生駒市ライフ生活
2017/11/10 01:00

vol5. “家族経営”ひらひら農園 平沢大さん・純子さん

vol5. “家族経営”ひらひら農園 平沢大さん・純子さん

生駒の高山地区。少し登っていくと、そこには道路も家もない。周りは山々に囲まれ、雑多なものが入らない水が流れ、きれいな空気と寒さがある。そんな抜群の環境下で、新規就農した平沢大(ひらさわはじめ)さんとその奥さま・純子(じゅんこ)さん。夫婦二人三脚で、レタスをメインに様々なチャレンジ野菜を作る裏側には、たくさんの出会いがありました。

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伝説の“ボラバイター”時代


大さんの経歴はおもしろい。なんと元々は大阪の美容専門学校に通う美容師の卵。卒業してから美容室で働くものの、手荒れがひどすぎて2年ほどで辞めざるを得ない状況に。そこからというもの、建築業や造園業など、室内業から野外で働ける職場へと移行していく中で、今から11年前の28才の頃、大さんに第一の転機が訪れる。群馬県・北軽井沢にある『岩田農園』との出会いだ。

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そこは、レタスやはくさい、キャベツなど、約15種類の野菜を莫大な土地で育てている大型農園。なんとその広さ約18町に及ぶ(東京ドーム約4個分相当)。その農園が当時募集していたのが「ボラバイター」と呼ばれるもので、衣・食・住付きで給料もでるボランティアバイトだ。

そのひとりが大さんであり、そこで目の当たりにする家族経営型の農業こそ、その後の彼の農業人生を変えるきっかけとなっていく。「あの頃は、昼間は死ぬほど働いて、夜は仲間と毎晩焚火をして、酒を飲み、ギターを弾いたり、踊ったり、どんちゃん騒ぎ。
でも毎日朝・昼・晩と3食必ず、岩田家の家族とボラバイト全員で同じテーブルを囲んで食事をして、じいちゃん・ばあちゃんも一緒に畑仕事をするあったかい日々だった」と振り返る。

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その苦楽を共に乗り越えたボラバイトの仲間こそ、後に大さんが一緒に働くことになる柏木さん(vol2掲載)だった。そしていつしか、大さんと柏木さんは岩田農園きっての伝説のボラバイターと言われるほどに成長していく。

2シーズンを岩田農園で修業した後、5年ほどは造園業に携わることになるが、その間も農業のことが頭から離れなかったという。そして思い切って、当時のボラバイト仲間である柏木さんと再会し、宇陀市にある農業生産法人『グリーンワーム21』で働くことになる。そして、そこで出会ったのが今の奥さま・純子さんだった。

樽井さんを語る上で、忘れてはならないもうひとつのキーワードが「明日香ビオマルシェ」だ。明日香村にある『あすか癒俚の里 森羅塾‎』の高橋夫妻から声があがり、デイリー使いできるオーガニックなマルシェをしようと始まったのがきっかけ。

意識の高い主婦や料理人をターゲットに開催を毎週金曜日に設定。実際に始めてみると、近鉄大和八木駅近くにある『中華バル ミツカン』のオーナー田村さんが来てくれたり、その横のつながりでたくさんの料理人が訪れるようになった。

一方で忘れてはならない、ビオマルコちゃんの存在。ビオマルシェがきっかけで集まるママさんコミュニティだ。みんなマルシェの日を「ハッピーフライデー」と名付け、毎週マルシェの日に集まっては野菜を買い、団らんしながら、子育ての悩みなどを共有している。

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そして“巡り合い”とはまさにこのことで、純子さんもまた岩田農園で働いた経験を持つバリバリの農ガールだった(正確には、大さんが辞めた後に岩田農園で働いていた)。

そんな運命的なつながりが、大さん・純子さん・柏木さんという3人を再び巡り合わせた。そこから丸2年、柏木さんの元で大さんと純子さんは商売としての農業ビジネスを学びながら、密かに愛も育み、電撃結婚!そして独立の道へと一気に階段を駆け上がっていくことになる。

独立、そしてシェフとの出会い


とんとん拍子に話が進み、今の高山での就農が決まってちょうど1年。夫婦2人3脚、365日休む暇なく畑仕事をこなしてきた。冒頭でも述べたように、高山という土地柄がふたりの農業ビジネスに生きた。

ひとつは、土質や水の環境が良く、野菜が元気に育つこと。ひらひら農園のメインはレタス。なんとその数10種類以上。中でも、「エンダイブ」と呼ばれる品種のレタスは、軟白させて(あえて遮光して葉を白くさせること)手間暇がかかるだけに、程よい苦味とみずみずしさが個性となって、お客からの評価も高い。その他の野菜を合わせると全70種類にも及ぶ。

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ふたつ目は、生産している高山の地から消費者までの距離が近いこと。それはつまり、鮮度を現す。今、約30店舗ほどのレストランと直接やり取りをする上で、配達も自分たちで行うため、朝採れた野菜をその日中に届けることができる。そうすることで、シェフの元には最も新鮮な状態で野菜が届き、棚もちも良く(どんなにあしがはやいとされる野菜でも1週間は持つ)、ロスがでない(ふつう外葉は捨てるのだが、フレッシュなだけに外葉から使用できる)。

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そして今、もうひとつの恩恵を受けている。シェフとの出会いをきかっけに始まった、チャレンジ野菜たちだ。「シェフの声を直接聞くことは、すごく刺激的なんです。シェフが必要としている野菜を知ることができるし、どうやったらおいしく食べられるか教えてくれる。僕たちは野菜を作る専門だけど料理するのは得意じゃない。一生懸命作った野菜を、一番うまい状態に引き出してくれるのはやっぱりシェフのチカラやと思います」とうれしそうに語る大さんと純子さんの畑には、実際に数多くのシェフが訪れている。

野菜の種類も、オゼイユ、チーマディラパ、カステルフランコ、トレビス、プンタレッラ、タルティーボとさまざま。そんなチャレンジ野菜たちが今後もっと増えて行くに違いない。

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「夢は家族経営の農業をすること」


「僕たちはたくさんの見えないお金に助けられました」と大さんは語る。美容師、建築業、造園業と遠回りした道のりは無駄ではなく、すべて今に生かされている。築かれた人脈から、安く機材を譲ってもらったり、新たな取引先が決まったり、ハウスの資材を安く仕入れて、自分たちで組み立てたりと。実際にかかるコストの1/3ほどしか、かかっていないのだから驚きだ。

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「夢は、もっと土地を広げて、この高山にひらひら農園キングダムを作りたい(笑)。僕と純子のふたりで家族経営の農業をするのが理想です。岩田師匠が僕に教えてくれた、おじいちゃん・おばあちゃんも一緒になって、積極的にやる農業。ボラバイトを雇って同じ飯を囲んで、みんなで楽しく畑仕事をしたい。そうして僕がこの土地で成功すれば、新規就農者が増えるはずだから」と大さん。

そんな真剣な大さんを横目に「大ちゃんは99.9999…%野菜のことしか考えていないんです。いつも野菜を見ては『ベッピンやなぁ~、本間おまえは美しい』なんて野菜の声ばっかり聞いて…。ちっとも家事手伝ってくれないんですよ」と純子さん。そういいながらも、その言葉たちはどれも愛情たっぷり。時にお菓子の取り合いをしたり、畑でじゃれ合ってこけて、レタスが下敷きに…なんてハプニングもあったり。そんなおしどり夫婦が育てる野菜たちには、特別な愛情がたっぷり注がれていると思うと、よりおいしく感じた。

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ひらひら農園

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