2023/07/14 07:00
ぱーぷる編集部(喜畑恵太)
お酒の熟成具合は?新たに「お茶」も熟成開始【旧生駒トンネル・生駒隧道プロジェクト】
奈良県生駒市と大阪府東大阪市を結ぶ「旧生駒トンネル」で行われている「生駒隧道(いこまずいどう)プロジェクト」。
お酒を熟成していた奈良県生駒市の『中本酒造店』、大阪府柏原市にある『カタシモワインフード』の2社が熟成されたお酒の様子を見に行くということに。
また新たに大阪府松原市にある『株式会社宇治森徳』が参加するということで、同行させていただいた。
参考)【動画あり】普段は「立ち入り禁止」 「旧生駒トンネル」の新たな活用法をご紹介
日本酒は順調
熟成開始から約1か月半。
トンネル内の環境(年間平均気温約16.7℃ / 湿度約98%)により、熟成のスピードが早まるそう。
左)純米大吟醸「黒」 右)純米酒「神亀之黄金酒 長屋王」
まずは『山鶴』で有名な『中本酒造店』の日本酒から。
純米大吟醸「黒」と純米酒「神亀之黄金酒 長屋王」を熟成させていて、トンネル内で実際に味見を行ったのだが、関係者のみなさん納得の表情。
「ここまでは順調です。トンネル内は湿度が高いので、ふたの裏や瓶の口の部分にカビが生えないか心配していましたが、それもなしです。」
と満足げに語ってくれた。
熟成に約3年かかる純米酒粕焼酎「旅人」もトンネル内で熟成させているのだが、こちらもどうなるか楽しみ。
ワインを逆さまで持って帰る理由とは?
次に河内醸造ワインなどで有名な『カタシモワインフード』。
こちらは試飲をその場で行うことなく持ち帰り。理由をレオさんに聞くと
「テストではかなり熟成が進んだので、このビンテージだとこのくらいがちょうどいいだろうと思い、本日引き上げることになりました。また、ワインには澱(おり)が積もってくるんですよね。これを持って帰って取り除く作業を行います。」
少したまった澱(おり)。瓶の周りにも澱が付いておりこれ以上に溜まってくるそう。
澱(おり)は開栓した時にワインが噴出する原因になるので、製造工程の最後で取り除くのだそう。
「瓶を逆さの状態で熟成させていたのですが、逆さのまま持ち帰らないといけないんです。ビン口にたまった澱(おり)が底に行ってしまうと、またやり直しになるので忘れないようにしないと。」
と普段の作業とは違う持ち帰り方を教えてくれた。
持ち帰られたワインは、この後もう少し時間をかけて製造され、11月頃に完成する見込み。
新たに熟成させるのは「お茶」
今まで「生駒隧道(いこまずいどう)プロジェクト」に参加していた2社はお酒だったが、今回新たに「お茶」の熟成が開始された。
お茶の熟成を開始したのは「かおりちゃん」で有名な『株式会社宇治森徳』。
業務用などで販売する際に茶葉を詰める袋に、今回実験をする茶葉を密閉した状態で、熟成させるそう。
期間はまずは3か月。
商品企画室の天野さんにお話を伺うと
「春に摘まれた新茶を低温保管して、秋まで熟成させる蔵出しのお茶があるのですが、すごくまろやかなんですよね。お茶も熟成で味が変わるので、トンネル内で熟成させるとどんな変化が現れるのかは、全くの未知です。
茶葉の天敵は『光』と『湿気』ですが、トンネル内は湿気があるのでどうなるか、少し不安もありますが、楽しみですね。」
と語ってくれた。
茶葉と同時に、臼で引くことによって抹茶になる「碾茶(てんちゃ)」も同時に熟成を開始。
果たしてどのようなお茶になるのか楽しみ。