2022/11/19 07:00
ぱーぷる
【奈良が舞台の百人一首】Vol.7紀貫之(35番)
歴史ある奈良県には、「小倉百人一首」で詠まれた名所が数多くあります。
小学生時代に覚えた方も多いこの「小倉百人一首」。
少し知識をつけるだけで、世界は色づき人生は豊かになります。
いつも見ている何気ない景色の見方を変えてみませんか?
35番 人はいさ 心も知らず ふるさとは 花ぞ昔の 香ににほいける
「ひとのことは、さぁ知らないが、慣れ親しんだ土地に咲く花は、昔のように香り私を迎え入れてくれるよ。」
歌ではふれていませんが、この歌は奈良県桜井市の『長谷寺』を訪れた際に詠まれたもの。
紀貫之が近くにある馴染みの宿に立ち寄った際に、
「宿はずっとここにあるのに、あなたは随分長い間訪れてくれなかったですね」と、宿の主人に皮肉を言われ、返したのがこの歌だとされています。
宿の主人はさらに「花だにも 同じ昔に 咲くものを 植ゑたる人の 心知らなむ(花でさえも、昔と同じように咲くものなのに、ましてそれを植えた人の心にも気づいて欲しいものだ)」と返したとされます。
ストレートに気持ちをぶつけるのではなく、歌でお互いの想いを伝えあうその時間に、きっと2人で笑いあったことでしょう。
紀貫之といえば、「土佐日記」の著者。
男性なのに女性のふりをして記されたことで有名ですね。
舞台となった『長谷寺』は、今まさに紅葉の季節。
2022年11月18日(金)~12月11日(日)はライトアップも開催。
紀貫之も宿の主人がライトアップされた『長谷寺』の紅葉を目にしたら、きっと素晴らしい歌を詠み合ったことでしょう。