2022/09/12 19:00
ぱーぷる
vol.10 熱性けいれんについて【連載】気になるこどもの病気 「こころ」と「からだ」 【たけつな小児科クリニック/生駒市】
奈良県生駒市にある『たけつな小児科クリ二ック』では一般小児科・乳児検診・専門外来まで行っている。
院長である竹綱先生は常に全力で子どもたちと向き合い、「子どもたちを守るために小児科医として自分にできることは何か」を日々追求している。
午前診から午後診の間も休むことなく、竹綱先生が運営している向かいの『病児保育室 バンビ』の診察や、子ども発達サポート『のびいく』に顔を出す。
月に1度発行されるA4サイズのおたよりには、
片面には季節に応じた子どもの病気やトラブル、もう片面には先生のプライベートな話が。
くすっと笑えるありのままの文章に、飾らない竹綱先生の人柄が表れている。
そんな先生の一生懸命な姿に、子どもたち、親御さんからの信頼が厚い。
今回は、「熱性けいれん」についてお話を聞いてみた。
「熱性けいれん」という言葉は聞いたことがあるけど、具体的にどんなものか知らないという方、まだお子さんが経験したことがないという方は、
今後のためにも知っておこう。
vol.10 熱性けいれんについて
Q1.熱性けいれんって何?
竹綱先生:熱性けいれんとは、熱が37.5℃(おおむね38℃)を超えた際に、けいれんが起きる状況を言います。
熱性けいれんは「単純型」と「複雑型」の2つに分類され、「単純型」といわれる一般的な熱性けいれんでは、数分間の意識消失を伴う、左右対称性のガクガクする発作が起こります。
一方、「複雑型」と呼ばれる熱性けいれんは、15分以上持続する状態や、左右非対称、顔面が真っ青になる(チアノーゼ)を伴う発作をいいます。
「単純型」では発作直後に意識が戻ることも多くみられますが、発作後入眠といって、けいれんにより脳が疲れてしまい、発作後に眠ってしまう場合もあります。
Q2.子どもに起こりやすい印象だけど、どうして??
竹綱先生:子どもは大人と比べて、熱には強いですが、脳の発達が未熟です。
熱という体へのストレスと同様、脳にもストレスを与えます。
急激に熱が上がることによって、熱に対する許容を超え、けいれんが起きてしまいます。
生後6か月頃まではお母さんの免疫で発熱しにくいということもありますが、脳もけいれんを起こすほど成熟していません。
脳は7歳くらいで7割から8割程度完成するといわれているので、生後6か月から7歳くらいまでが熱性けいれんが起こりやすい時期とされています。
しかし、インフルエンザは脳に影響を及ぼしやすい病気のため、インフルエンザによる発熱の場合は12歳前後の子どもでも熱性けいれんを起こす場合があります。
Q3.原因はあるの?
竹綱先生:熱性けいれんの原因は脳の未熟性が一番の原因だと考えられます。
ただ、家族や親族の中に、過去熱性けいれんを起こした人がいる場合は、熱性けいれんの経験がない家族に比べ、子どもが熱性けいれんを起こす頻度が高いとされているのも現状です。
Q4.予防することはできる?
竹綱先生:「単純型(※)」の熱性けいれんを1度の経験くらいであれば、特別気にすることはないのですが、2回以上熱性けいれんを起こした場合や、1度の熱性けいれんでも「複雑型(※)」を経験した場合は、けいれんを起こさないように、発熱時にあらかじめ座薬を使用し予防する必要があります。
(※印はQ1で説明)
Q5.けいれんを起こしている時の対応はどうしたらいい?
竹綱先生:初めて熱性けいれんを起こした場合には、けいれんが止まっているかどうかの判断もできない場合が多いと思うので、かかりつけの小児科などに相談しましょう。
もし、クリニックが開いていない時間などは、ためらわず救急車を呼びましょう。
Q6.救急車が来るまで何ができる?
竹綱先生:救急車の到着まで、早くても10分はかかると思われ、それまでにけいれんが止まっている可能性もあります。
しかし、けいれんが持続している場合は、嘔吐することもあるため、顔を横に向け、吐物による誤飲を避けるようにしましょう。
また、けいれんにより周囲の家具などで打撲、あるいは、周囲からの落下物からの二次的外傷を防ぐため、可能であれば広い場所へ移動させることも大切です。
けいれんをおこした際に舌を噛む、と考えられる方も多々見られますが、けいれん時に舌を噛むことはないため、むやみに口の中に指を入れ、舌を噛まないようにする行為は避けましょう。
逆に手を入れることで、入れた手に傷ができ、出血することで誤嚥(ごえん)してしまう可能性もあります。
Q7.救急車を呼ぶ前にけいれんが治まった場合でも、小児科に連れて行く必要がある?
竹綱先生:救急車を要請しない場合でも、小児科を受診するようにしましょう。
ほとんどの小児科医は熱性けいれんの対応は可能であると思われますが、複数回熱性けいれんを起こしている場合や「複雑型(※)」は、てんかんとの鑑別が必要になることもあります。その場合は、小児科でも特に神経を専門としている小児科医の診察を受けることになります。
どのような状況でも、ご心配がある際には、まずかかりつけの小児科医に相談しましょう。
(※印はQ1で説明)
Q8.後遺症ってあるの?
竹綱先生:熱性けいれんを起こす原因は様々で、単純に脳の未熟性で起こる場合や、基礎疾患として「てんかん」や「発達障がい」が隠れている場合など様々です。
熱性けいれんを起こすことによる後遺症はほぼ認められませんが、基礎疾患によって熱性けいれんが起こっていると考えられる場合には、脳波などの精密検査が必要になる場合もあります。
突然子どもがけいれんを起こしてしまうと、誰もが焦ってどう対応すればいいか分からなくなるもの。
あらかじめ知識として入れておくと、少しは安心。
お子さんの病気や体のことで気になることや不安なことがあれば、竹綱先生に聞いてみよう。
丁寧に教えてくれるだろう。
たけつな小児科クリニック
- 住所/奈良県 生駒市真弓 1丁目2-8
- 電話/0743-71-0929
- 営業時間/ <午前診>9:00〜12:00
<専門外来>14:00〜16:00
<午後診>17:00〜19:30
備考/※木曜の午後診は16:30〜18:30
- 定休日/日 その他休業日/土曜日の午後診察
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