鑑賞・見学おでかけ奈良市
2017/11/15 01:00

vol4.現代アートが迎える平安の正倉院『春日大社 国宝殿』

vol4.現代アートが迎える平安の正倉院『春日大社 国宝殿』 vol4.現代アートが迎える平安の正倉院『春日大社 国宝殿』

遥かな時の流れの中で、神の宝は継がれ続ける


正倉院展は日本国をあげてのアートイベントである。世界中から今やこの国で、この展覧会でしか見られない“シルクロードの宝”がどっさりと展示されるからである。他国では失われたものも多い。しかし日本では残った。時の人はこの宝を残そうとしてくれた。日本人は継ぐことをとても大切にする民族なのではないかと思う。

そして正倉院がある東大寺のすぐ近く、春日大社は日本の神社の中で最大点数となる国宝352点、重要文化財971点が奉納され、「平安の正倉院」とうたわれる。

ただいま開催中の展覧会名は「神が遺(のこ)した秘宝-春日大社は平安の正倉院-」(12月13日まで)。

まさにその名の通り。春日大社には、もはやここでしか我々が見ることのできない日本国きっての平安時代の宝があふれんばかりに残されているのである。

なぜか。それが貴族や武士の個人の宝であれば、時と人の隆盛とともに散逸し、失われてしまったであろう。

vol4.現代アートが迎える平安の正倉院『春日大社 国宝殿』

大展示室

しかしその宝は春日の神に奉納された。

遥かな時の中、時の権力を握る者たちが、時の最高の宝を春日の神に捧げたからこそ、今、ここに我々の眼福となり、圧倒的な古来の美が在り続けているのである。
日本人として、とても誇らしいお宝たちなのである。

その宝物を収めるミュージアムは、昨年、宝物殿から国宝殿へとその名も舘も新しく、清らかにダイナミックにモダンの美とともに生まれ変わった。

vol4.現代アートが迎える平安の正倉院『春日大社 国宝殿』

格子越しに通りからも煌めきの美を見せる鼉太鼓(だだいこ)ホール。春日若宮おん祭りで使われる高さ6.5mの鼉太鼓が、昼は陽の光を浴び、夜はライトアップされ、道行く人の目を誘い込む。ホールは撮影OK。春日参拝の記念写真のスポットに。

現代アートの技法、インスタレーションで
おごそかに清らかに、神域を表現する


vol4.現代アートが迎える平安の正倉院『春日大社 国宝殿』

<神奈備>

vol4.現代アートが迎える平安の正倉院『春日大社 国宝殿』

<春日>

エントランスから最初に人々を迎え入れるのは、おごそかに神域をあらわした現代アートのインスタレーション<神垣>である。

神社のミュージアムで初の斬新な試みは、境内の神秘的な雰囲気を来館した方に体感してもらいたいという宮司のリクエストで生まれたもの。

天から水と光が滴り落ち、地の水盤に波紋のように広がる<神奈備>は水に包まれるような心地に。鹿に杜に燈籠に、境内の景色を格子状のワイヤーに明滅させた<春日>に清らかな「体験」を味わって、階上の展示室に向かう。

春日大社にのみ残る、平安の最高の宝


vol4.現代アートが迎える平安の正倉院『春日大社 国宝殿』

本宮御料古神宝類 蒔絵箏

メインの展示室となる2階の大展示室。中央の大ケースで展示されていたのは展覧会の目玉の一つ、「本宮御料古神宝類 蒔絵箏(まきえのこと)」。
もちろん国宝。
伝世する平安時代の唯一の箏であり、蒔絵の技術もデザインも当時最高峰のもの。

展示室では企画展のテーマごとに、王朝時代の名宝や甲冑などが展示される。

vol4.現代アートが迎える平安の正倉院『春日大社 国宝殿』

小展示室

小展示室では大展示室の蒔絵箏を人間国宝の漆芸家、北村昭斎が復元した作品などが展示されていた。
寸分違わず蘇らせた至高の技と約800年前の制作当初の姿を表した、まばゆい輝きに魅せられる。

vol4.現代アートが迎える平安の正倉院『春日大社 国宝殿』

コーヒーセット700円。ランチやソフトクリームも。

vol4.現代アートが迎える平安の正倉院『春日大社 国宝殿』

国宝の刀の鞘に描かれていた猫が公式キャラクター。

展示を楽しんだ後は『カフェ・ショップ 鹿音(KAON』へ。
ミュージアムグッズも置かれ、店内では抹茶やコーヒー、菓子や軽食が楽しめる。
キャラクターグッズは国宝「金地螺鈿毛抜形太刀」の鞘に描かれた猫!


開催中の展覧会
「春日大社国宝殿特別展
神が遺(のこ)した秘宝-春日大社は平安の正倉院-」
開催中~12月13日(水)

今後の展覧会予定
「春日大社御創建1250年記念展Ⅰ 伝説の名刀たち」
平成29年12月22日(金)〜平成30年3月26日(月)

春日大社 国宝殿

  • 住所/奈良県奈良市春日野町160 春日大社
  • 電話/0742-22-7788
  • 営業時間/10:00~17:00(入館は16:30まで)
  • 定休日/会期中無休
  • 駐車場/有(有料、乗用車1000円)
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