2025/05/12 06:50
ぱーぷる編集部(喜畑恵太)
【奈良国立博物館】「超 国宝展」を10倍楽しむ!見どころを徹底解説!
奈良国立博物館で「超 国宝展」開催!
観音菩薩立像、菩薩半跏像、大日如来坐像、七支刀など国宝を贅沢に展示。
奈良博130年の歴史を凝縮。
見どころ、会期、観覧料情報も。
地上から天へ、そして天から地へ

観音菩薩立像/国宝/奈良・法隆寺/4月19日(土)~6月15日(日)
まず、出迎えてくれるのが法隆寺のご本尊『観音菩薩立像』。
今回、昨今の紛争や飢餓などで世界情勢が大変な時代だからこそ、お参りいただくということで、特別に貸し出された。
この部屋のコンセプトは「暗闇の世界」。
仏教の世界では、混乱している世界を海に表す。
これを「苦海」と表現する。
海の中に補陀洛山という山があり、そこから祈りの灯が灯っていることを表現するため、『観音菩薩立像』の下は海をイメージした青色となっている。
こちらは「地上→天へ」をイメージされた空間となっている。

菩薩半跏像/国宝/京都・宝菩提院願徳寺/4月19日(土)~6月15日(日)
最後に登場するのが、『観音菩薩立像』とは逆のテーマ「天→地」を表す『菩薩半跏像』。
お釈迦様が亡くられてから、56億7千万年後に弥勒菩薩が訪れ、理想世界がもたらされるとされている。
その世界が展覧会最後の空間で表現されている。
真っ白な部屋で、神々しく光る『菩薩半跏像』はまさに圧巻。

菩薩半跏像/国宝/京都・宝菩提院願徳寺/4月19日(土)~6月15日(日)
奈良博誕生物語!「奈良博覧会」プレイバック - あの人気者が再び!

こちら明治8年から、奈良県で開催された「奈良博覧会」を再現したコーナー。
「奈良博覧会」は当時大盛況で、奈良国立博物館が建った由縁とされている。

八雷神面/奈良・元興寺/4月19日(土)~6月15日(日)
「奈良博覧会」で大変人気があったのが『八雷神面』。
顔が8つある少し変わったお面で、興福寺の『天燈鬼・龍燈鬼立像』とともに飾られて大人気だったそう。

八雷神面/奈良・元興寺/4月19日(土)~6月15日(日)、天燈鬼・龍燈鬼立像/国宝/奈良・興福寺/4月19日(土)~5月18日(日)
『八雷神面』と国宝である『天燈鬼・龍燈鬼立像』と別々のガラスケースに入れられているが、引きで見ると3体が並んで何ともかっこいい。
お土産屋さんの看板!? - 保存状態抜群の「奈良集産館立札」

奈良博覧会立札/個人蔵/4月19日(土)~6月15日(日)
「奈良博覧会」で使われていた看板「奈良博覧会立札、奈良集産館立札」。

奈良集産館立札/個人蔵/4月19日(土)~6月15日(日)
「奈良集産館立札」とは、文字を読むとわかりにくいが、いわゆる奈良の物を集めたお土産屋のこと。
個人の持ち物にしては、はっきりと文字が見られるので、保存状態はかなりいい!
運慶、渾身のデビュー作 - 国宝・大日如来坐像、奈良時代の息吹

大日如来坐像/国宝/奈良・円成寺/4月19日(土)~6月15日(日)
こちら平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて活躍した仏師の運慶の現存する最初の作品。

大日如来坐像/国宝/奈良・円成寺/4月19日(土)~6月15日(日)
運慶が活躍した12世紀といえば、都が移り、奈良は地方都市とされていた。
都である京都では「絵画的とも表現されるやや概念的な彫刻」が貴族好みとされていたが、この像は骨格や関節がしっかりと表現されている。
衣の起伏もしっかりとあり、奈良時代に作られた彫刻を思い出させる。
南都焼き討ちの前の時代に作られたものであり、運慶は奈良時代に作られた素晴らしい名作を見て育ったのを象徴するかのような作品である。

大日如来坐像/国宝/奈良・円成寺/4月19日(土)~6月15日(日)
鬼退治!…だけど神様もちょっとコワい?

