2025/03/11 18:00
ぱーぷる編集部(喜畑恵太)
【奈良県】10代でB級バスケ審判!現役高校生の奥村楓人さんの挑戦と審判ライセンス徹底解説
バスケ審判ライセンス制度を解説。
資格の種類、取得方法、S級を目指す10代審判員の挑戦も紹介。
審判技術向上、競技環境整備を目指すJBAの制度とは?奈良県唯一の10代B級審判、奥村楓人さんのインタビューも掲載。
バスケットボール審判ライセンス制度とは?資格の種類や取得方法を解説
バスケットボールの試合を公正に進める上で、審判員の存在は欠かせない。
その審判員の技術向上と育成、そして競技環境の整備を目的として、日本バスケットボール協会(JBA)は審判ライセンス制度を設けている。
審判ライセンス制度の概要
2016年度に従来のJBA公認ライセンスと各都道府県や各連盟が独自に発行していたライセンスを、全国共通の「6ライセンス制」として一本化した。
この制度は、以下の3つを主な目的としている。
・審判員の技術向上と育成:JBAおよび都道府県協会による一貫したライセンス基準のもとで、登録の一元化、審判員の普及・育成・強化を推進し、審判レベルのさらなる向上を図る。
・競技レベルに応じた試合数の増加への対応:リーグ戦導入の推進による大会審判の増員の必要性を鑑み、審判未経験者、若年層からの拡大を図る。
・競技環境の整備と競技力向上:「競技環境充実の」ための取り組みとして、一定の基準を持ったライセンス取得者による競技会の運営により、競技者に対する環境整備を図り、競技力の向上を推進する。
審判ライセンスの種類と技能
日本国内における公式試合の審判を務めるためには、審判ライセンスを保有している必要がある。
審判を行う際はライセンス保有者を示す公認審判員証(ワッペン)を常に身につけなければならない。
ちなみにライセンスは、以下の6段階に分かれている。
・S級:トップリーグおよびJBAが主催または管轄する全ての試合を担当することができる。
・A級:JBAが主催または管轄する全国規模の試合およびブロック協会が主催する試合を担当することができる。特に優れているとJBAが認めた者については、トップリーグの試合を担当することができる。
・B級:JBAが主催または管轄するブロック規模の試合を担当することができる。特に優れているとJBAが認めた者については、トップリーグ、全国規模の試合を担当することができる。
・C級:都道府県協会が主催または管轄する全ての試合を担当することができる。
・D級:都道府県協会が主催または管轄する地区・市区郡町村規模の試合を担当することができる。特に優れていると都道府県協会が認めた者については、都道府県規模の試合を担当することができる。
・E級:都道府県協会が主催または管轄する地区・市区郡町村規模の試合を担当することができる。
また、国際試合の審判を務めるための「国際審判ライセンス(FIBAライセンス)」もある。
国際バスケットボール連盟(FIBA)が認定する審判ライセンスで、2年毎に各国に割り当てられる推薦人数枠に対し、国内での選考(審判技術・体力・英語力等)を経て推薦された審判員が、FIBAの審査により認定される。
35歳以下で国内最高峰レベルの試合をコンスタントに担当してることがFIBAへの推薦条件となる。
奈良県唯一の10代B級審判 奥村楓人、S級審判への道
奈良県に、B級ライセンスを持つ高校生審判員がいる。彼の名は奥村楓人さん。
大和広陵高校男子バスケットボール部のキャプテンも務めた彼が、なぜ高校生でB級ライセンスを取得したのか。
選手としてだけでなく、審判員としてもバスケットボールに情熱を注ぐ奥村さんに、その理由と今後の目標について伺った。

ーまずはなぜ審判ライセンスを取得しようと考えたのですか?
奥村さん「資格を初めて取ったのが高校1年生になります。バスケットの選手として活動していましたが、そこまで技術があるわけでもないですし、知識もなかったので、バスケを知るためにもまずは審判のライセンスを取ってみようと考えたのがきっかけです。あとは中学から、体育教員になりバスケの指導者になることが夢なので、ゆくゆくは審判のライセンスが必要になると考えたからです。ただ、B級ライセンスまで、まさか高校時代に取れるとは思っていなかったですね。」
ーB級ライセンスを持っている方って奈良県内で何人くらい、いらっしゃるのですか?
奥村さん「約70名です。10代では僕だけになります。」
ーB級ライセンスを持った方は、学校の先生が多いですか?
奥村さん「大半がそうですね。審判員が不足しているのが現状で、公式戦でもクラブの顧問の先生がされることも多々あります。」

ー選手兼審判として、高校3年間を過ごして来たかと思います。今後、バスケ選手ではなく審判として活躍していこうと思ったきっかけを教えてください。
奥村さん「自分の競技能力、身体能力では上のカテゴリーでプレーするのは難しいと判断したからです。今後、バスケの世界で携わっていくには、審判として技術を上げて行こうと思ったのがきっかけですね。」
ー審判をしていて大切にしていることを教えてください。
奥村さん「コミュニケーションです。基本は初めて一緒にレフリーをする方が多く、同じ基準で試合を裁かないと成り立たないので、試合前のコミュニケーションは大切にしています。」

ー審判って、思っている以上に体力勝負ですよね。
奥村さん「B級からシャトルランのテストがあるので、普段からトレーニングもしていますし、見られる立場ですので、体のシルエットは大事にしていますね。」
ーやはりやるからにはS級を目指していきたいですか?
奥村さん「そうですね。大学の間にA級、できればトップリーグも担当できるようなS級審判にはなりたいと思います。」
ーA級からはすごく厳しい審査があるとお聞きしました。
奥村さん「まずA級の試験を受けるには、奈良県の代表8人に選ばれる必要があります。8人の中に選ばれたかと言って、最終的に県から合格者が0人の時も多々あります。ここからは非常に厳しい審査を通って行かないといけないので、ハードルは上がります。」
ー今後の目標を教えてください。
奥村さん「奈良県にはS級審判が2人しかいらっしゃらないのですが、その1人の方が天理大学にいて、今も指導をしていただいております。僕も今後は天理大学に進学し、引き続き指導していただきながら、中学からの夢である体育教師の教員免許を取得しようと考えています。」