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Vol.14アートと料理と。暮らしの美を紡ぐ「ギャラリーファブリル」

大和高原の丘の上。オーナーは河瀬監督映画の料理番

  • 情報掲載日:2018.09.05
  • ※最新の情報とは異なる場合があります。ご了承ください。

奈良市郊外、大和高原の丘の上。
建築家が「どこからか舞い降りてきたような、裏表のない家に」と意図したとおり。
木々に囲まれ、四方に大きな窓があり、緑とつながり、風が通り、光が差し込む。
里山の美しさが溶け込んだような一軒家ギャラリーである。

一軒家はカフェであり料理教室であり、オーナー・安達泉さんの住まい。
通路を介した離れの棟が展示場となるギャラリーである。
だが家も展示場もひっくるめての「ギャラリー・ファブリル」であり、そこには安達さんの美への思い、アートへの熱、豊かに生きる暮らしへの信念が静かに息づき、訪れる人を心地よくもてなしてくれる。


ギャラリーが始まったのは1999年のこと。
大阪でギャラリー勤めの後に、この地に移住。仕事柄、友人知人に作家も客も多く、いつしか居間を展示場にするように。
4年後、別棟を建て、ギャラリー・ファブリルとして正式オープン。
貸しではなく、安達さんセレクトの企画のみで展覧会を開いている。

「大河内久子展」ドローイング&オブジェ
「大河内久子展」ドローイング&オブジェ

「やせ我慢の世界ですよ」、宝の言葉を抱いて思う。

貸しギャラリーにすると経営は楽になる。
でもここは譲れない。
心底、自分が「本物」だとうなづく作家にのみ、この空間を彩ってもらいたい。

「やせ我慢」と笑いながらも思いがある。
今はなんでもクリック1つで手に入る。アートの世界もそう。作り手が簡単に商品を並べて売るように。
以前は選ばれたものが世に出たが、今は違う。
そのせいか、「若い人に本物を見抜く力が育っていない」と危惧をする。
ギャラリーは本物への道しるべ。そう信じて「踏ん張っています」。

この空間で本物を体験してもらいたい。

「買わなくても見ていただくだけでいいんです」。
何年も通う若い女性が「ここに来ると本物が見られるから」と言ってくれた。
その一言が宝だと思う。

未来のアート好きへの架け橋となる。それも大切なギャラリー仕事の一つである。




「キッチンは私のステージです」
「キッチンは私のステージです」

ギャラリーに何時間も居ていいの?そんな遠慮は無用である。
朝から昼下がり、夕方までも。
展覧会期間中はそんなお客様のためにカフェをオープン。ランチも用意する。
「ここでゆっくり過ごしたいから、パン1枚でも食べさせて、ってお客様に言われて」と笑う。
またこのランチが評判で、ランチ目当てで来られる方も。
なにしろ作る人、安達泉さんは料理教室の先生である。

展覧会は月後半に1回、10日〜2週間展示する。

月の前半は料理教室。
2004年からスタートし、今は5クラス。少人数制で20代から幅広い世代が通い、男性も。
「作るだけが料理教室ではない」と考える。
食材選びに道具選び。どんなキッチンで作るのか。
楽しいテーブル作りや場のしつらえ、宴の会話もひっくるめて食文化を楽しむこと。

暮らしを豊かにすることは、アートも料理も同じこと。

河瀬監督映画の料理番。名女優、ジュリエット・ビノシュの食事も担当

ギャラリーが建つ田原地区はカンヌ国際映画祭でグランプリを受賞した河瀬直美監督の映画『殯の森』の舞台となったところ。
縁あって映画スタッフの食事を担当。奈良で撮影の折には料理番となり、最新作『Vision』でもフランスの名女優、ジュリエット・ビノシュの食事を1日3食、担当した。

スクリーンにこそ料理は映らないが「このシーンのときは、この料理を食べた後だったわ」と、作品とつながれたことをうれしく思う。

「食は何もかもの原動力」。作品を創る手も生む心も、食の力があってこそ。

それは美にもつながるもの。
美しいうつわはもちろんのこと、灯りや布や食卓を彩る美があり、椅子やテーブル、着る美もある。

生きる力は食にあり、暮らしの中に美は紡がれる。
アートと料理と。どちらも豊か。どちらも楽しい。
ギャラリーファブリルの豊かな空間が、そのことを楽しく教えてくれる。

Information

ギャラリーファブリル
住所
奈良県奈良市茗荷町1400
電話番号
0742-81-0909
営業時間
11:00~18:00(冬期は17:30まで)
休み
会期により異なる・HP参照
料金
展覧会は無料。カフェ別途。料理教室は入会金1万円、月1回7,000円
駐車場
問い合わせ先
ギャラリーファブリル
リンク
ギャラリーファブリル
備考
9月、10月は常設展。11月は企画展「楢原信子 展=紡ぐ・染める・編む=」を予定

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