ライフ生活
2018/05/10 01:00

vol10. 土でも、水でもない、砂で育てる砂耕栽培<br>
新しい農業のカタチを目指す乃一隆治さんに出会う

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読者の皆さん、こんにちは!

今月は、会社がある生駒から車で走ること約20分。奈良市中町で、リーフレタスをメインに、原木しいたけの栽培、貸し農園などを営む『株式会社 和創』代表・乃一隆治さんの畑におじゃまして、取材してきました。

今まで、数多くの農家さんと出会い、土で育てる土耕栽培や水で育てる水耕栽培など、いろんな農業のやり方を拝見してきましたが、今回は見たこともない方法だったんです。

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なんと培地が砂!ここ和創さんでは、腰くらいの高さに設置した高設ベッドに砂を入れ、液肥でレタスを育てる砂耕栽培(さこうさいばい)を実践している。百聞は一見にしかず。さっそくハウスの中を見させていただきました。


—どうして砂なんですか—

一番のメリットは洗えるという点。土は水をかけるとドロドロになりますが、砂は水をかけても砂のままです。だから、液肥を与えた時に、必要な養分だけをレタスが吸い取り、不必要な養分は下に落ちていく仕組みです。だから常に、リセットがきく。最大のメリットは、連作障害(※①)が起きないこと。だから、1年間に8回、同じところにレタスを植えることができます。


—年間の収量はどれくらいなんです?—

年間おおよそ24万株のレタスがとれます。ビニールハウスの中に、高設ベッドが24台。面積にして1,800平方メートル。1平方メートルに16株の苗を植えるので、1回転で約3万株を収穫できます。ビニールハウスなので、雨や台風の心配もなく、年中安定した気温を保てるので、8回転できる。単純計算すると、1年で24万株になりますね。

—そんなに!?でも管理と収穫が大変なのでは?—

それが、作業効率の面でも、砂耕栽培は優秀なんです。肥料は液肥で与えていますが、すべてタイマーで自動配水される仕組みです。収穫に関しても、土じゃないので、はさみをレタスの根元から切るだけで、ほとんど砂がつかずに収穫できます。ハウスで育てているし、汚れないからほとんど洗う必要もありません。だから、午前中に収穫して、その日の夕方にはまた苗を植えることができるんですよ。

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—かなり画期的な方法ですね。逆にデメリットはありますか?—

ビニールハウス、高設ベッド、液肥の自動排水システムと、初期の設備投資がかかる点ですよね。でも、それさえクリアになれば、天候や病気などのリスクも低いですし、とにかく毎日仕事がある。安定した雇用にもつながります。


—砂耕栽培をするきかっけは何だったんですか?—

実は、私は元々電気屋で20年間働いていました。38歳の時に、今の会社から「農業生産法人を立ち上げてほしい」と言われたんです。でも素人の私が、農業に真っ向勝負してもかなわないのは、わかっていました。そんな簡単じゃない。だから、土ならやらないと決めていたんです。やるなら、新しい農業をやろう。素人でもできて、きちんと生業になる農業をやろう。その想いで全国視察に周り、大阪の泉南市でこの砂耕栽培をやっている農家さんに出会ったことがきっかけです。

ー新しい農業の目指すべき方向は?ー

私は今日生きるためのお金をレタスをつくって、いただいています。だから、つくった分、ロスのないように売り先を確保すること。たくさん儲けようとするんではなく、目指すべきは、ちゃんとご飯を食べれて、ちゃんと雇用ができること。実は僕の娘は身体に障害を持っていて、車イスで生活しています。4月から高校生になるんですが、彼女が将来きちんと働けるように。彼女だけでなく、障害者の人たちでも働けるような農業の仕組みをつくっていきたいと思っています。

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—土で育てる栽培、水で育てる栽培、慣行や有機や自然栽培。どれが正しくて間違っているなんてない。それは、農家さんの生き方の選択。だから、いつも取材は驚きの連続で、おもしろくて、ときに感動する。乃一さんと出会い、改めて想う。農業の未来は、少しずつ、一歩ずつ、明るい方向に向かっている—


※①同じ場所に同じ野菜を栽培することを連作といいます。そうすると、その野菜を冒す病原菌や害虫が多くなったり、土壌の中の養分が不足したりして、野菜の生育が悪くなること。

農業生産法人 和創

  • 住所/奈良県奈良市中町4207
  • 電話/0742-48-4188
  • 営業時間/
  • 定休日/無
  • 駐車場/なし
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