2023/07/05 07:00
ぱーぷる
奈良県出身の日本近代陶芸の巨匠・富本憲吉の生涯を振り返る企画展【奈良県立美術館|奈良市】
奈良県奈良市の『奈良県立美術館』にて、2023年7月8日(土)~9月3日(日)の期間で開館50周年記念 企画展「富本憲吉展のこれまでとこれから」を開催。
色絵金銀彩四弁花文飾壺 1960年 国立工芸館蔵 撮影:米田太三郎
1973年3月、竣工した奈良県立美術館の開館を飾ったのは奈良県出身の日本近代陶芸の巨匠・富本憲吉の足跡を振り返った「富本憲吉展」であった。それから半世紀の間、奈良県立美術館では継続して富本の活動を取り上げ、作品の収集に努めてきた。
白磁八角蓋付壺 1932年 国立工芸館蔵 撮影:エス・アンド・ティフォト
富本の50年にわたる陶業は、独自の模様の探求、造形を通した美の表現、量産の試みといった課題に取り組んだ道のりであった。これまでに多くの展覧会が開催される中で、陶芸家としての業績はもちろんのこと、陶芸にとどまらない創作活動の全容にも目が向けられるようになり、デザイナーの先駆者としての側面や窯業地に赴いての活動の様子など多角的に研究が進んでいる。
開館50周年にあたり、富本憲吉をテーマとする奈良県立美術館の展覧会歴をたどりながら、富本の生涯と活動をあらためて振り返る。
楽焼草花模様蓋付壺 1914年 奈良県立美術館蔵
富本憲吉プロフィール
1886年、現在の奈良県生駒郡安堵町に生まれる。1963年逝去。
1904年に東京美術学校(現・東京藝術大学)図案科に入学し、1908年からはロンドンに留学。帰国後は木版画や書籍の装幀、染織品や革製品の制作などを手がけ、図案を軸にした芸術活動を展開した。
親友の影響で1913年に楽焼の制作を始め、ほぼ独学で陶芸の道を歩み始める。白磁や染付を中心に充実した作陶を続け、1936年の九谷滞在以後は華麗な色絵磁器の作品を次々と発表する。終戦後は安堵への一時帰郷を経て京都に拠点を移し、金銀を同時に焼き付ける色絵金銀彩の技法を完成させた。
1955年、「色絵磁器」で重要無形文化財技術保持者(いわゆる人間国宝)に認定され、1961年には文化勲章を受章。
「模様から模様をつくるべからず」という信条のもと、既成の模様によらず、独自の模様を創案することに情熱を注いだ。また造形による美の表現にも着目し、作者自身が成形することの重要性を説いた。陶芸の近代化を牽引した作家の一人である。
赤地金銀彩羊歯模様蓋付飾壺 1953年 奈良県立美術館蔵
会期中のイベント
◆講演会「富本デザインの魅力―初期の創作活動を中心に―」
講師:山田俊幸氏(元帝塚山学院大学教授)
日時:2023年7月23日(日)14:00~(13:30開場・約90分)
場所:奈良県立美術館1Fレクチャールーム
定員:60席(当日13:15から整理券配布、先着順)
◆美術講座「奈良県立美術館と富本憲吉」
講師:飯島礼子(当館指導学芸員)
日時:2023年8月20日(日)14:00~(13:30開場・約90分)
場所:奈良県立美術館1Fレクチャールーム
定員:60席(当日先着順)
◆学芸員によるギャラリートーク
日時:2023年7月15日(土)、8月5日(土)、8月26日(土) 14:00~ 展示室
※上記イベントへの参加には当日の観覧券が必要です。
「富本憲吉展のこれまでとこれから」開催概要
【開催期間】2023年7月8日(土)~9月3日(日)
【開催場所】奈良県立美術館(奈良県奈良市登大路町10-6)
【開館時間】9:00~17:00 ※入館は閉館の30分前まで
【休館日】月曜(ただし7月17日は開館)、7月18日(火)
【観覧料金】一般400円、高大生250円、小中生 150円
【問合わせ先】奈良県立美術館(0742-23-3968)
奈良県立美術館
- 住所/奈良県 奈良市登大路町 10-6
- 電話/0742-23-3968
- 営業時間/9:00~17:00(入館は閉館の30分前まで)
- 定休日/月
- 駐車場/無(近隣に有料P有)