2022/05/10 05:00
ぱーぷるmirai編集部
【子育てコラム】子育てとジェンダー「少子化対策と少母化社会」
子育てしやすい社会の実現を目指して活動する「Alright Baby」プロジェクト 代表の岩城です。
子育て中のモヤモヤをジェンダー視点で見つめるコラムを連載させていただいております。
「日本は少子化社会である」という言葉はもう飽き飽きするほど耳にしていますよね。2020年の合計特殊出生率は1.34と5年連続で低下しており、出生数は過去最少となりました。(2021年分の発表はそろそろかな?)
ただ、少子化とは言うものの、既婚女性の平均出産人数に限って言えばこの60年間ほぼ2人で変化していないというデータがあります。要は、結婚した女性はベビーブームの頃と変わらず出産しているということです。未婚の女性が増えたことと、そもそも出産世代の女性の人口が減っていることが少子化の要因だということで、これは少母化と呼ばれたりもします。
しかしこれらのデータをもって「よし、ならばまずは結婚する人を増やそう!婚活支援ウェイ!!」ってなっちゃったり「産んでくれる人にもう1人産んでもらおう、3人目からは色々無料ドヤァっ!」ってなっちゃったりするの、何なんでしょうね。
なんというか、急激な人口減は様々な問題を引き起こすため「少子化対策」が必須の課題であることは分かるのですが、それが女性の人権や主体性を軽視したものになっていないか、疑問に感じることがあります。
未婚の女性が増えたと言いますが、私は、シングルでも未婚でも事実婚でも子どもを産みやすい・育てやすい社会になってくれた方がいいなと思いますし、婚活支援で「壁ドン」のやり方をレクチャーするくらいなら、さっさと選択的夫婦別姓を導入して別姓婚を望むカップルが結婚できるようにすればいいのでは?と思います。(100歩譲ってまだそれが難しいとしても、せめて女性と男性の改姓率が半々になるくらいにはしてほしい…)
私の教室でも色々な方とお話しさせていただきますが「もう1人産みたいけど、経済的に無理」「子どもを産むのはいいとして、また保活に奔走しなければならないと思うとちょっと二の足を踏む」というような話をよく聞きます。本当に本当に、よく聞くのです。
こういった、産みたい人たちの希望を阻害している要因を1つ1つ潰していくことこそが、大して産みたくない人に何とかして産んでもらうよりも断然優先すべきことだと思うのですが、こういったことは未だに自己責任のように語られがちです。
社会からの「既存の順序やルールを守り、責任を持って自分達で育てられるなら産んでもよし」みたいなジャッジメントに晒され続ける一方で、子どもを産まないという選択は「わがまま」だと言われてしまうという、なんとも八方塞がりな状況。
そしてその多くが女性にのしかかるというのに、妊娠も出産も(そして改姓も)しないオジサン達が「対策」を考えるのですから、そりゃあ噛み合いませんよね。女性の人権を置き去りにした少子化対策、とでも言いましょうか。産めよ増やせよの方向になってしまうわけです。
女性は子どもを産む機械として管理される存在ではなく、自ら主体的に産む・産まないを選ぶ存在であることを、絶対に忘れて欲しくありません。
そして、少し矛盾して聞こえるかもしれませんが、この「産まない」選択を尊重しない社会の雰囲気こそが、少子化に拍車をかけているように思います。これについては少し長くなりますので、次回のコラム「少子化対策とSRHR」で書かせていただきますね!
《コラム執筆者》
Alright Baby 代表 岩城はるみ
高校教諭を7年務め、自身の第2子出産を機に退職。
その後、子育てに関わる事業を立ち上げる。
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