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大和蔵元探訪酒めぐり

vol4.今西酒造 醸造「みむろ杉」社長 今西将之

酒の聖地で王道を醸す「みむろ杉」蔵元インタビュー

  • 情報掲載日:2017.10.25
  • ※最新の情報とは異なる場合があります。ご了承ください。

酒の聖地で平均年齢28歳の蔵人と
モダン・クラシックな「王道」を醸す

今、奈良でもっとも勢いのある蔵ではないか。若き蔵元、今西将之さんが急逝した父に代わって蔵を継いだのは若干28歳の時。
それからわずか5年である。設備も人も、酒造りのすべてにおいて、蔵を丸ごと刷新。振り切り、前へ進み、ここまで来た。今や全国新酒鑑評会、金賞連続受賞蔵。平均年齢28歳の蔵人たちとともに、酒の聖地、三輪で真摯に酒造りに向かい、ひたすらに「王道」を醸している

蔵主は道。酒造りは夢

今西酒造は350年以上の歴史を誇る老舗酒蔵。幼い頃より蔵を継ぐと決め、迷ったことは一度もない。大学を出て他業種に就職したが、それも14代蔵主としてマネジメントを学ぶため。蔵主は、自身の道であり、酒造りは夢。30歳で蔵に戻り、父のもとで修行を重ね、40歳で社長になる計画を立てていた。

ところが28歳で父が急逝。突然、蔵を継ぐことに。引き継いだ蔵は酒質も社風も経営すべてが理想とはかけ離れたものでがく然とする。
すべてを見直し、新たな出発に賭けた。

“ゼロ”の蔵主は重圧を力に、注目蔵に躍進する

ゼロからの始まりは、躍進への道となる。“ゼロ”の蔵主は重圧を力に変えて、全国へ出た。美酒を醸す名蔵を回り、最上の酒造りを学び、それぞれの良いところを蔵に持ち帰る。

3年で全社員が入れ替わり、今は新卒しか採らない。「超衛生的な環境」を作り、設備もこの5年で全て入れ替えた。

「今に見ていろ」。古い世間の常識に、胸中で言い続けた。経験値ではジュニア。だが「こなれた人間より、心血注ぐ人間が命がけでつくった酒の方が絶対にうまい」。その思いは結実し、コンペに出せば全て上位受賞の注目蔵となるのである。

効率は一切無視。渾身の酒造り

「ひと手間、ふた手間どころではなく」手間のかかる丁寧な酒造りをする。

「酒造りの工程は大手も零細も同じ。どこでクオリティが変わるか。どの工程でどれほど丁寧にこだわり抜くのか。効率と非効率のせめぎ合いが酒造り。だが僕らは一切、効率を無視。各工程のパフォーマンスを最大限に上げることしか考えていません」。

たとえば洗米。小分けにした方が、確実に糠が落ちてきれいになる。ただし時間がかかる。「僕らはどの酒も全ての米を10kgずつ小分けにして洗います」。昨年、数えたら1万回。さらにタンクに米を運ぶのも、通常ならシューターと呼ばれるホースで飛ばすところを、雑菌汚染を防ぐため、全て手で運びます」。シューターなら1人が1時間で終わる作業を、4人で3時間。12倍の手間をモノともしない。

モダン・クラシックな、円の酒

奈良県内に流通する創業銘柄の「三諸杉(みむろすぎ)」「鬼ごのみ」に加えて、新進の思いを込めた全国特約店限定流通ブランド「みむろ杉」ろまんシリーズを醸す。

「『みむろ杉』を抱いて眠りたい」。それも毎夜だと友人はウットリ酒の夢を見る。「どんな宴会にも合う。誰もが好きな酒だから」。別の友人はきっぱりと言う。
どんな時も、誰からも、愛される酒。それは蔵の目指すところだ。

「僕らは料理に寄り添う食中酒をつくりたい」。酒は食卓の端に置かれる。それでいい。主役は料理で、知らぬ間に盃が進む酒がいい。
それはフレッシュで華やかなモダンな酒でなく、インパクトのあるクラシックな酒でもない、真ん中の酒。「モダン・クラシックな酒」なのだと言う。フレッシュで優しい香り。米のうまみがあって、きれいな酒である。

みむろ杉ろまんシリーズ。中央が蔵のフラッグシップとなる純米吟醸山田錦。全ての味のベースとなる酒。左端は特別純米 辛口 露葉風、右端は純米吟醸 雄町 ひやおろし。
みむろ杉ろまんシリーズ。中央が蔵のフラッグシップとなる純米吟醸山田錦。全ての味のベースとなる酒。左端は特別純米 辛口 露葉風、右端は純米吟醸 雄町 ひやおろし。

ポイントは酸。穏やかながら酸度は市場平均の1.4倍もある。実は酸が高い酒なのである。「酸が背骨とすれば、僕らはこの周りに米の甘みと旨みで肉つきをする。球体をつくるイメージで醸すのです」。
ふんわり、おだやかな“円の酒”。「口に含めば丸い旨味の玉が広がって、中盤から高い酸でキレるのです」。

時をおかずに瓶詰めし、マイナス5度で貯蔵してモダンのフレッシュさを実現。その中身はクラシックな酒がしっかり詰まって、酒呑みをいつまでも離さないのである。

酒造りは「人」だと思う。心底の思い、ありたけの情熱。醸す「人」が酒に出るのだと信じている。
酒造りは「人」だと思う。心底の思い、ありたけの情熱。醸す「人」が酒に出るのだと信じている。

ブランドコンセプトは「三輪を飲む」

なにしろ350年以上前から酒の聖地、三輪で醸してきた老舗蔵である。

三輪は酒造り発祥の地とも伝わり、日本最古の社、大神神社の神は酒神。酒屋の看板・杉玉発祥の地でもあり、今も大神神社から全国の酒蔵に杉玉が送られる。

「これほどの酒の聖地は世界中探してもこの地だけではないか」。大神神社のご神水と同じ水脈上に米を育て、その水で醸す。だからこそ思う。
「僕らは本物の、王道をゆく酒造りをする」と。

甘いもの、酸っぱいもの、辛いもの。「変化球の酒」は、この先も醸すことはない。王道の酒だけを醸していきたい。それは誰からも愛されるきれいな酒だ。

蔵の強みは若さと情熱の「社員力」

酒造りを語る時、僕、ではなく「僕らは」と語る。「うちの蔵の一番の強みは社員力。若く、情熱的で、エネルギーにあふれ、とにかく真摯にうまい酒がつくりたいと願っている」。昨年、5年がかりの設備投資を終えた。「これから、僕らの酒はもっともっと、うまくなりますよ」。次の酒が待ち遠しい。伸び盛りの「彼ら」に、こちらもますます期待が募る。

Information

今西酒造 株式会社
住所
奈良県桜井市三輪510
電話番号
0744-42-6022
リンク
今西酒造 株式会社

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