2021/10/30 07:00
ぱーぷる
ちゃんと知りたいペットのことVol.3 猫との生活で気をつけたいこと
ペットにまつわるお話を紹介する連載第3回目。
前回の犬に引き続き、今回は猫についてのお話。
自由気まま、人間が慌てふためいていてもどこ吹く風。
そんなところがまた可愛らしいのが猫。
猫の病気や日々の生活で気をつけておきたいことについて、奈良県生駒郡三郷町『シンシア・ペットクリニック』の橋本院長にお話を伺いました。
去勢・避妊手術について
━犬や猫の去勢・避妊手術はいつ頃がベストなんですか?
「去勢については、からだが成熟する生後6ヶ月前後が理想です。
その頃に性成熟が訪れ、マーキングやマウンティングなどを始めます。
こうした問題行動が始まる前に去勢をすることがおすすめですね。
避妊手術についても、同じく生後6ヶ月頃に発情期を迎えます。
発情期を迎えると人の初潮と同じく乳腺組織が発達します。
乳腺が出来上がるという事は少なからず将来乳腺腫瘍を発症するリスクが生まれるという事です。犬に関しては不妊手術のタイミングで乳腺腫瘍の発症率が変化する研究結果が出ています。
初めての発情期の前に不妊手術をすると0.05%。
初めての発情期と2度目の発情の間に不妊手術をすると8%。
2度目の発情後に不妊手術をすると26%と数字が大きく跳ね上がります。
これは乳腺の発達によります。
また、この数字には悪性と良性の腫瘍両方とも含まれています。
犬の乳腺腫瘍は人とは違い、良性と悪性の割合がおよそ半々なので、雌犬の26%が癌になるという事ではありません。
猫に関して、腫瘍は滅多に起きませんが、腫瘍が見つかった場合は悪性で、ガンの可能性が非常に高いです。
去勢・避妊手術を考えられている場合は、以上のことを参考になさってください。」
フィラリアの予防接種や保険のこと
「予防をすることで、フィラリアはほぼ100%予防ができます。
フィラリアはそうめんくらいの寄生虫で、血液中で生活し成虫は心臓から肺に血液を送る肺動脈の中に住みつきます。
このことから血液の流れが妨げられ、心不全が発症したり、肝臓が異常をきたします。
治療法としては手術か殺虫剤を使うかです。
両方ともリスクが高いため、結果として予防する方が安いですしリスクも低いのです。
30年くらい前まではフィラリアの薬というのは、蚊が出るシーズンは毎日薬をあげなければなりませんでした。
そう考えると、今は犬にとっても人間にとっても安心な時代になりましたね。」
━ペット保険は入るべきなのでしょうか?
「いろんな会社やプランがあります。
病院では案内のみで、入会は飼い主がご自身のライフプラン等から、最適なものを選んでください。
最近ではペットショップで購入時に入会を勧められるケースが増えていると思います。
予防では使えないので、万が一を考えた場合は入っておく方がおすすめです。」
「中高齢の猫では腎臓病が最も多いです。
これは外に出る子も、室内飼いの子も同じです。
おしっこが薄かったり、量が多かったり、水を飲む頻度が増えたりすると要注意です。
こうした症状が現れた場合は、すぐに病院に連れていってください。
犬の場合はトリミングをしているので毎月来院する子も多いのですが、猫の場合はなかなか病院に来ることがないんです。
病院に来ることがストレスになる子も多いですからね。
当日採った尿を持ってきてもらえば、数値を見ることができるので、早めに腎臓病対策ができます。
薬などで進行を遅らせることができるので、大切な家族のことは毎日気をつけてあげてください。
それと、これからの寒い季節には膀胱炎や尿結石になる子が多いですね。
おそらく、水を飲む機会が減ることやトイレを我慢することが原因だと考えられます。
人間と同じですね。」
ノミ・ダニの予防
「室内で飼っている場合は、ダニの心配はほとんどしなくても大丈夫かと思います。
猫は室内から出さないから予防接種をしない、なんて方が多いんです。
ただ、ノミは人が持ち込む可能性や、庭を野良猫がウロウロしている場合はノミの卵を産み落としている可能性があります。
外に出ない場合でも、ノミの予防はしっかりしておく方が安心です。
今はノミだけではなく、ノミ・ダニ両方の予防薬がほとんどで、結果としてダニ予防もできます。」
保護猫をお迎えする時に気をつけて欲しいこと
「最近は保護猫をお迎えする方が増えています。
その時に気をつけて欲しいのが、先住猫がいる場合です。
保護猫の多くは寄生虫やウイルスを持っている場合多いので、先住猫の感染対策をしっかり考えてあげることが大切です。
いきなり一緒にするのではなく、充分健康管理をしてから会わせてあげてください。」
猫の肥満について
「最近は猫の肥満も問題になっています。
種類にもよりますが、平均体重は4〜5kgですが、中には8〜9kgの子も。
運動不足もありますが、ほとんどが食生活です。
糖尿病やおしっこが出にくくなるなどの問題が起こりやすいので、食事管理も意識してあげてくださいね。」
猫のおもしろエピソード
「盲導犬候補の仔犬は、家族の一員としてパピーウォーカーと呼ばれるボランティアに預けられます。
その後、立派に盲導犬として活躍した後に、引退後に引き取るボランティアさんもいます。
ある盲導犬が引退後に仔犬のころに世話をしてくれたボランティアさんの所に戻ったところ、10年近く年月が経っていたのに、しっかりと覚えていたエピソードが有ります。
犬の記憶力はすごいですね。
ところで、昔カラスに突かれてすっかり衰弱していた仔猫が運び込まれ、治療の甲斐あって復活した仔猫がいたんです。
病院のスタッフ達にとても懐いていて、まるでマスコットのようでした。
ところが、保護された方にお返しをし、約1ヶ月後に予防接種に来たところ、すごい剣幕で威嚇されまして(笑)
猫は3年の恩を3日で忘れるなどと猫に失礼な言い回しが有りますが、その時はやっぱりそうなの?なんていう思いでしたね。」
猫を飼ったことがある方は心あたりがある、なんて方も多いのではないでしょうか・・・?
これから猫をお迎えする方はもちろん、今すでに猫を飼っている方も参考になることが多かったのではないでしょうか?
次回はハムスターやウサギなどの「エキゾチックアニマル」についてお話をお伺いしていこうと思います。お楽しみに!
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シンシア・ペットクリニック
- 住所/奈良県 生駒郡三郷町勢野北 4-1-8
- 電話/0745-33-6789
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- 定休日/無休
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