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大和蔵元探訪酒めぐり

Vol6.梅乃宿酒造 醸造「梅乃宿」社長 吉田佳代

伝統と革新を醸す「梅乃宿」蔵元インタビュー

  • 情報掲載日:2017.12.27
  • ※最新の情報とは異なる場合があります。ご了承ください。

日本酒をコアに梅酒、リキュールなど
伝統と革新の両輪で一歩先を行く仕掛け蔵

新しい酒文化を創造する。それが信条。次々と新手を仕掛けて日本酒の「先」を開いた、全国にその名を知られる蔵である。

梅酒やリキュールなどで日本酒ファンの裾野を広げ、若者や女性も取り込んだ。ただしその軸足は日本酒にあり、通の評価も高い。どっしりした酒もフレッシュな酒も、数々の銘酒を醸し、受賞歴も多数。
梅酒やリキュールなどで日本酒ファンの裾野を広げ、若者や女性も取り込んだ。ただしその軸足は日本酒にあり、通の評価も高い。どっしりした酒もフレッシュな酒も、数々の銘酒を醸し、受賞歴も多数。

蔵の歴史は125年。老舗蔵だが、「創業200年、300年が当たり前の業界では、まだ若い、新参者」。ならばこそ、と挑戦する。
「現状維持は落ちるだけ」と前を向くのは5年前に蔵を継いだ若き5代目、吉田佳代さん。いつも懐には次の一手。「伝統と革新」を武器に、両輪で日本酒業界の先駆となる。それが「梅乃宿」である。

先取の目で梅酒づくり
蔵は人とともに生きる

梅酒に挑んだのは約15年前。先代が仕掛けた。今では日本酒の蔵が梅酒をつくるのも珍しくないが、梅乃宿が先駆けである。1年目、あっという間に完売。2年目も即完売。3年目に思い切ってタンク20本分つくったらドカンと梅酒ブームが来た。先取の「目」は確かであった。

出稼ぎの季節雇用だった蔵人が、時代の流れで年間雇用に変わっていったのも梅酒を始めた理由の一つ。仕込みは、ちょうど日本酒づくりの期間外。蔵は人とともに生きるのだ。

バッシングもあった。日本酒の蔵を誇る人たちからは「酒蔵の恥さらし」とまで言われたことも。だが、日本酒があまり飲めない人も、実に多くの人が喜んだ。これは正しいことなのだ。その信念が次のリキュールにつながった。

現在、蔵人は14人。平均年齢は32才。中堅どころで30代後半というイキの良さ。若き力で突き進む。
現在、蔵人は14人。平均年齢は32才。中堅どころで30代後半というイキの良さ。若き力で突き進む。

やってみなはれ。社風は新風

梅酒の実を生かせないかとたどりついた「あらごしシリーズ」はどろどろした果肉入り。梅酒業界でも思いつかなかった新手のリキュールが誕生した。これは若い社員のひらめきから。若いもんの声を聞く。これは先代から今も続く社風である。「やってみなはれ」。

日本酒のスパークリングやリキュールが生まれたのも、その社風があってのこと。
スパークリングは5年ほど前にブームを呼んだが、実は梅乃宿の微発泡酒「月うさぎ」は、そのずっと前、17年前に発売されている。
仕掛け人は女子大生であった吉田さん。周囲の友人にリサーチを重ねて生み出した。
「若い子は日本酒を飲まない。女子はなおさら。どうしたら飲んでもらえるか」。
逆転の発想が光る。日本酒のアルコール度数は15か16度あたりだが、月うさぎは6から7度。女子受けするネームにラベル。軽やかな口あたりで今も続くロングセラーとなっている。

勝ち蔵の気合と覚悟、ここにあり

「蔵の生業は日本酒です」。梅酒で、リキュールで、どれほど成功しようとも、変わることは決してない。
その日本酒も当然ながら勝ちに行く。「一切の手を抜きません」。それこそリキュールで得た利益を日本酒づくりに注ぎ込む。「設備投資もできる。良い循環です」。それほどの覚悟と気合い。まさに盤石の構えで醸す。

