2017/09/20 01:00
vol3.『Live House BEVERLY HILLS』
一流どころがライブを重ねる歴史あるライブハウス
押尾コータロー、BEGIN、岡林信康、花*花、
ROLLY、嘉門達夫、ウルフルケイスケ…ちょっとオトナの一流どころがライブを重ねる。
1980年創業。奈良で続く歴史あるライブハウスである。
坂口照太郎さん
「なんでこんな小さなハコに、あんなメジャーが来るねん、と言われたことも」と笑うのは2代目オーナーの坂口照太郎さん。
一つは老舗への信頼感。そうそうたるアーティストがこのハコを選んできた。それは2つ目の理由、音響の良さにもつながる。
「関西のライブハウスで音がいいハコ」との定評あり。その音をつくってきたのは坂口さんである。
アーティストの音楽観をとらえ、曲ごとに演出をする。その音は長く聞いても疲れない音でなくてはならない。そしてアーティストの音楽を、魂を、しっかりと送り、客を別世界に運ぶ。ライブハウスはそんな夢の装置なのだから。
「一流ほど、音の着地点が明確。アーティストの望みを響かせていくうちに店のレベルも上がってきた」と老舗の誇りをにじませる。
大仏フェスを立ち上げ、奈良の音楽シーンを動かした父
昭和55年から始まるこのハコを誕生させたのは父、照人さんである。京都や大阪に比べてさびしい奈良の音楽環境をなんとかしたい。熱い思いで音楽スタジオを立ち上げて、その後、ビバリーヒルズをオープン。
アマチュアバンドの登竜門「大仏フェスティバル」も立ちあげた。音楽業界も注目するバンドコンテストに育て上げ、約20年に渡って開催。プロも生み出すなど、奈良の音楽シーンに大きな影響を与えてきた。
照太郎さんが店を継いだのは14年前、突然のことであった。ファンク系のバンドのボーカリストとして京阪神を拠点に活躍していたある日、父が倒れたと知らせを受ける。脳梗塞で復帰は困難。明日にはビバリーヒルズでライブがあるという。暮らしていた大阪から車で奈良に向かう途中、腹をくくった。「これからは裏で生きる」。
この日のライブは我那覇美奈と花*花。ゲストにスティーブ エトウも駆けつけて満員のフロアを盛り上げた。
「いいハコが奈良にあるよ」
以降、裏方として表のアーティストを支え、客とつないできた。父の時代はアマチュアバンドがメインであったが、アマチュアの活躍の場を残しつつ、プロがメインのハコにスライド。アーティストから「いいハコが奈良にあるよ」と伝わって今がある。
「ゆっくりと音楽を聴いてもらいたい」。爆音を楽しむ店ではないと言う。実力派アーティストの音を、歌を、じっくり楽しんでもらうためのハコがビバリーだ。
「大ホールは遠い」。ここではアーティストの想いを身近に肌で感じられる。客席とアーティストが一体となり、作り上げる音空間の心地よさを味わってほしい。
ずっと音楽と生きて来た。子どもの頃からこのハコが“遊び場”だった。
「僕自身、苦しい時は音楽で救われた。迷う時は音楽が力になった。楽しい時はさらにハッピーに、音楽で笑って来た。このハコに来てくれる人が音楽と楽しい時間を過ごせますように」。父が倒れた日、車中で腹をくくったその想いは今も寸分と変わらない。
客層は30代以上が多い。開放的な店内に改装後、子ども連れで楽しむ人や女性の1人客も増えた。「ライブハウスはあやしい、そんな雰囲気はうちにはありません」と笑う。昼はランチ営業も。
Live House BEVERLY HILLS
- 住所/奈良県奈良市花芝町6 プラザ花芝1F
- 電話/0742-26-7444
- 営業時間/
- 定休日/無
- 駐車場/無(近隣に有料Pあり)