2022/06/28 15:45
ぱーぷる
災害対策にも役立つGISとは?奈良大学地理学科がGIS出張授業を実施
2022年6月13日(月)、奈良大学(奈良県奈良市)文学部地理学科の教員と学生たちが、奈良県立大学附属高等学校で高校1年生を対象に、GIS出張授業を実施した。
2022年度から必修化された「地理総合」では、高校生全員が実践的な社会的スキルとしてのGISを学び、実際に利用することが求められる。
しかし地理歴史科教員(以下 地歴科教員)のうち、地理が専門の教員は約2割程度。
高校生全員が「地理総合」を履修することで、地理を専門としない地歴科教員も地理を教えることになり、教員の戸惑いと困惑に繋がっている。
そのため、奈良大学文学部地理学科の木村圭司教授のもとには、高校の先生方からの応援要請が多数届いており、今回「地理総合」が始まって初めての出張授業を行うこととなった。
GISとは
GIS(Geographic Information System) は地理的位置を手掛かりに、位置に関する情報をすべて地図上に表示し、高度な分析や迅速な判断を可能にする技術。
日本では、阪神・淡路大震災を契機にGISに関する本格的な取り組みが始まり、今やGPS等の位置情報と合わせて社会基盤のひとつとなっている。
出張授業では地理の教員を目指す大学生が授業をサポート
今回の出張授業では、木村圭司教授の指導により、高校生がタブレットPCで地理院地図を活用し、地理学科の学生5人がサポートした。
学校周辺の地図データを表示させ、標高差ごとに色をつける段彩図や地形の断面図を作成。
さらに昔の地図と現在のものを見比べ、学校の周辺にかつては針葉樹林や池があったことなどを分析し、そうした情報から地盤の特徴などを推定していくことを学んだ。
また、断層や崖などの地形、道路の高低差を示す断面図、ハザードマップなどを地図上で重ね合わせ、なぜそういう地形ができたのかということや、防災について考えた。
木村教授は「多くの人たちに地理的な見方を知ってもらい、子どもたちに地図や地理を好きになってほしい。」と思いを述べた。