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都会っ娘の農業奮闘記 農meetsGIRL

vol3.“好きやから百姓やってます”寺田農園 寺田昌史さん

  • 情報掲載日:2017.08.31
  • ※最新の情報とは異なる場合があります。ご了承ください。

こんにちは!

今日は、「好きやから百姓やってます」のキャッチフレーズでお馴染みの寺田農園の農園長・寺田昌史さんを紹介します。

水耕栽培というやり方で、約3,300坪にもなる敷地でハーブを育てる寺田さん。その裏側には、農家として生まれた寺田さんの葛藤や苦難がたくさんありました。

農家の息子として生まれた寺田さん。お父さまの代から農業をやりはじめ、いちごやトマトを主とする畑だった。小さい頃から父の手伝いをやってはいたものの、年を重ね、学校に通うようになるにつれて、自分の中で「農業をやりたくない」意志が強くなっていったと言う。当時は職業差別があった時代。担任の先生からは「お前のとこは農家やから…」と言われることもあり、周りからは「お前は田んぼでも耕しとけ」といじめられては、ケンカする日々。そんな言葉たちが寺田さんをどんどん農業から遠ざけ、高校時代は農業から逃げるために部活に入り、農業をやりたくないからと大学の道を選んだ。ただし、大学進学を反対した父が唯一許したのは、国公立の大学へ進むか農業大学に進学するかの二者択一。親父のあとを継ぐくらいならと農業大学への進学を決意する。そして、ひとつの転機が訪れた。アメリカへ2年間農業留学に行くことが決まり、そこでビジネスとして成り立つ農業を目の当たりにする。向こうでは、スーパーバイザーとして人を動かす(使う)農業を学び、カリフォルニアでトマトといちご、オレゴンで洋なしの栽培に携わった。それがきっかけとなり、自分がやりたくなかったのは“親父の農業”であり、違うやり方だったらビジネスとして成り立つことに気づく。帰国後、自ら農業と向き合う道を決意。そして23歳という若さで一世一代の覚悟を決め、1億円の設備投資で寺田さんの農業ライフはスタートする。

親父の農業はやらない、自分のやり方だと信じ、水耕栽培の道を選択する。先にも書いたが水耕栽培にはメリットも多い反面、巨額の設備投資がかかるというデメリットがあった。年間1,000万以上の返済を抱えているうえに、賃金なんて払えないという恐れから、人を雇うことをためらった。

そして何十年もの間、3,300坪というでかい農園をたったひとりで守ってきた寺田さん。1日16時間ぶっ通しで働き、一切休みなしの農業生活を繰り返し、死のうと腹をくくったこともあると言う。

そんな苦境を乗り越え、5年前ようやく人を雇用した。今では生産現場に従事する4人の従業員とパッキングや発送作業に従事する主婦のパートアルバイト8人で回している。過去、寺田農園をやめたいと言った人はひとりもいない。農業で食べていく苦しさを人の何倍も実感している彼だからこそ、従業員に対する理解も深い。

そしてようやく、生活に少しの余裕が持てるようになり、奥さんと娘さんふたりに家族孝行ができるようになったと幸せそうに語ってくれた。

今後も積極的に人の雇用を続け、まだまだいろんなことにチャレンジしたいと意気込む。寺田さんは自分で作ったものは自分で売るというスタイルを貫き、9割9分自ら販売先を開拓していった。奈良だけでみても、水耕栽培でハーブを育てているのは、寺田農園だけ。ほぼ、独占マーケットである。安売りもしない。正しくは、安売りする必要もないというのが寺田さんの考えだ。

「30円で売ってもいらない人はいらないし、200円でも買う人は買う」そんな特殊な商材だと教えてくれた。また「ある時にしかないハーブ」ではなく、「ない時にこそあるハーブ」が水耕栽培だからこそ可能にする寺田農園の強み(水耕栽培はハウス内で育てるため、季節関係なく収穫できるのが最大のメリット)。

水耕栽培をやるという覚悟、そしてその強みを生かした戦略的な販売こそ、寺田農園が築き上げてきた農業ビジネス。「安定したなんて思わない。常に不安。だけど、次々に伸びしろを見つけて、挑戦したいことや乗り越えていきたいことはまだまだ山ほどある」と寺田さん。

あと5年で引退し、ゆくゆくは法人化させて若い者に託し、自分は農園レストランをしたいなぁとうれしそうに夢を語る。

最後に、寺田さんに聞いてみた。寺田さんにとって農業とは何ですか?

「楽しまな損!!どんな仕事もしんどいもんや。しんどい思ったら、何も乗り越えられへん。逆境こそ楽しめる人間にならんと。伸びしろを次々に見つけて、失敗しても諦めやんと続けて行くことが大事。つまり、楽しんだもん勝ちってことやな!!」

そう言って、ハウスの中で趣味のギターを弾きながら笑って答えてくれた。「好きやから百姓やってます!」という言葉は、やっぱり寺田さんにぴったりだなと思った。

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