2025/03/29 12:00
ぱーぷる編集部(松石)
食材の旨味がクリア引き立つ、滋味あふれる塩らーめん、奈良・天理市『塩たいおう』

近年盛り上がりを見せる奈良のラーメン店の中でも、塩ラーメンをメインに押し出すお店は意外と少ない。
そんな中、自信をもって塩ラーメンを看板商品として打ち出して人気を博しているのが、天理駅から徒歩3分ほどにある『塩たいおう』だ。
まずは自慢の『塩らーめん』を堪能
塩らーめん 930円(税込み)

こちらのスープは、マグロ節、鰹節、さらに朝びきの鶏肉も炊き合わせて出汁を採っている。
魚介の酸味を引き出しつつ、鶏肉の出汁で旨味を加えているのだ。
醤油や脂の旨味でのごまかしが効かない塩ラーメンだからこそ、丁寧な仕事が必要とされる。
『塩たいおう』では、加熱して出汁を採る際は、徹底した温度管理で風味を調整。
塩ダレには藻塩を使用し、海藻・海水由来の澄んだ旨味と、優しいながらも奥深い出汁が合わさる。
さらに海苔やチャーシュー、メンマなどの具材から染み出る旨味も加わり、絶妙に調和のとれたスープとなっている。
期間限定メニューも人気!
梅塩らーめん 1,000円(税込み)

こちらは期間限定の梅しそラーメン。
定番の塩ラーメンにトッピングとして、梅干しと大葉、そして金ゴマを加えている。
金ゴマは煎ったものを指先でつぶしてトッピングする“ひねりごま”だ。
煎りごまをそのまま使うよりも香りが良く、つぶし過ぎないので食感も残る。
上述のスープにさらにゴマの香ばしさと梅干しの塩味、大葉の爽やかな香りが加わることで、香りの部分での奥行きがグッと広がる。
どんどんとスープを飲み進めたくなる一品だ。
ゴールデンウィークまで提供予定で、ゴールデンウイークからはつけ麺の提供を開始予定。

具材の出汁によってスープの変化が楽しめる

中細のストレート麺
こちらは『塩たいおう』の裏定番
醤油らーめん 930円(税込み)

塩ラーメンが看板商品商品の『塩たいおう』だが、実はこちらの『醤油らーめん』も人気。
醤油に出汁、粉末煮干しを加えたスープは、濃厚でコク深い味わい。
出汁の旨味、醤油の香りがストレートに味わえる。
こちらは平打ちの麺を使っているので、先ほどの『塩らーめん』よりも麺の風味が強め。
醤油の塩味や煮干しのパンチ、麺の風味のバランスが非常に良い。
トッピングにも注目!

薬味は、手前から、山椒、七味、黒七味。特別な隠し味を使ったこちらの黒七味は特に人気だ。

トッピングの煮卵(120円/税込み)は『野澤養鶏』の吉野MICA卵を使用。名だたるレストランやパティスリー、割烹でも使用されているこの卵は非常に濃厚な味わい。

こちらは自慢の自家製チャーシュー(というよりもローストポークか)。スチームコンベクションオーブンを使って低温でじっくり加熱された豚肉は、肉汁がしっかりと肉の中に閉じ込められているため、しっとりとしていて肉そのものの味が濃い。テイクアウトも可能(500円/税込み)

調和と自信が生み出す唯一のラーメン
冒頭で記した通り、塩ラーメンにはごまかしが効かない。
そのため、出汁の採り方、スープの合わせ方など、一杯に含まれる全ての食材の味・香りの調和には高いレベルでの繊細さが要求される。
大阪の人気ラーメン店で修業を積んだ店長だが、実は飲食店でのキャリアのスタートは和食店だった。
その下地と、大阪の人気ラーメン店で修業したというバックボーンが相重なり、今の『塩たいおう』の味へとつながっているのだろう。
取材中の一コマで、とても印象的なやりとりがあった。
出汁の素材や工程について、細かく答えてくれる店長に向けて「質問全てに答えると味を盗まれるのでは?」という問いが飛ぶと、
「この程度では無理ですよ」と当然のように答える店長。
職人として自らが積み上げてきたものに対して、揺るぎない自信を感じさせる一言であった。
ラーメンどんぶりの中で描かれる繊細な味覚のコントラストをぜひ一度味わっていただきたい。
塩たいおう
住所/奈良県 天理市川原城町 886 古川ビル102号
電話/0743-89-2024
営業時間/11:00~14:00/18:00~22:00
定休日/火
駐車場/無(近隣に有料P有)