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都会っ娘の農業奮闘記 農meetsGIRL

vol7. 女性として、母として、自然農と共に生きる 下川麻紀さんに出会う

  • 情報掲載日:2018.01.12
  • ※最新の情報とは異なる場合があります。ご了承ください。

県内における農業女子は少ないイメージがある。正しく言えば、女性で農業をしている人は多いのだが、前に出て声を出す積極的な農業女子にはなかなか出会えない。そんな時、奈良フードフェスティバル「シェフェスタ」に出店してもらったことがきっかけで、下川さんと初めて出会った。

下川さんは山添村の的野(まとの)という、周辺が山々に囲まれた自然の中で、無農薬と減化学肥料にこだわった野菜をたった一人で育てている。下川さんは、結婚してこの土地にやってくるまで、まったく農業経験がなかった。そんな彼女が無農薬というあえて手間ひまがかかるやり方で、きっちりと“生業”として農業をする裏側には、彼女が子を育てる母としての覚悟があったからだと思う。今日は、そんなハートの強い女性農家を追う。

OL時代に憧れた田舎暮らし

下川麻紀さん

愛媛県出身の下川さん。前職は、なんとOL。大阪で10年間働いていたときの憧れが、当時の流行りもあって“田舎暮らし”だった。その後、仕事の取引先の関係で今の旦那さまと出会い、結婚。山添村という憧れの田舎へ嫁ぎ、夢が現実のものになる。

最初は、専業主婦としてお義母さまの家庭菜園を手伝う程度。「もくもくとする作業が楽しい」と思えたはじめての農業は、いつしか「言われたことをするだけでは、つまらないなぁ」と感じるようになっていった。ある日、トマトを食べる息子さんが「ママが作ったお野菜、とってもおいしいね」と喜んでくれた。その言葉がきっかけとなり、本気で農業をしようと決意。

そして、やるからには、我が子が口にするものだから、無農薬を貫こうと覚悟する。そして、旦那さまがあと数年で定年を迎えることもあり、妻として、母として、家計を支えていこうとも心に決めた。だが、生業としての農業は、一筋縄ではいかなかった。

孤独との戦い

今の時代、無農薬という言葉はさほど珍しくなくなってきたかもしれない。けれど、改めて思うのは、その裏側には計り知れない努力と苦労と手間ひまがかかることを今一度知ってほしい。下川さんにとっては、その苦労が「孤独だった」と語る。

無農薬で育てているため、周辺に住む人からは煙たがられ、ときには笑われた。また、「田舎だから家で畑をするのは当たり前だ」と幼稚園は子どもを預かってくれない。1反や2反レベルで農業を語るなと言わんばかりに、村の人たちは冷たかった。子どもをおんぶしながら、ひとり農業と向き合う時間は、まさに孤独との戦いで、しんどかったと振り返る。

和母との出会い

そして、転機は突然訪れる。知人の紹介で「和母(わはは)に入らないか?」と誘われた。「和母」とは、県内各地で農業や農家レストラン、農産加工を営む女性起業家グループのこと。まさに、奈良で食と農をベースに頑張る女性たちがつながるネットワークだ。戸惑いもあったが、自分ひとりで農業をやりながら子育てをし、販売ルートの営業など、すべてを抱えきれないもどかしさもあり、入ることを決めた。

そこから彼女の女性農家としての道は一気に開けていく。

「和母」の仲間であり、五條でばあく豚を育てる泉澤さんの誘いもあって、「奈良のうまいもの会」の一員にもなった。「和母」と「うまいもの会」のつながりから販売ルートはどんどん拡大。それと同時に、いろんなメディアにも取り上げられるようになり、いつしか村の人たちの理解も深くなっていく。彼女はそこで改めて“人のつながり”がいかに大切で、いかに大きな力となるかを知った。

人のつながりを結ぶ

下川さんは今、無農薬野菜と同時にレンコンにも力を入れる。理由は、家計を支える上での高単価なものだからと言ってしまえば簡単だが、その裏にはもうひとつ。

「地元の子どもたちやいろんな人にレンコン掘りを体験してほしいんです。なかなかできない体験だと思うから。それに、子どもたちが泥だらけになりながら、めちゃくちゃ喜んでくれるんですよ」。

そう笑って教えてくれた。そして、彼女にはもう一つやりたいことがある。それは、農業をしたい女性を応援すること。小さい畑でもいい、子育てをしながらでもいい。女性が楽しく農業できる環境を整えていきたいと語ってくれた。

彼女が孤独と戦いながら、それでも農業をやめなかったのは、単純に農業が好きだということと、それ以上に女性として、妻として、母として、確固たる守るべきものがあったからだろうと思う。

そして、その強い覚悟が農業を始める10年前から今もずっと変わらないであり続けたからだ。そんな彼女が作る野菜は、やっぱり力強い味がする。

Information

自然派農場しもかわ
住所
奈良県山辺郡山添村的野853
電話番号
080-1400-3649
リンク
自然派農場しもかわ

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