ライフその他
2018/05/25 01:00

河瀨直美監督最新作<br>千年の森が継がれる奇跡の物語『Vision』スペシャルインタビュー

河瀨直美監督最新作<br>千年の森が継がれる奇跡の物語『Vision』スペシャルインタビュー

河瀨直美監督 /[ヘアメイク=吉野節子(マービィ)]

<p style=text-align: left;><span style=color: #333333;>奈良で生まれ育ち、奈良で映画を撮り続ける世界的名匠、河瀨直美監督。6月8日(金)より公開される最新作『Vision』は、フランスの大女優ジュリエット・ビノシュさんと『あん』『光』に続いて3度目のタッグとなる永瀬正敏さんをW主演に迎え、吉野を舞台にオール奈良ロケを敢行。千年の森が継がれる奇跡の物語が誕生した。</span></p>

河瀨直美監督最新作<br>千年の森が継がれる奇跡の物語『Vision』スペシャルインタビュー

河瀨監督の強烈なリアリズムが、深遠なファンタジーを目覚めさせる。吉野の千年森が継がれゆく、美しくも力強い物語が誕生した。

——監督がカンヌ映画祭でジュリエット・ビノシュさんと出会われて意気投合し、すぐに話が進まれたとか。これまでも森をテーマに作品を創られていますが、今作では山を守る「山守」が描かれていますね。

10年ほど前から森がおかしいと感じていました。奈良県の動画配信サイト『美しき日本 奈良』を通して、吉野の山守である中井章太さんと出会いました。そこで中井さんが先祖から受け継がれてきた精神に感銘を受け、物語を紡いでゆきました。

——世界的な評価を得られても、奈良を拠点に映画を撮り続けておられます。

奈良を離れる理由がありません。私の中で国境のボーダーはなく、私の場所は地球。そして、生まれ育った場所には、かけがえのない時間が流れています。これからもわたしは奈良で暮らし、作品を創り続けることでしょう。

河瀨直美監督最新作<br>千年の森が継がれる奇跡の物語『Vision』スペシャルインタビュー

フランスから謎の薬草を探して吉野に来た女性エッセイストを演じるのは、世界三大映画祭すべてで女優賞を獲得したジュリエット・ビノシュ。

——ジュリエット・ビノシュさんと映画を創ろう、そう強く思われた一番の理由は?

理由…は…カンヌで彼女に会ったからかな(笑)。彼女は本物でした。本物かどうかは会った瞬間に分かります。そして彼女が吉野山の現場に来て、見たり、聞いたり、体験したことは本物です。彼女と共に吉野で過ごした時間は本当に幸せでした。

河瀨直美監督最新作<br>千年の森が継がれる奇跡の物語『Vision』スペシャルインタビュー

河瀨監督作で3度目の主演となる永瀬正敏は、吉野の山深い神秘の森で、猟犬コウと暮らす山守を演じる。

——永瀬正敏さんは3度目の続投ですね。

カンヌで永瀬くんと一緒にジュリエットに会って、自然の流れでここまできました。永瀬正敏という人は本物の映画俳優です。そんな人と映画を創る幸せをかみしめています。

河瀨直美監督最新作<br>千年の森が継がれる奇跡の物語『Vision』スペシャルインタビュー

森に迷い込んだ謎の青年、鈴(りん)を演じる岩田剛典(EXILE、三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE)

——岩田剛典さんは、河瀨組初参加です。

本物というのは、無名であれ、有名であれ、他と比べようのないものを持っているということ。その人がその人であり続け、内面に虚が無い。

私は三代目もEXILEもよく知らず、岩田くんも知らなかった。会ってみると岩田くんはチャレンジ精神があり、俳優として最高の表現をしようとする人でした。

ちょうど、撮影はツアーとツアーの間で、最初は三代目J Soul Brothersの岩田剛典だったけど、それが日を追うごとに、どんどん謎の青年役の鈴として生きて吉野の山の人になっていった。
ツアーに戻った時、メンバーに山守みたいになっているが、三代目に戻れるか、大丈夫かと言われたそうです。

河瀨直美監督最新作<br>千年の森が継がれる奇跡の物語『Vision』スペシャルインタビュー

「第5回なら国際映画祭2018」
新たに子ども部門を設けます。
この映画祭は、奈良の若い人の活躍の場です。


——9月20日(木)~9月24日(月・振)に開催の「第5回なら国際映画祭2018」についてもお聞かせください。
世界各国からゲストをお招きしての映画上映やコンペ受賞監督が奈良を舞台に映画制作を行うNARAtive(ナラティブ)など様々な取り組みが行われていますが、今年はどんな新しいことが始まりますか。

子ども映画部門を設けます。子どもが映画の審査員となるものです。

——大人の映画を子どもが審査するのですか。

その観点は「子どもには分からないだろう」と子どもを子ども扱いしたものですね。ずっと前から(*注1978年)子どもの審査員部門があるベルリン国際映画祭とパートナーシップを結び、新しいプロジェクトとして開催します。大人というのは「少し前に生まれた人」。10代の子どもたちは、世界をものすごく可能性に満ちたものとして見ています。その目と自由な発想で映画を見て選んでもらいます。

——奈良の若者の活躍の場でもあるとおっしゃっています。

ボランティアを含めて、いつでも受け付けています。ここで自分の場を見つけた人たちがいっぱいいます。見るだけでなく、運営すること、創り出すことには、本当に喜びがあります。ここで活躍する場を見つけてください。今からでもボランティアなど受け付けています。

——監督の今後のVisionをお聞かせください。

大仏さまのように千年残る映画を撮り続けたい。千年以上前に造られた大仏さまを今、見ることができるのはすごいこと。これほどの歴史を持つ国は世界に多くない。現代社会で残るものは10年続くか、20年続けられるか。それをこの大仏さまのいる地でまた、次の千年に向けたメッセージを与えるものを創ることができたら。そう願っています。

——ぱーぷる読者に向けてのメッセージをいただけますか。

奈良に『ぱーぷる』があってよかったですね。
たくさんの奈良の情報がある中で、『Vision』を知っていただけてうれしいです。是非、劇場に足をお運びください。舞台挨拶でお会いしましょう!


取材/文 園城和子




「Vision」6月8日(金)より全国公開
監 河瀨直美 出 ジュリエット・ビノシュ、永瀬正敏、岩田剛典、美波、森山未來、田中泯(特別出演)・夏木マリ


あらすじ: 紀行文を執筆しているフランスの女性エッセイスト・ジャンヌは、アシスタントと共に奈良の吉野にやってきた。彼女は、幻の植物“Vision”を探しており、山守の男・智と出会う。やがて、言葉や文化の壁を越え、心を通わせていく2人。ジャンヌがこの地を訪れた本当の理由とは?山とともに生きる智が見た未来(ビジョン)とは?

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