氏から説明があった。
実際にどのような場所にプラスチックが使われているのかクイズ形式で考察。
プラスチックが一番使われている場所が包装材、容器であり、プラスチック破棄量が多いのは会社よりも過程であることを学んだ。
参加者の子どもからは「意外!」「知らなかった」などの声が上がった。
世界にプラスチック消費量やプラスチックがもたらす問題、プラスチックがなくならない理由を個人で考えた後、グループディスカッションでさらに学びを深めた。
その後、環境にやさしいプラスチックとして、生分解性プラスチックを知り、実際に牛乳とお酢を使って生分解性プラスチックをつくるワークショップが行われた。
簡単にできる生分解性プラスチックだが、なぜ世界に普及しないのか原因を考察。
2つ目にはポリカプトラクトンを用いて、どのような製品があれば世に広まるかを考えた。
「プラスチックは便利だがゴミの量などの問題がある」「自然に分解される生分解性プラスチックがある」「生分解性プラスチックはもろいなどの問題がある」など、各グループで異なる考えがあることを知り、知らなかったことをたくさん学んでいた様子。
生分解性プラスチックの特徴やポリカプトラクトンの特徴について、最後に講師の脇本氏から説明があった。
参加者の小学生からは「プラスチックが問題になっていることをはじめて知った」「誰の身体に入っても平気なものが簡単にできたら環境にも優しい最高の物になる」「生分解性プラスチックを初めて知った」など多くの気づきと学びがあったようだ。
第4回「資源を「つかう責任」と「つくる責任」を学ぼう②」
前回学んだプラスチックの良しあしを活かし、プラスチックを使わないアイデアを考察する今回は、紙の可能性を考えた。
紙の歴史や、水に溶けやすい紙や溶けにくい紙など特殊な機能を持つ紙を学び、衣類や教会にまで使われている事例を知った。
中でも、新技術によって新たに生まれる段ボールがどのような構造をしているか、段ボールの機能、拡張性について講師の脇本氏からお話があった。
今回は、「段ボールを使って丈夫な椅子をつくろう!」をテーマに、参加者それぞれが創意工夫を凝らし、座っても壊れない段ボール椅子を作るワークショップを行った。
椅子に必要な機能や、どのように作ると椅子が丈夫になるかを脇本氏よりヒントをもらい、個人での考察を踏まえてグループワークで意見を交換し合った。
その後、実際に椅子づくりに挑戦。
1回目は1人目が乗ると壊れなかったが、2人目が乗ると壊れてしまうグループワークが続出。
なぜ壊れてしまったのか、議論を重ねた。
脇本氏からのアドバイスをもらった参加者たちは、次は壊れる椅子を作りたくないとの想いから必死に考え、構造を見直し、サイズや座り心地まで考えた。
2回目の実験では、多くのグループが、大人が座っても大丈夫な椅子を作ることができた。
最後に講師の脇本氏から、椅子の脚の太さや組み立て方、極力少ない段ボールの量で作る方法を教わったり、プラスチックが広がり、紙がなかなか広がらない理由について説明を受けた。
価格、透明度、軽さ、撥水性、耐久性などの観点からプラスチックが優れていることや、紙を作るために水が必要で二酸化炭素を多く排出してしまう問題点を学んだ。
参加者の小学生からは「プラスチックと紙の良さを理解できてよかった」「重ねるよりもクロスに組み合わせることで強度が増した」「ほかの人にアイデアをほめてもらって嬉しかった」などの意見があがった。
全4回の学びを通じて、互いに交流が生まれ、1回目と比較して積極的な意見交換が見受けられた。
「地域や地球の様々な課題を理解し、生き抜く力のヒントを新しい仲間と身につける」という開催目的に則ったプログラムになったようだ。
修了証書授与式
全4回の講座を休むことなく受講した参加者には、「大和ハウスグループみらい価値共創センター」の熊野副センター長より修了証書が授与された。
熊野氏から参加者たちにメッセージが送られ、参加者へは参加特典としてジュニアコトクリエカレッジオリジナルバッチがプレゼントされた。
参加者は、喜びの表情を隠しきれない様子だった。
ジュニアコトクリエカレッジ後期は、「歴史」と「アート」の各3回を予定しており、12月から開始される予定だ。
学校やおうちとは異なる「サードプレイス」のような環境で、子どもたちの「好き」で未来を切り拓くジュニアコトクリエカレッジから目が離せない。