2023/06/21 17:31
ぱーぷる編集部(喜畑恵太)
【動画あり】普段は「立ち入り禁止」 「旧生駒トンネル」の新たな活用法をご紹介【生駒隧道プロジェクト】
奈良県生駒市と大阪府東大阪市境にある生駒山を東西に貫くのが「旧生駒トンネル」。
1914年~1964年まで使用されたトンネルだが、近鉄奈良線の石切ー生駒間のトンネルが開通したことにより役目は終えた。
しかし、ここを今有効活用しようと「生駒隧道(いこまずいどう)プロジェクト」が動き始めた。
旧生駒トンネルとは?
近鉄の前身である大阪電気軌道が1914年(大正3年)に開通させた、当時の複線標準軌道式トンネルでは日本最長の3,388mのトンネル。
生駒山脈を貫通し、大阪―奈良間を最短距離で結んだ。
また、このトンネルはレンガで作られており、当時は強度的にも優れた積み方として推奨されていたイギリス工法という、小口のみの段と長手のみの段を交互に積み重ねる技法を採用。
機械化装置のない工事当初は、途方もない距離をほとんど手掘りに近いもので切り開いて進むしかない難工事だったそう。
1964年(昭和39年)、南側に並行して現在の生駒トンネルが開通したため、旧生駒トンネルを列車が走行することはなくなった。
現在でも開通当時の趣を残しており、2009年(平成21年)2 月23日、経済産業省より「近代化産業遺産」に認定された、歴史的価値の高いトンネルとして今も保存されている。
旧生駒トンネルの特長を生かした活用法とは?
現在では主に近鉄奈良線、近鉄けいはんな線の避難経路としてしか使われていない「旧生駒トンネル」だが、新たな活用法を見出したのが『株式会社アド近鉄』。
トンネル入り口から約500メートル進んだ横坑に行ってみると何かが置いてあるではないか。
よくよく見てみると「お酒の瓶」が置かれている。
旧生駒トンネルが持つ環境特性(年間平均気温約16.7℃ / 湿度約98%)を活かし、現在は「お酒の熟成」が行われている。
現在は『山鶴』で有名な日本酒を造る奈良県生駒市の酒蔵『中本酒造店』、大阪府柏原市にある『カタシモワインフード』の2社がお酒の熟成を行っている。
このトンネル内の天然の環境はどうやら、お酒の熟成が早くなるそう。
また、普段の環境だと温度を一定に保つには電気代がかかるが、ここなら電気代は0円でSDGsの取り組みにもひと役買っている。
「気温が16~17℃と一定、湿度は約98%」この環境に合うものは?
『株式会社アド近鉄』の音川峰行さんにまずはこのプロジェクトを始めた理由を聞くと
「歴史的価値がありながらも、今はあまり使われていないこの場所を有効活用しようと、地域の事業者の方々にお声かけさせていただきました。今回『生駒隧道(いこまずいどう)』ブランドを立ち上げ、このトンネルを生産の場として利用していただき、できた製品に対してはこのロゴと名前のブランドを使っていただき(ロゴとブランド名使用は有償)、我々としてはこの商品を広めて沿線の活性化にひと役買えればと思っております。」
と語ってくださった。
温度差が1年を通して16~17℃とほぼ一定で湿度は約98%。
万全のセキュリティーのため、頻繁に中に入ることはできないが、「この場所を使ってみたい!」という事業者をアド近鉄では募集中だそう。
この環境がどのような物に合うのか?
あっと驚くものが次はトンネル内に置かれているかも。