ちゃんと知りたいペットのこと Vol.4 エキゾチックアニマルについて

2021/11/30 11:48

ぱーぷる

ペットの病気や生活にまつわるお話を紹介する連載第4回目。
今回はハムスターやうさぎなど、エキゾチックアニマルと呼ばれるペットたちについて。
奈良県生駒郡三郷町『シンシア・ペットクリニック』の橋本院長にお話を伺いました。

エキゾチックアニマルとは？

まず、エキゾチックアニマルという言葉に耳馴染みがない方にご説明。
エキゾチックアニマルとは、犬や猫、牛、豚、鶏などの産業動物以外の動物、うさぎやハムスターなどの総称です。

『シンシア・ペットクリニック』では、基本的に鳥を除くエキゾチックアニマルの診察をしています。

うさぎは"食滞"に注意

「うさぎに関して、一番多い相談事は食欲不振です。
原因の大半が食滞です。読んで字の如く、食物が胃腸の中で滞ってしまい、動かなくなる為、ごはんを食べなくなってしまう事です。理由は様々ですが、運動不足と毛づくろいによる毛の飲み込みが多いようです。

運動不足の原因は、ケージでうさぎを飼育されてる方が多く、広い場所で遊び回ることが少ないんでしょうね。
適度に運動をさせて、食欲を向上させてあげることが大切になってきます。
ケージから出さないと、すのこや金網等のケージ内の床剤の摩擦により足の裏の病気になりやすくもなるので、定期的にケージから出してあげてください。

猫と同じで、うさぎは毛づくろいの際に多くの毛を飲み込んでしまいます。
飲み込んだ毛は、胃袋の中で毛玉ができてしまい、消化管を塞ぐ"毛球症"になります。
予防法としては、こまめにブラッシングをしてあげること、胃袋の中の毛を排泄しやすくなるように、繊維質の長い牧草を与えることが挙げられます。
それと、水分の多い生野菜をあげることも効果的です。」

「うさぎをペットショップなどでお迎えするときは、目元やおしり周り、口周りが汚れていないかをよく見てください。
このあたりが汚れていると、病気を持っているかもしれません。
ただ、最近はブリーダーさんが優秀なので、このようなことはほとんどありません。」

「うさぎを飼育されてる方たちって、本当に勉強熱心な方が多いんです。
ひょっとしたら、私よりも詳しいかもしれません(笑)
うさぎを診察しない動物病院が多いことが理由かもしれませんね。
そういう方たちは、コミュニティを作って情報共有をしていることが多いので、そういう繋がりを大切にするのも大事かもしれません。」

「うさぎの寿命はだいたい8年と言われています。
犬や猫は食べ物や飼育スタイルの変化によって寿命が延びていますが、うさぎは特にここ数年でそうした変化がないので、昔からだいたいこれくらいですね。
ただ、過去には20歳の子もいましたね。」

ハムスターはケガや肥満予防を！

「ハムスターで多い症例は金網ケージをよじ登った際の落下や、かごの隙間に足を挟むことによる骨折です。
ギプスをつけるのですが、たいていすぐに取ってしまうんです。

エキゾチックアニマル全体に言えるのですが、そもそもの個体が小さいので血液検査などが難しい場合が多いんです。
そのために、まず怪我や病気を予防してあげることが大事になってきます。
例えば、金網ケージではなく衣装ケースや水槽等を用いることで、壁面をよじ登ったり足を挟むことをなくすなどですね。最近はハムスター用の飼育ケースも金網などを使っていない物も多くなっているので探してみてください。」

「市販のハムスターの餌には、コーンや穀物などがミックスされたものが多いです。
そこにひまわりの種がよく入っています。

ひまわりの種の中身はほとんどが脂肪なので、あげすぎると肥満になってしまいます。
ミックスされている場合は、特に注意して欲しいのですが、ひまわりの種は1日に一粒だけにして、ご褒美としてあげる感覚でいてください。」

「ハムスターの寿命は2年と言われています。
1歳以上になると腫瘍ができやすくなり、それが原因で亡くなることが多いです。
ただ、4年生きたハムスターも中にはいます。
ハムスターの2年が人間の80歳と考えると、ハムスターは人間の約40倍の速さで老いていることになりますね。」

他にも、いろんなエキゾチックアニマルを診察

「他にも、フェレットやハリネズミ、プレーリードッグ、モモンガ、シマリス・・・様々な動物を診てきました。

どれも内科的な病気が多いのですが、治せないというよりも分からないことが多いです。
検査できるほどの血液採取ができなかったり、そうした医療行為によるストレスが大きくなったりするので、あまりおすすめできません。

結果として、できることはケガや腫瘍を取るなどの手術行為に限られてきます。
飼い主さんとしては、肥満予防などで健康を維持してあげることが大事ですね。
人と同じで肥満は万病のもとです。

エキゾチックアニマルは体が小さいこともあり、犬や猫に比べると短命です。
それでも、愛らしく可愛らしい子が多いです。
最期までしっかりと愛情を持って、接してあげてください。」

エキゾチックアニマルは1人暮らしでも飼いやすいですが、部屋の温度管理などの小さなことにも気を遣ってあげることも大切ですね。
次回はトリミングやペットホテルについてお話をお伺いしていきます、お楽しみに！