辟邪絵/国宝/奈良国立博物館/4月19日(土)~5月18日(日)
こちらは、奈良国立博物館が所蔵する『辟邪絵』が並ぶ。
全て飾られることはマレだそう。
『辟邪絵』とは、人間を不幸にする邪悪な鬼神を退治する神々を紹介するもの。
神が鬼を退治している絵だが、神も神で何だか怖い…。

辟邪絵/国宝/奈良国立博物館/4月19日(土)~5月18日(日)

辟邪絵/国宝/奈良国立博物館/4月19日(土)~5月18日(日)
「猫太刀」に釘付け!かわいすぎてヤバい!金ピカ刀の秘密

金地螺鈿毛抜形太刀/国宝/奈良・春日大社/4月19日(土)~5月18日(日)
猫好きには必見なのが『金地螺鈿毛抜形太刀』。
こちら「猫太刀」として人気のある作品。
雀を捕まえる猫が描かれたりと様々な表情の猫が描かれている。
ツバや柄の部分は中まで純金、鞘も金色!

金地螺鈿毛抜形太刀/国宝/奈良・春日大社/4月19日(土)~5月18日(日)

実はスゴイ!絵巻のレアな並び!

春日権現験記絵 巻第十八/国宝/国/4月19日(土)~5月18日(日)
中世の大和の地で描かれた二大絵巻、『春日権現験記絵 巻第十八』と『玄奘三蔵絵 巻第六』が向かい合って、展示されているのは隠れた見どころ。
所蔵者が別々で、こうして見比べられるのは、あまり他では体験できない。

玄奘三蔵絵 巻第六/国宝/大阪・藤田美術館/4月19日(土)~5月11日(日)
紫×金!ゴージャスすぎるお経

金光明最勝王経(国分寺経)/国宝/奈良国立博物館/前期後期で展示巻変更
『金光明最勝王経(国分寺経)』は、奈良時代に聖武天皇が国分寺に納めさせたもの。
紙を紫紺染にし、金で書かれている。
こうして見ると、素人目でも金の純度が高いことが分かる。
まとめ
様々な作品を紹介してきたが、目玉である石上神社の国宝「七支刀」ももちろんおすすめ!
奈良博130年、開館以来初となる大規模国宝展。
「時代を超え先人たちから伝えられた祈りやこの国の文化を継承する人々の心もまた、かけがえのない宝」
をテーマに、「国宝展」を越えた「超 国宝展」。
みなさんもぜひ訪れてみては?
開催概要
●展覧会名
奈良国立博物館開館130年記念
特別展「超 国宝―祈りのかがやき―」
●会期
2025年4月19日(土)~6月15日(日)
・前期展示:4月19日(土)~5月18日(日)
・後期展示:5月20日(火)~6月15日(日)
※会期中、一部の作品は展示替えを行います。
●休館日
毎週月曜日、5月7日(水)
※ただし、4月28日(月)、5月5日(月・祝)は開館
●開館時間
午前9時30分~午後5時
※入館は閉館の30分前まで
●会場
奈良国立博物館 東・西新館
〒630-8213 奈良市登大路町50番地(奈良公園内)
●観覧料(税込)
当日:大人2,200円、高大生1,500円
前売・団体:大人2,000円、高大生1,300円
※中学生以下無料。
※前売券の販売は2025年2月19日(水)~4月18日(金)まで。
※団体は20名以上。
※障害者手帳またはミライロID(スマートフォン向け障害者手帳アプリ)をお持ちの方(介護者1名を含む)、奈良博メンバーシップカード会員の方(1回目及び2回目の観覧)、賛助会会員(奈良博、東博〔シルバー会員を除く〕、九博)清風会会員(京博)、特別支援者は無料。
※本展の観覧券で、名品展(なら仏像館・青銅器館)もご覧になれます。
※奈良国立博物館キャンパスメンバーズ会員(学生)の方は400円、同(教職員)の方は2,100円で当日券をお求めいただけます。観覧券売場にて学生証または職員証をご提示ください。
※チケット購入時に手数料がかかる場合があります。