「梅乃宿」の「葛城」を始めとする定番から、伝統の「山香」と革新の「風香」からなる「山風香」シリーズなど、多彩な銘柄を誇る。無圧採りに生酛に山廃、熟成古酒も醸す。

今や人気の備前雄町を早くから使ったことでも知られるし、英国人杜氏のフィリップ・ハーパーが醸した「アンフィルタード・サケ」は今から25年前、無濾過生原酒の先駆けである。梅酒以前、ずっと前から歩みを止めない先進の蔵であった。

最近では若い蔵人だけで仕上げたフレッシュ&モダンなUKシリーズや、実験的な新酒に挑むUMENOYADO LAB.シリーズにも挑む。
その対極にあるかのような「奈良流五段」は、江戸初期の技法「奈良流」を復活させたもの。3回に分けて仕込むところを、さらにさらに手間かけ五段。濃醇な甘みとうまみにキレよい酸の調和が絶妙でまろやかに。歴史と風土を感じさせる奈良酒である。

どちらも進む。伝統は深く。革新は先へ
20年後の輸出割合50%へ向けて

麹室にて。データは微細に精密に「めちゃくちゃ取ります」。
麹室にて。データは微細に精密に「めちゃくちゃ取ります」。

酒だけではない。今期の造りから杜氏がいなくなる。いや、蔵人みんなが杜氏になるという、これまた画期的な新体制を「いったん作る」という。
「先代も私も新しいことが好き。社員にも失敗を恐れず、より良い方へ挑戦しようと常々話しています」。失敗すれば戻せばいい。成功すれば先へ行ける。

「酒の味も現状維持はだめ。同じ酒でも一造りごとに価値を上げていかなくては」。
「酒の味も現状維持はだめ。同じ酒でも一造りごとに価値を上げていかなくては」。
櫂入れにも力が込もる。
櫂入れにも力が込もる。

その目は世界にも向いている。
世界進出を果たしたのも日本酒蔵では先駆の一つ。2002年のことである。現在20ヶ国に輸出し、輸出は売上の約15%を占める。

「近いうちに30%にしたい。20年後には50%を狙いたい」。頭打ちの国内を越えて海外へ。これも15年のノウハウと先を見越した目があってのこと。後手ではなく先手を打って、今が、そして未来がある。

先代の先見の明を称えれば、「父は海外に行きたかっただけでしょう」と軽く笑うも、「打った手がことごとく成功した」と明かす。
先代の先見の明を称えれば、「父は海外に行きたかっただけでしょう」と軽く笑うも、「打った手がことごとく成功した」と明かす。

梅乃宿のワクワクは止まらない

その父が後を託した娘、吉田さんは幼い頃より蔵が遊び場。大学を卒業後、異業種で就職するも24才の時に「そろそろ」と呼び戻された。
ただし「能力が無ければ継がさない」とも。血よりも蔵の将来を、社員や酒を思っての父の重い言葉であった。ただし「誰よりも蔵を愛している」と思う娘にとっては、何より励みとなるありがたい言葉であったという。

その4年後、「来年、譲る」と言われたとき、吉田さんは初めての妊娠が分かったばかり。「できない理由はいくらでもあるが、どうすればできるか考えたら、できると思った」。まさにこの父にして娘あり。
それから5年、新社長は梅乃宿のDNAを引き継いで、新たな仕掛けを打ってきた。
「みなさんがイメージする酒蔵とは違うかもしれません。梅乃宿に関わるとワクワクするね。そんな会社をめざしています」。
梅の花は初春の花。いくつもの新しい春を迎え、いつも真っ先に咲かせる花が、吉田さんの姿に重なる。梅乃宿の“ワクワク”は今も、そしてこれからも、止まることはなさそうだ。

Information

梅乃宿酒造株式会社
住所
奈良県葛城市東室27
電話番号
0745-69-2121
リンク
梅乃宿酒造株式会社

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