2025/09/12 07:00
ぱーぷる編集部
【奈良県立美術館】奈良ゆかりの彫刻家「安藤榮作」、初の大規模個展 開催
奈良県奈良市の『奈良県立美術館』にて、地元・奈良在住の現代作家の大規模個展「安藤榮作 ―約束の船―」を開催する。

安藤榮作 第10回円空大賞展・円空賞の展示風景 2020 年
奈良県立美術館の長い歴史の中でも初となる、奈良在住の現代作家に焦点を当てた大規模な個展の主役となるのは、彫刻家の安藤榮作氏。
安藤氏は、拠点としていた福島県いわき市で2011年の東日本大震災に被災し、自宅、アトリエと作品を津波で失った経験を持つ。そこから奈良に移り住み、吉野の林業が盛んなこの地で、再び創作活動を始めた。この個展は、奈良での約15年間で制作した近作・新作を中心に展覧する。
公開アトリエやパフォーマンスにも注目!
この展覧会がユニークなのは、ただ作品を鑑賞するだけではないところ。
展示室には「公開アトリエ」が常設されており、期間中に不定期で安藤氏が来館し、実際に木を刻んで作品を生み出す様子を見ることができる。展覧会の会期中に作品の形がどんどん変化していくのを間近で見られるのだ。
さらに注目すべきは、安藤氏によるトークイベントやパフォーマンスである。安藤氏の作品の特徴である、斧で木を何度も打って刻んだ無数の斧の跡。その「斧を振るい、木を刻む音」とピアノや歌がコラボレーションするライブパフォーマンスも開催されるとのこと。
安藤氏のトークやパフォーマンスを通して、作品への理解がより深まればさらに充実した鑑賞体験ができるに違いない。

安藤榮作 約束の船.2025 2025 年 作家蔵 撮影:木奥惠三
関連展示も充実
安藤氏の作品をより深く楽しむために、関連展示も企画されている。
ひとつは、奈良県立民俗博物館による企画「吉野林業の世界」。安藤氏が作品の素材として向き合う「木」について、その背景を知ることで作品への理解がより深まることだろう。
そしてもうひとつは、奈良県立美術館の大橋コレクションを中心に、白髪一雄や元永定正、田中敦子といった、戦後日本で「行為」を重視して制作した作家たちの作品を特集する「行為と作品」である。実験的な絵画制作を行い、作品が生まれる過程にも意味を見出す彼らの制作態度と、斧を何度も振るい続けるという行為を重視する安藤氏の芸術には繋がる部分がある。
奈良で新たな創造の場を見出し、力強く活動を続ける安藤榮作氏の作品に触れられるこの機会に、ぜひ足を運んでみてはいかがだろうか。

安藤榮作 Being・うずくまる自由 2023年 作家蔵 撮影:木奥惠三
開催概要
●会期
2025年年9月13日(土)~11月16日(日)
●開催場所
奈良県立美術館
(奈良県奈良市登大路町10-6)
●休館日
9月16日(火)、9月22日(月)、9月29日(月)、10月6日(月)、10月14日(火)、10月20日(月)
●開館時間
9:00~17:00(入館は16:30まで)
●観覧料
一般1,200円、大学生1,000円
※ 小・中・高生及び18歳未満は無料
※ 身体障がい者手帳・療育手帳・精神障がい者保健福祉手帳(アプリを含む)をお持ちの方と介助の方1名は無料