2023/03/16 19:00
ぱーぷる編集部
vol.14 絵本の読み聞かせが子どもにもたらす効果とは。竹綱先生と言語聴覚士のおすすめ絵本をご紹介!【連載】気になるこどもの病気 「こころ」と「からだ」 【たけつな小児科クリニック|生駒市】
奈良県生駒市にある『たけつな小児科クリニック』。一般小児科から乳児検診・専門外来まで幅広く行っている。
『たけつな小児科クリニック』には、現在は新型コロナウィルス感染拡大防止のため廃止されているが、以前は待合室の棚にたくさんの絵本が並んだ絵本スペースがあった。
竹綱先生が自ら書店に足を運び選んでくるそう。
待合の時間を読み聞かせの時間として活用してほしいという思いで設置。
読み聞かせのもたらす効果や、おすすめの本を竹綱先生やスタッフに伺った。
自分の子どもにどんな絵本を読んであげたらいいか分からないという方は、ぜひ参考にしてみてほしい。
ー待合室に絵本スペースを設置しようと思ったのはなぜですか?
竹綱先生:絵本スペースを設置しようと思った理由は3つあります。
まず1つは、おもちゃを置いたキッズスペースにした場合、小さいお子さんがなめてしまい、院内で感染を拡大してしまう恐れがあるということ。
2つめは、テレビでアニメなどを流せばお子さんは退屈しないだろうけど、働いているご家族ではコミュニケーションを取る時間が限られているため、少しでもコミュニケーションの時間を増やしてもらいたいと思ったこと。
そして3つ目は、子どもと家族の絆を深めることができると思ったからです。お子さんが好きな絵本を大好きな家族に読んでもらうことは、やがて思い出として心に残り、子どもが大きくなった時に、自分の子どもにも読んであげるようになります。
ーなるほど。なかなか自分で絵本を選んで読んであげることもないので助かります。
スタッフさん:そうですよね、特に育児中のご家族が子どもに読み聞かせをするための絵本をゆっくり選んでいる時間が取れない場合も多いと思います。
それに絵本は文庫本と比べて価格が高いため、育児中のご家庭では、「なんとなく」で購入できない場合もあるため、口コミや家族が慣れ親しんだ無難な本が購入されて、何十年にもわたるベストセラーが生まれていたりします。
新刊で発刊される絵本は、何十年も前から書店に並んでいる絵本より手に取られにくかったりします。
そのため、現在は新型コロナウイルス感染拡大を防ぐため、絵本を置いていませんが、以前は竹綱が自ら書店に足を運び、新刊の絵本を購入し、受診してもらったご家族やお子さんに少しでも新しい、自分に合った絵本を探してもらうような工夫をしていました。
ー絵本の読み聞かせはやはり大切ですか?最近はついついスマホの動画などに頼ってしまいます。
スタッフさん:確かに、診察の待ち時間では、1歳くらいのお子さんがスマートフォンやタブレットを使って、youtubeなど動画を見ている場面を多々見かけます。
しかし、読み聞かせには2つの大きな効果があると思っています。
1つは子ども心理効果、もう1つは言語・認知機能の向上効果です。
まず子どもの心理効果として、子どもと家族が会話をすることで、子どもの安心感が生まれます。
もう一つは、家族が絵本について「これは何かな?」「うさぎさんは何匹いるかな?」など子どもに質問することで子どもの言語、認知機能の向上が期待できます。
動画を見せてしまう方も多いと思いますが、動画の場合は一方的な視覚情報のみが入ってくるため、読み聞かせのように「考える」ことにつながらず、言語や認知推測機能の向上が期待できません。
したがって読み聞かせをする時は、単に文字を読むだけでなく子どもの発育や発達のサポートにもなっているということを意識することも大切です。
ー絵本選びのポイントはありますか??
