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都会っ娘の農業奮闘記 農meetsGIRL

vol13.奈良市八条で育つ大和伝統野菜「八条水菜」種を残す「今」継ぐ「未来」

  • 情報掲載日:2018.12.20
  • ※最新の情報とは異なる場合があります。ご了承ください。

「鍋にしたら、ほんっまに美味いねん」「ほんで、この水菜を親戚や友達に渡すやろ、そしたら『この水菜を食べたら、他の水菜は食えへん。また来年も頼むで!』と言うてくれますねん。それが嬉しゅうて、嬉しゅうて」と少年のような純粋でキラキラとした目つきで語るお父さんたち。

今回ご紹介するのは、奈良市の八条で、「八条水菜」と呼ばれる大和の伝統野菜をつくるお父さん6人の物語だ。

「八条水菜」と書いて、お父さんたちは昔から「はっちょうみずな」と呼んでいる。親しみを込めて私もそう呼ぶことにした。

この「八条水菜」は、田んぼの裏作で育つ水菜で、秋の米の収穫が終わる頃に水菜の苗を田んぼに植えて冬の間に出荷される。

みなさんが通常、スーパーで食べているのはサラダ水菜と呼ばれるもので、軸が細くて生食用に向いている。しかし、お父さんたちが育てるのは、軸が太くて柔らかく、大きいもので1株2kgにもなる大きな水菜だ。

加熱して食べると、めちゃくちゃ美味しい。なぜ美味しいのか。それにはちゃんとした理由がある。「霜が降りるから」だ。

通常のサラダ水菜のほとんどはハウス栽培で育てられ年中出荷される。それに対して八条水菜は11月中旬〜2月頃までの限定出荷となり、路地で育つ。その期間中、朝方に霜が降りて葉が凍るのだ。この霜が降りることによって、水菜は抜群に甘くなる。だからうまい。

この水菜を食うたら、他のものは食えないと嬉しそうに語る一方で、お父さんたちはこうも語ってくれた。

「この地に生まれたからには、水菜をつくれと言われて育ちました。だけど、どの家の息子たちも都会に出てしまって一緒に住んでない。だから、俺らの代で終わるかもなぁ」と。

このエリアで「八条水菜」をメインに育てている生産者は、10人にも満たない。

何もこの生産者に代表されるような一次産業だけでなく、様々な業種で後継者問題、人手不足が進行している。普段テレビや新聞で見聞きしているニュースや社会課題は、どこか他人事のように感じるかもしれないが、自分自身が目の当たりにし、体験することで自分ごとになるのだと思う。

まさにこの時、お父さんたちの言葉を聞き、我々にできる事はお父さんたちや先人たちがこの水菜に馳せてきた想いを形にすること。そして、水菜の魅力を掘り下げ、みなさんにも共有すること。さらに言えば、この奈良市八条で代々受け継がれてきた八条水菜の“種”を絶やさぬようなきっかけを作ることではないかと感じた。

「こんな美味い水菜の種を途絶えさせたくない」、「お父さんたちの笑顔が消える日を見届けたくない」、「美味い水菜を食べ続けたい」どんな理由でも良いのです。

我々、編集部がお父さんたちの言葉を目の前で聞き、何か託されたような気がしたように、この投稿を見たみなさんができることは何なのか。

それは「食べ続けること」だと思います。この八条水菜は、悲しいことにスーパーでこの名前で売られることはありません。八条という名前は市場までしか名を馳せない。でも唯一、JR奈良駅前にできた「まほろばキッチン」にて、生産者・畑田昇さんのお名前で出品しています。ぜひ、食べてみてください。

きっとお父さんたちの手間ひまの分だけ甘く、おいしく、力強い味を感じてもらえるはずです。

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