2021/12/05 07:00
ぱーぷる編集部(喜畑恵太)
奈良大学が狂言師・茂山千三郎さんを迎えて特別講義
2021年10月25日に奈良大学(奈良県奈良市山陵町)で、同校の国文学科の学生・大学院生・通信教育部学生を対象に、狂言師・茂山千三郎さんを迎えて特別講義を行った。
奈良大学では、コンセプト、本物を“見る、触れる、聞く、感じる”「生きた学問」に取り組むことを重視している。
国文学科では、資料の実物を見ること、文学の舞台に実際に出向くことなど、《体感する国文学》を学びの基本の一つとし、それらを通じて、作品を多角的にとらえている。年に一度、特別講義を行っているのだが、今年は狂言師の茂山千三郎さんを招いての講義となった。
茂山千三郎さんは大蔵流狂言師で、FMラジオでDJも務めるなど、国内はもとより世界の若者達へ古典芸能“狂言”の魅力を発信している第一人者である。
「現代のドラマと狂言の違い」や「狂言の現状」などわかりやすい講義で、学生たちは真剣に耳を傾けていた。
興味深い話が多かったが、特に印象深かったのは狂言は喜劇だということ。
狂言は堅い話ではなく「喜劇」
講義の最初は「狂言」=「笑い」について。
狂言は本来は「笑い」のお芝居だそう。
それがいつの間にかお堅くて暗いイメージが付いてしまった。
それはなぜかというと、海外で公演をやった時によくわかるそう。
ベトナムで行った講演では、最初現地の人は「?」顔で見続けているが、動きで面白いところがあるとクスクスと笑いが起きる。さらには拍手が起きて声が飛ぶ。
拍手や声が狂言を演じる上で邪魔になるかと思いきや、逆に気分が乗れたそう。
これは元来、狂言はこういう雰囲気の中で行われていたのかもしれない。人間は元来、感情のままに行動をするのが正しいのではないかと千三郎さんは考察する。
日本ではこういったことが起きず
「能はこう見なければならない」
「終わってから拍手する」
といった先入観が邪魔をして、笑えない空気があるという。
お客の年齢によっても雰囲気が違う
学生からも多数の質問が。
日本でも年齢によって狂言の見方、笑い方が違ってくるそう。
千三郎さんが幼稚園で狂言を行うと、ハードルが高い部分もあるが、『柿山伏』で柿の実を食べるシーンを演じると、まずは子供たちはケラケラ笑うし、全く同じ動作をすると「おっちゃんそこにもう柿ないよ」といわれたそう。
子供には絵本を見るように想像でき、こういったピュアな見方は大人になるに連れて薄れていくそう。
大人になるに連れての言葉の理解度も大切だが、こういったピュアな見方も狂言を見る上では大事な部分ではあると千三郎さんは考える。
生徒たちは特別講義を聞き、何かつかんで帰ったに違いない。
「日本人のおかしな特徴は?」大蔵流狂言師の茂山千三郎さんが日本人の特徴を語る!