スタッフさん:絵本の好みは十人十色だと思います。数冊見て「これ」と決めるのはなかなか難しいのではないかと思います。
できれば小さいうちから家族で図書館に行き、いろいろな絵本に触れて自分の好きな本を探していくことが大事かなと思います。
その時には皆さん自身の宝物となる絵本が見つかりますように・・・
竹綱先生のおすすめの絵本
①「どうぞのいす」
この本は愛娘が園で演劇会をしたときの台本になっていたことがきっかけで知りました。この本のいいところは、現代の日本人には少し希薄になりかけている「どうぞ」という他人を思いやる心(利他の心)が描写されており、絵本を通じて子どもに「どうぞの心」の大切さを伝えられるところです。子どもがとっつきやすい動物がモチーフになっており、子どもも違和感なく本の世界に溶け込めるところもいい点だと思いました。
②「えんとつ町のプペル」
お笑い芸人のキングコングの西野亮廣さん作の絵本です。少し小さい子どもには難しい本ですが、何といっても絵がきれいです。 親と子の絆、信じる心など現代の日本に少し希薄な部分が描写されています。この絵本が原作になり、2021年に映画化されこちらも見どころ満載です。 クリニックでも時々映画版「えんとつ町のプペル」を流しているので、もし見たい方がいればスタッフに声をかけてくださいね(笑)。
③「野尻湖のぞう」
この本は少し高学年向けになり、初版は1976年です。日本に生息していたナウマンゾウというマンモスの化石が長野県の野尻湖で発見されました。 子どもながらにハラハラしながら読んだ記憶があります。自分がかつて読んだ中で一番印象に残る絵本でした。
『新版 野尻湖のぞう』井尻 正二 文 |金子 三蔵 絵|福音館書店
言語聴覚士おすすめの絵本
まだ言葉を話さない【0~2歳におすすめの絵本】
①じゃあじゃあびりびり ②がたんごとんがたんごとん
子どもたちは、大人の言葉を聞いて、まねをすることで話せるようになります。
そんな言葉の獲得に最適な絵本がオノマトペといわれる、物の動きや状態を表す擬態語・人の声や動物の鳴き声、物の出す音を表す擬音語が使われているものです。
オノマトペは子どもに聞き取りやすく言いやすい音からできているものが多いので、親しみやすく、一緒に声を出すことで楽しく思えること間違いありません。
「がたん ごとん がたん ごとん」安西 水丸 作|福音館書店
興味が広がる絵本【2~4歳におすすめの絵本】
①きんぎょがにげた ②しろくまちゃんのほっとけーき ③ねずみくんのチョッキ
少しずつことばを介したやりとりが楽しめる時期におすすめなのは、さがし絵本や遊びの体験を基に楽しめるもの、お話に結末があるものです。絵本の中にはしかけがあったり、繰り返される言葉も心地よく、次はどんな展開かな?と興味が広がります。
シンプルな描画の中にも、登場人物や物、事柄が見られ、語彙表現も豊かに広がります。
『きんぎょが にげた』五味 太郎 作|福音館書店
物語を楽しむ【4~6歳におすすめの絵本】
①おおきなおおきな おいも ②はじめてのキャンプ
絵本から物語へ。絵本体験を積み重ねてきたお子さんに、ぜひおすすめしたいのがストーリーを楽しむ本です。
まずは、大人に読んでもらって、挿絵を手がかりに想像力をふくらませることで、絵本と同じように、読み物のおもしろさを子どもは知ることができるのです。
また自分の身近にあるお話が題材にされていると共感力も養われます。
『おおきな おおきな おいも』市村 久子 原案 |赤羽 末吉 作・絵|福音館書店
『はじめてのキャンプ』林 明子 作・絵|福音館書店
院長・竹綱先生
院長である竹綱先生は常に全力で子どもたちと向き合い、「子どもたちを守るために小児科医として自分にできることは何か」を日々追求している。
午前診から午後診の間も休むことなく、竹綱先生が運営している向かいの『病児保育室 バンビ』の診察や、子ども発達サポート『のびいく』に顔を出す。
月に1度発行されるA4サイズのおたよりには、
片面には季節に応じた子どもの病気やトラブル、もう片面には先生のプライベートな話が。
くすっと笑えるありのままの文章に、飾らない竹綱先生の人柄が表れている。
そんな先生の一生懸命な姿に、子どもたち、親御さんからの信頼が厚い。
たけつな小児科クリニック
- 住所/奈良県 生駒市真弓 1丁目2-8
- 電話/0743-71-0929
- 営業時間/ <午前診>9:00〜12:00
<専門外来>14:00〜16:00
<午後診>17:00〜19:30
備考/※木曜の午後診は16:30〜18:30
- 定休日/日 その他休業日/土曜日の午後診察
- 駐車場/駐車場完備(なんぶ眼科、薬局と兼用)