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都会っ娘の農業奮闘記 農meetsGIRL

vol14.タウン情報ぱーぷる「農meetsGIRL」のその先

  • 情報掲載日:2019.01.17
  • ※最新の情報とは異なる場合があります。ご了承ください。

読者の皆さん、こんにちは。

2月25日(月)発売の「タウン情報ぱーぷる」3月号を持って、約23年続けてきました本誌を休刊することになりました。

今年で9年目を迎える私も、入社してから丸4年は「ぱーぷる」に携わり、編集してきました。現在は『奈良食べる通信』の副編集長という立場で、「農ミーツガール」というコーナーを担当させていただいています。

今日は、月刊誌の区切りとして “これまでの8年間とこれから”をこのページに残したいと思いました。今、このページを読み、本誌を愛してくださっているすべての読者のみなさまへ。長々となりますが、お付き合いいただければ嬉しいです。

私が「編集」という仕事に強く憧れたのは、とある出版社でアルバイトをしていた頃に出会った女性編集長の働きっぷりがカッコよすぎたから。

マンガに出てきそうな鬼編集長キャラで、外見は女性なのに中身はガッツリ体育会系男子(笑)。でも、最高にキラキラして見えました。「この仕事に自分の生涯かけてんなぁ」と感じたことが、編集という仕事を選んだきっかけだったと思います。

そこから新卒でこの会社に入り、願い叶って「タウン情報 ぱーぷる」の編集部に入りました。振り返ってみると、この4年間は、私の中で「とことん時間を削りながら働いた年」とも言えます。

その時間と引き換えに自分が得たもの、それは「奈良という地域の中のつながり」でした。初めての特集担当では、やりたかったカフェ特集をやってみたり、ラーメン特集の時は1日に5杯ラーメンを食べてまわったり、奈良の飲み屋を巡って酔っ払うという、酒好きな私の職権乱用と言われても仕方のない連載コーナー「のんべえ日記」があったり…。

取材に行くたびに、飲食店や街の人との出会いがあり、会話を重ねていくにつれ、大阪出身の私はどんどん奈良の人を好きになりました。奈良の地域の魅力は「鹿と大仏じゃない、奈良に住む人のあったかさなんだ」と、シンプルで当たり前の答えにたどりつきました。

「ぱーぷる」の使命、それは読者のみなさんに「奈良という街と地元の人を好きになってもらうこと」なんだと思います。

その結果、私たちは、その形が「本」にこだわらなくていいという答えを選びました。もっとその輪を広げるために、情報量が限られてしまう1冊の本ではなく、字数に縛られない情報をタイムリーに取り出せて残していけるモノ=webへと変わります。それはいつでもあなたのポケットに入って、365日の生活に寄り添う情報になってくれることを願っています。

現在、私はタウン誌を卒業して、『奈良食べる通信』を編集しています。立ち上げ当時は「農業」という壁にぶち当たりました。「農業に無縁の私がなんで農業をしないといけないんだ」と思ったのが正直なところ。

4年の編集キャリアは、農業に全く通用せず、生産者の取材はボロボロ。何を聞いていいのかもわからない。食のジャンルに長けている編集長を前に、自分は劣等感でしかなく、はっきり言って不満で、はっきり言って自分には不向きだと思いこんでいたのです。

でも、そうじゃないと気づいた時、180度自分の働き方が変わりました。「不向き(弱み)」を「向き(強み)」に逆転させる「何か」を見つけることが大事なんだと気づくわけです。自分だからこそできるポジションがあって、自分にしかできない見方がある。そのきっかけをくれたのは、食べる通信の立ち上げで出会った「東松島食べる通信」の編集長の言葉。「無敵の素人になれ」という言葉こそが、今の私の働く原点といっても過言ではありません。

今、都市を中心に当初の私のような農業に無縁・無関心な人が増える一方で、農業に携わる一次産業従事者の数は極端に減っています。

現在、国内における消費者と生産者の割合は98 : 2とも言われていて、これはつまり98人の食をたった2人で支えているということ。さらには、その2人のほとんどが高齢者です。

両者に対して私ができることは何か。それが「消費者と生産者を結ぶ編集者になり、農業に無縁だったド素人な私の目線と言葉で、生産者のリアルを伝える」という答えでした。

農家の人が「どうやって伝えたらいいのかわからない」と悩んでいるのを目の当たりにし、私にできることは彼らの代弁者になることなんだ、と。しかもそれはかつての自分のように、農に関わりのない人たちに誰よりも近い目線で伝えたらいい。

タウン誌をやっていた頃はマスメディアという位置付けで、大多数の顔の見えない読者に対して一方通行の情報配信でしかなかった。それがとても歯がゆく思えた時がありました。でも、『奈良食べる通信』はマスじゃない。1人の生産者と食べる人400人、互いの顔が見える関係を築けます。そのつながりの先にあるもの、それは「いただきます」から始まる豊かな生き方だと私は思います。

自分たちの食を支えてくれている人への感謝の気持ち。生き物の命をいただいて生かされているという生の実感。私たちはそういった「ごちそうさま」に至るまでに関わる人や生き物の物語をちゃんと知る必要がある。

「食べることは生きること」。当たり前なことを、見失いつつある世の中だからこそ、『奈良食べる通信』という、地域ではなく人をクローズアップした小さな単位で、食べる人とつくる人が相互につながる豊かなコミュニティをつくりたい。

『奈良食べる通信』を発刊して約3年。一番自分と反対側にあった「農業」という無縁なものを会社から与えられたこと。ジレンマがある中で、農業と「向き」合い、自分の人生は180度変わりました。今、生産者を取材していく中で、いろんな生き様に触れ、それらを知ることは豊かに生きるための選択肢を与えられているとさえ思います。だからこそ、皆さんにも味わってほしい。つながってほしい。

私はこれからも両者の間に立って、自然や生き物を相手に生業をする人たちの懸命な姿とリアルな農の現場を、自分らしい言葉と行動でこれからも伝えて生きます。

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